(画像提供:wowkorea)
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韓国の首都・ソウル市が、市内の観光案内表示板の一斉点検に乗り出す。街中にある観光看板の間違った外国語表記を改めることが目的。これに併せて韓国に在住の外国人や一般市民らを対象に「外国語案内板間違い申告キャンペーン」を来月15日まで行う。

点検は、日本語圏、英語圏、中国語圏の外国人の計30人からなる「外国人現場点検団」を構成して実施。来月1日から15日にかけてソウル市内の観光名所10か所を集中的に回り、観光看板の外国語が正しく表記されているか確認する。

今回の点検は、新型コロナウイルス感染の終息後、外国人観光客が再び来韓することを見据えたものだが、点検そのものは毎年、定期的に行っている。

「外国語案内板の間違い申告キャンペーン」は17日から始まっている。ソウル市民のほか、市内在住の外国人や観光客など誰でも参加できる。参加者は表示板の誤りを発見した際、韓国の検索エンジン・ポータルサイト「ネイバー(NAVER)」の専用フォームから表示板の写真や位置情報などを申告。

一斉点検やキャンペーンを通じて申告のあった表示板は、専門家による諮問を経て、間違いと判定された場合、修正される。最終的に表記が間違っていると判断された場合、申告者には1件当たり 1万ウォン(約950円)の商品券が進呈される。

韓国では、日本語表記に限っても、これまで至る所で誤りが見られた。公共看板はこうした点検などの取り組みもあって改善されつつあるが、特に、個人経営の飲食店などでは、日本人からすれば依然、クエスチョンマークがつく表記も見受けられる。

そんな中、韓国文化体育観光部(韓国の部は日本の省に相当)と国立国語院は昨年7月、既存の「公共用語の英語翻訳と表記指針」の翻訳対象言語と対象分野を「日本語」と「中国語」にも拡大し、新たに「公共用語の外国語翻訳と表記指針」を制定した。

新しい指針により、例えばソウル中心部にある山「ナムサン(南山)」の公共用語に、英語の「Namsan Mountain」に加えて日本語の「ナムサン(南山)」などが追加された。

日本の外国語表記をめぐっては、昨年2月、東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムの国立競技場で不自然な英語表記があると国内外のメディアが指摘し話題になった。当時の報道によると、障害者の利用を想定し競技場内に設けられた、視線を遮り気持ちを落ち着かせることができるスペースは「Calm down, cool down」と案内。これは、競技を観戦して興奮すると部屋に閉じ込められると誤解される恐れがあると、話題になっていた。

また、おととしには大阪市の地下鉄を運行する大阪メトロの公式サイトの外国語ページで、路線名の「堺筋」が「Sakai muscle」(堺 筋肉)と英訳され、利用者から指摘を受けるということもあった。

日本の観光庁は2014年に観光地の案内板や道路標識の外国語表記を統一する指針をまとめている。基本ルールとして固有名詞はローマ字、普通名詞は英語で表記するとし、例えば公園を「Koen」から「Park」に表記を統一した。

看板などに外国語を表記する際、誤りが起こるのは、作業過程でプロの翻訳者のチェックを経ていなかったり、作業効率化のために機械翻訳に依存し過ぎたりすることが原因であることが多いという。

外国人の目で点検するソウル市の取り組みは、徹底して外国語誤表記を無くすためには有効だと言える。人口が5千万人ほどで、隣国の日本や中国に比べると経済規模が小さく、海外の企業家や外国観光客を常に優遇しないといけないのは韓国の宿命ともいえる。

身分上昇の唯一の手段が高い教育熱だった科挙制度の伝統もあり、「TOEFL」や「TOEIC」など英語の共通試験は韓国若者の未来を左右する。韓国の受験者は日本まで「遠征受験」や「受験旅行」をすることも、コロナ禍の前までは珍しくもなかった。

英語の「McDonald’s」を日本語の「マクドナルド」として受け入れた日本人と、英語の「Function」を「パンション」として受け入れた韓国人。英語の実力でマウントをとりたい人々も良く見かけるが、日韓はお互いに結局、共通の言葉「同病相憐れむ」の関係かもしれない。

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