その報道によると、韓国の今年1~4月の素材・部品分野の累積輸入額は647億9500万ドル(約7兆1177億円)で、このうち日本製品が占める割合は15.0%で96億9600万ドルだった。
これは前年同期比1.1%減で、産業通商資源部(日本の経済産業省に相当)による関連統計の作成が始まった2001年以降、最も低いという。
聯合ニュースは3日、「韓国政府と企業が素材・部品分野に対して競争力を強化したり、供給網の安定化を推進したりした結果とみられる」と伝えている。
革新・左派系のハンギョレ新聞は同日、「素材・部品の『日本依存度』過去最低、これに満足せずさらなる努力を」とのタイトルで社説を掲載。「日本の輸出規制を『災い転じて福となす』機会として活用した」と評価した上で、「日本にしても、中国にしても、特定の国に過度に依存することは避けなければならない。特に米国と中国の対立により、グローバルサプライチェーンをめぐる不確実性が高まっている状況下ではなおさらだ」と結んだ。
日本政府による対韓輸出管理強化を受けて、韓国政府は2019年8月、主要な部品・素材の国産化を目指し、100品目を戦略品目に指定。7年間で7兆8000億ウォン(約7700億円)の研究開発投資を行うと発表した。
この戦略品目の一つで、韓国経済を救っている主力事業である半導体とディスプレイの製造に不可欠な素材「フッ化水素」は、自国のサムスン電子が出資するソウルプレーンやSKマテリアルズが独自に生産。こうしたことが成果を上げ、フッ化水素の昨年の対日輸入量は、前年比75%減となった。
素材・部品以外でも自国生産が始まっている。今月2日には、韓国の半導体製造装置メーカー、ハンミ半導体が、これまで全量を日本からの輸入に頼っていた半導体パッケージ装置の国産化に成功したと発表した。
昨年4月には「素材・部品・装備(装置や設備)産業の競争力強化に向けた特別措置法」が施行した。素材、部品専門企業に加え、製造装置メーカーを育成対象とし、韓国政府はこれら企業の競争力強化の支援に乗り出した。
さらに、ことし1月には、さらなる素材・部品・装備の競争力強化のため、政府は2兆6000億ウォンの投資を行うと発表。ソウル近郊のキョンギド(京畿道)ヨンイン(龍仁)や南西部のチョルラプクト・チョンジュ(全羅北道・全州)など5地域に、「素材・部品・装備の特化団地」を造成することを決め、「先端産業世界工場」として育成していくことを決めた。
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は発表当時、「2024年までに『対日100大核心品目』全体の供給安定化が達成できるだろう」と述べ、自信を見せている。
そのほか、日本への依存度を減らす取り組みとして、輸入先を日本以外にも拡大する動きも活発化している。実際、今年1~4月の台湾からの素材・部品輸入比率は昨年同期の8.3%から9.3%に増加し、中国からの輸入比率も29.1%から30.1に上昇した。
しかし、電子部品や一般機械部品、化学製品、プラスチック製品など、中間財の対日依然度は依然として高いのが現状だ。
また、日本との素材・部品の貿易で、韓国の赤字は拡大している。ことし1~4月の日本との素材・部品の貿易は53億9600万ドルの赤字。前年同期比7億900万ドル増だった。韓国は日本に対し前年比6.2%増の43億ドルを輸出したが、輸入額(96億9600万ドル)は輸出額の倍以上だった。素材・部品分野の赤字が、対日貿易赤字額の大部分を占めているという。
4日、「素材・部品の日本依存度が過去最低も、貿易赤字が増加…なぜ?」との見出しで報じた中央日報は、専門家の見解を紹介。ハンソン(漢城)大学経済学部のキム・サンボン教授は「日本の核心素材・部品・装置製品をみると、高付加価値を持ち、代替が不可能な品目が多い」とし、「こうした品目の国産化を支援してこそ、韓国の素材・部品・装置の競争力が高まり、貿易赤字幅も減らすことができる」と述べている。
専門家もあくまで、「脱日本」にこだわっている様子だが、一方で、韓国の経営者団体、全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院は先月25日、両国の貿易規模が際立って委縮したとする資料を公開。同研究院は「両国の貿易委縮は政治・外交の紛争が経済のあつれきに転移した様相を呈している」とし、「両国の政府が早急に関係正常化のための努力をしなければならない」と提言している。
日本の対韓輸出管理強化からまもなく2年。韓国政府は、今後も「脱日本」をさらに進めようとしているが、感情的になり行き過ぎた「脱日本」政策はマイナスでしかない。韓国の文化や技術人材、社会環境から韓国に適し、日本より競争力を持てる分野でないといけない。しかも、その選択も市場原理に任せないといけないのが長い間の教訓である。
韓国は現政権に入って、世界最高水準だった原子力発電の技術や人材が中国などの海外に流出している。人類の技術レベル的にも韓国の自然環境的にも難点ばかりの太陽光発電や風力発電にドライブをかけてきた技術政策。その中、政権に貢献してきた勢力に対する様々な利権が生まれている。
日本の原発から汚染処理水を流す計画に対しても科学的で冷静な評価を黙らせ、反日のネタとして利用する今の政治水準のままでは、膨大な税金をかけている「脱日本」の支援過程にも何等かの利権が生まれる可能性さえある。
2年前の日本の政策が「経済報復」だったのか「輸出管理」だったのかは、今後、再評価されるだろうが、少なくとも脱日本の方法論は「政治論理」の政策ドライブより、「市場原理」に任せるべきだ。
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