韓国の初代大統領イ・スンマン(李承晩)氏(画像提供:wowkorea)
韓国の初代大統領イ・スンマン(李承晩)氏(画像提供:wowkorea)
朝鮮戦争がまだ終わっていなかった1952年、韓国の初代大統領イ・スンマン(李承晩)氏により「李承晩ライン」が宣言された。独島(日本名:竹島)は韓国の行政区域になり、日本の漁夫たちが犠牲となったが、韓国ではあまり知られていない。韓国では、日本の半島統治の直前に奪われていた島を取り戻した、くらいの認識だ。

その独島を行政区域内に置いているとしている韓国南東部のキョンサンプクド(慶尚北道)が3日、「独島エビ」20万匹を竹島近海に放流したと報じられた。「独島エビ」はボタンエビとイセエビ、サルエビの3種についての呼び名という。

一方、韓国の電機メーカー「ハンファ(韓火)・テックウィン」が7日、「独島に8K解像度の監視カメラを設置する」と明らかにした。

竹島をめぐり、韓国は長年にわたって自国の領土だと主張し続けており、島をめぐる日本側の動きに合わせ、これまでも度々、過激ともいえる反発行動を取ってきた。そして現在、韓国側が反発を強めているのは、東京五輪の公式HP(ホームページ)上の地図に竹島が記載されていることに関してだ。

ムン・ジェイン(文在寅)政権の元首相2人。革新系与党の次期大統領候補の座を狙うが世論調査では負けている元首相が、東京オリンピック公式HPの地図が修正されなければ、「東京五輪をボイコットする」と声を上げるなど、過熱している。ただ、韓国外交部(日本の外務省に相当)は8日、「不参加までは検討していない」との立場を示した。

そんな中、「独島エビ」を放流することや、電機メーカーが島に監視カメラを設置する方針を発表することは、現在の状況に便乗しようとする行動であることは明らかだ。その意図は、「独島は我が国の領土」たる認識から「こうしないと日本にまた島を奪われるぞ」みたいな認識を煽り、政治的な利益・経済的な宣伝効果を狙う思惑である。

7日の中央日報によると、今回の「独島エビ」放流について、慶尚北道のカン・ソンジュ行政副知事は「民族の島の海域に『独島エビ』を放流することは、漁民の所得源の創出と、『独島エビ』の象徴性を印象付けて、韓国領土の実効的立地を強化することに役立つものと期待している」と話しているという。

一方、竹島に設置されることになった監視カメラは、世界最高レベルの解像度を誇り、約150メートル先にいる人物の着衣や表情まで把握することができるという。竹島には韓国籍の国境警備隊員や灯台管理員らが住んでおり、カメラは隊員らの宿舎屋上やヘリポートに設置する。また、監視カメラの映像はリアルタイムで配信し、誰でも視聴できるようにする計画。

設置の方針を発表したハンファ・テックウィンの関係者は「韓国が開発した世界最高の技術力で、訪問客らの安全を守ることができることを誇りに思う」と話しているという。

「独島」を利用する韓国政治はとどまることがない。「独島はわが領土」との曲名の歌もあり、小学校の教科書にも採用されている。国民はいつの間にか覚え、まるで国歌であるかのように誰もが口ずさむことができる。独島が描かれたメモ用紙や消しゴムといった文房具、衣類、化粧品など商品まで存在する。

昨年8月には韓国の通信大手、SKテレコムが、竹島の展望台からの風景を島を囲む海の波の音や鳥の鳴き声などと共に楽しめる、バーチャルリアリティ(VR)旅行コンテンツを公開したことも報じられた。

一方、日本は竹島について「歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本固有の領土」と一貫して主張しており、現在、韓国側が反発している東京五輪の公式ホームページをめぐる表記についても、日本政府は「韓国の抗議は受け入れられない」との立場を示している。

独島・竹島の問題が続く中で、日本との打開の糸口は一向に見えない。実は56年前の1965年、日韓国交正常化の交渉時も同じだった。変わってきたのは竹島に関して日本国民の認識だ。

当時、日韓交渉の責任者たちは独島・竹島の領土問題に関してはいくら交渉しても解決が難しい事を確認した上、未来の日韓関係のために”密約”を結んでいた。お互いに竹島・独島に対する言及で騒がしくすることはやめましょう、とのことだった。

その後、日本からの資金を基に経済成長を成し遂げた韓国は、プライドに満ちたあまり日本を相手に独島の領有権を叫び始めた。静かに数十年の時間が経ったならば、実効支配中の韓国にとっては有利な状況になるはずだったのに。有名な歌「独島はわが領土」が一時期、韓国で実質的に禁じられていたのはこのような理由があったからだ。

2012年には支持率の低下に苦しんでいたイ・ミョンバク(李明博)大統領が独島に上陸するパフォーマンスで支持率を一気にアップさせる。その代わり、日本国民の中で竹島の名を知らない人はほぼいなくなった。

韓国にも日本にも、自国の領土を放棄する政治家を支持する国民は当然いない。相手に奪われそうな領土だと煽られると、大衆は余計に熱くなる。政治家や企業家が宣伝目的で独島・竹島を利用しようとする理由だ。
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