韓国には「国民請願」という制度がある。韓国大統領府(青瓦台)のホームページで、国民からの要望を受け付ける制度だ。

この制度は、ムン・ジェイン(文在寅)政権が発足して間もない2017年8月、大統領秘書室長の発案で始まった。請願希望者は大統領府のホームページに設けられた掲示板に請願内容を登録。登録された1件の請願に対し、30日以内に20万人以上の同意が得られた場合は、政府や大統領府関係者が回答することになっている。

この制度は米ホワイトハウスが2011年に始めた請願制度「We the People」を参考にしたとされている。「We the People」は30日以内に10万人の署名が集まった場合、政府が何らかの回答をする規定になっている。一方、韓国大統領府の請願の回答基準はその倍の20万人。制度が始まって間もなく4年になるが、これまでに20万人以上の同意を得た請願は1日現在、243件となっている。

ところが昨年2月、請願を受ける当事者ムン・ジェイン(文在寅)大統領の弾劾を求める請願が上がり、145万人以上の同意を得た。当時は、新型コロナウイルス感染拡大の初期段階で、ムン大統領の防疫対応に対する不満が「弾劾請願」という形で表れた。

一方、これに対抗する形で、ムン大統領を応援する請願も上がり、約150万人の同意を得た。30日以内に同意者20万人を超えたことから、大統領府は同年4月、大統領などに向けた他の2件の請願と併せて回答。「どの意見もなおざりに聞くことはしない」と答えた。ただ、弾劾を求める請願については「弾劾は国会の権限であり、青瓦台による回答は難しい」とした。

最近では、4月に「女性も徴兵対象に含めて下さい」とのタイトルの請願が20万人以上の同意を得た。

請願内容はさまざまで、中には本来の趣旨とはかけ離れたものも見られる。過去には2019年1月、「日本の京都(市営)地下鉄の料金を下げて下さい」といった請願が上がったことも。ちなみにこの請願は28人の同意を得た。

誹謗(ひぼう)など不適切な請願も増えたことを受け、2019年3月末からは100人以上の「事前同意」を得た請願でなければ請願の掲示板に掲載もしないことになった。事前同意は、請願者が提供された「事前同意リンク(URL)」をSNSなどで共有して得る。

ただし例外もあり、選挙や政治関連の内容が書かれている請願は、選挙結果に影響を与える恐れがあるため、選挙後まで非公開になる。国民請願の要件を満たしていない場合も同様の措置が取られる。

最近では、43万人もの同意を得たにも関わらず非公開となったケースもあった。4月に首都・ソウルを流れる河川「ハンガン(漢江)」沿いの公園で、友人と酒を飲んでいた医学部の大学生が行方不明となり、その後、川の中から遺体で発見された。

これを受け、「医大生の死は事故ではなく事件だ」として真相究明を求める請願が登録されたが、大統領府は非公開とし、ネットユーザーから批判が相次いだ。

請願は日本に関連するものもしばしば上がる。先月27日には今夏に予定されている東京五輪を韓国がボイコットするよう求める請願が上がった。韓国では現在、東京五輪の公式ホームページの地図に竹島(韓国名・独島)が記載されていることに反発が強まっている。請願は今後、削除する措置が講じられない場合、出場を「ボイコットすべき」と主張している。

この請願は27日から4日間で5万1559人の同意を得て、現在も同意者が増え続けている。

東京五輪の出場をめぐっては、歴代の首相2人からも、削除がされなければボイコットするよう求める声が上がっているほか、1日には外交部(日本の外務省に相当)のアジア太平洋局長が相馬弘尚駐韓日本大使館総括公使を呼び、即時是正を求めた。

政治問題に発展している中、請願が仮に30日以内に20万人を突破すれば大統領府、政府は何らかの回答をする必要に迫られることになる。

革新・進歩系・左派の元首相が領土問題を反日感情に結び付け支持率アップに利用するような動きを見せているのは、とても残念なことだ。1965年、日韓国交正常化の交渉段階でなされていた竹島(韓国名:独島)に対する日韓暗黙のルール(または「日韓密約」)を調べてほしいところだ。

こうなったら、むしろこの請願が実現した方がこれからの無責任な反日扇動を防ぐきっかけになるかもしれない。
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