5月には日韓共通の休日が多い。「子どもの日」や「母の日」などである。韓国には「先生の日」という日本にはない記念日もある。学校で教えを受けている先生や、かつての恩師を敬い、感謝する日として1964年に始まり、毎年5月15日を「先生の日」として定めている。

「5月15日」としているのはハングル創成などの功績を残したことで、韓国国民が今も尊敬し続け、師として崇めるセジョン(世宗)大王の生誕日にちなむ。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領も15日、「先生の日」に合わせて動画で祝辞を寄せた。ムン大統領は、新型コロナ禍における教育現場に思いをはせながら「子どもたちのために遠隔授業に始まり、より安全な学校づくりに至るまで、先生が多くの汗を流している」と教師をねぎらった。その上で、「先生が私を愛して下さったので、私も私を愛することができるようになった」と自身の恩師に対する感謝の思いを語った。

「先生の日」は、韓国以外にも中国や台湾、豪州、ブラジル、フィリピン、ロシア、ベトナムなど、多くの国に存在する。1994年にはユネスコ(国連教育科学文化機関)が10月5日を「世界教師デー」と定めている。

一方、日本では全国教育問題協議会などから、「教師の日」制定を望む声が上がっているが、実現には至っていない。2017年には日本政府の教育再生実行会議が当時の安倍晋三首相に対し、ユネスコが定める10月5日の「世界教師デー」を、日本において学校と地域の結びつきを強める「10.5教師の日」とするよう求めたこともある。

教え子や保護者をはじめ、国民から祝福されることは、教師にとって自身の職業に誇りを感じる1日となるだろうが、韓国に至っては実際、多くの教師がこの「先生の日」を望んでいないことがうかがえる調査結果が出た。

教員団体の実践教育教師会が、全国の教師984人を対象に行ったアンケート調査で、「先生の日」を、教師をはじめ、生徒や保護者が教育の意味を振り返る「教育の日」に変更することに同意する回答が81.6%に上った。

その理由として「教師としての誇りが低下しているから」が34.5%、「『先生の日』といえ、普段と変わらないから」が32.4%、「『先生の日』は負担だから」が26.2%だった。

「先生の日」を、多くの韓国の教師が否定的に捉えている背景には、国内において頼み事をするときに金品などを渡す「チョンジ(寸志)」が次第にエスカレートしたことと、こうした行為を規制するために2016年に制定された「請託禁止法」がある。

教育熱が高い韓国では、かつて、保護者が我が子の成績を過大に評価してもらおうと、高額な贈り物を教師に贈ることが社会問題化した。そのため2016年に「請託禁止法(通称キム・ヨンラン法)」が制定され、教員や公職者、公務員などが、職務と関係がある人から1回あたり5万ウォン(約4700円)を超える贈答品を受け取ることなどが禁止された。

かつては「先生の日」に、教え子らから教師に生花を贈る光景が見られたが、この行為も同法に抵触する可能性があり、代わりに手紙や紙で作った花を贈るケースも増えている。

「先生の日」が、純粋に教え子が教師に感謝の気持ちを伝え、それを受け止めた教師が明日の指導への原動力にするといった、本来の記念日の意味合いが薄れてきているとも言える。しかし、感謝の気持ちを表すことは贈答品がなくてもできることであり、今こそ原点に立ち返ることが求められている。

26年前の1995年5月、韓国のキム・ヨンサム(金泳三)元大統領は日本人4名を大統領府「青瓦台」に招待した。中学時代に民族を超えた教えを与えていた日本人恩師・渡辺氏の家族だった。

その18年前の1978年に既に亡くなった恩師の代わりに恩師の息子家族を招待していたのだ。キム・ヨンサム大統領は「渡辺先生とソックリだね」と孫娘たちに話しかけた。

23年前の1998年、韓国のキム・デジュン(金大中)元大統領が日本を公式訪問した時、東京の迎賓館で59年ぶりに高校恩師・椋本氏と再会していた。成績優秀で雄弁が上手だったキム少年に「政治家になったらよさそう」と話していた先生だった。

高齢になって耳が遠くなった恩師にキム・デジュン大統領は「先生、私です。豊田大中ですよ」と日本語で話しかけていた。韓国ではタブーとなっている日本統治時代に創氏改名した名字までを自ら口に出し、恩師に対する謝意を示していた。

韓国でコロナ以上にまん延している反日教育は、半島統治の時期の日本人教師を帝国主義の先兵の如く描写するが、現実は随分違っていたようだ。保守右派系の大統領も、革新左派系も、日本を支持率に悪用した大統領も、政治受難の時に日本にお世話になっていた大統領も、成長期にお世話になった日本人恩師に対しては、感謝の言葉を忘れていなかった。

いまや成長した韓国も、成熟した姿を見せるべきである。約束は守り、感謝すべき事に対しては正直にありがとうを言うべきである。

政治のために反日を駆使しているわりには、和食や日本のDVDが好きで、奥さんは日本の茶道教室に通っていた文大統領。息子さんは日本のアニメを観ながらデザイナーになり、娘さんは日本の国士舘大学に留学させていた文大統領。そろそろ正直になる時である。

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