13日の米国ニューヨーク・タイムズによると、2016年以降、米国外交官らが脳に損傷を受けた事例は今まで知られていた約60人ではなく、約130人に上るとのこと。
脳損傷を起こす攻撃とされる事件は2016年から発生していた。キューバに駐在していた米国やカナダの外交官に起きていた。2018年には中国駐在の米国外交官にも起きていた。
2016年後半、キューバの米国外交官が原因不明の頭痛やめまい、そして耳鳴りを経験する。原因ははっきりしないものの、キューバの首都ハバナで初報告されたため「ハバナ症候群」と呼ばれることとなった。その後2017年の調査で、この症状を起こす仕組みは特定できないものの、何かの技術を駆使した攻撃との判断された。
おそらく、音波を利用した「音響攻撃」の可能性が大きいとのことだった。当時はオバマ政権下で米国とキューバの外交関係が急速に良くなっていたため、米国政府はキューバを刺激するような調査にはあまり積極的ではなかった。
その後のもう少し調査が進むと、キューバ政府もこの攻撃に関与していた可能性があり、その背後にはロシアがいるとの噂も流れていた。米国とキューバとの仲が改善するタイミングだったため、それを警戒したロシアの仕業とのことは陰謀論としては説得力があった。
キューバ政府は攻撃に関与したことを否定していたが、2017年8月、米国のティラーソン国務長官は「キューバ当局は犯人を捜す責任がある」とコメントすることになった。結局、米国はキューバ駐在の外交官を減らして対応した。
2018年3月、MRIスキャンなどの検査で、キューバに派遣されていたカナダ外交官にも同じことが発生していたことが分かった。脳損傷が診断されたのだ。翌月、関連のカナダ外交官はキューバから撤収した。
2018年4月には、中国の米国領事館の職員がキューバでの事件と同じような経験をする。中国広州の米国領事館の調査では、その前年の後半からキューバの外交官と同じ症状を経験した人がいることが分かった。細かい検査の後、当時の国務長官だったマイク・ポンペオ氏は、キューバで報告された攻撃と同じようだと述べた。
しかし、こちらも真相は不明のままだった。まず原因は不明であるものの、症状は脳震盪に似ている。その後、広州郊外の米国外交官にも脳損傷に似た症状が報告され、「発生源を特定できていないが、異常な音やノイズを伴う急性聴覚現象」を調査することとなった。
2019年、カナダ政府は14人目のハバナ症候群の外交官がいる事を発表した。それに伴い、大使館の職員を削減した。後ほど、政府の対処が遅かったとして、カナダ政府は外交官らから訴訟の対象となった。
今回、バイデン政権は米国を狙った攻撃かどうかをハッキリ判断できていないという。今まで米国政府の報告書は加害者を特定していない。但し、旧ソ連とロシアが高周波技術を武器に応用する研究をしたのは確かである。
実際、ソ連は1970年代や1980年代の冷戦時代にモスクワの米国大使館を高周波または極超短波で攻撃したとされている。欧米では「マイクロウェーブ・オーブン」と呼ばれる電子レンジの原理が発見されたのも、旧ソ連でのことだった。
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