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調査の結果、観客席に旭日旗はなかったが、日本サッカー協会は「大人の対応」をした。数年後、彼はその話を韓国のテレビ番組で「武勇伝」のように話した。後ほど、その番組で出会った女優と結婚した。日本でも有名な韓国ドラマ「朱蒙(チュモン)」にも出演した女優だ。何故か2人は新婚旅行を日本で楽しんでいた。
以降10年の間、旭日旗を「戦犯旗」と呼び、「ハーケンクロイツと同じ(ドイツのナチ党を象徴する鉤十字)」と主張する韓国人が増えた。慰安婦問題、徴用・募集工問題と共に、日韓関係は凍り付くばかりだ。
イギリスのプレミアリーグで快進撃を見せていた彼は韓国サッカー「Kリーグ」に戻って来て、妻と娘と一緒に幸せな生活をしていた。
しかし突然、2人の男性から「21年前、キ・ソンヨンからいじめられ、性的暴行をされた」との話が出てきた。男性らは小学校時代のサッカーチームの1年後輩。6年生だったキ選手が合宿所で5年生だった男性2人に数か月間にわたり口腔性交を強要していたとの内容。
キ選手の弁護士と男性2人の弁護士は連日、暴露戦を続けていた。「事実無根、証拠は何処に?」、「認めた通話録音がある」、「脅迫に強く対処する」、「被害者中心主義で、被害者2人の一貫した証言が証拠だ」、「謝罪を要求する」などの攻防戦が繰り広げられた。
最近、キ選手の代理人弁護士が突然の辞任をし、相手の弁護士に謝罪した理由に対しても、色々論争が続いている。
一方、女子クレー射撃の韓国代表として、今夏、開催予定の東京五輪の出場権を得ていたキム・ミンジ(金敏智)選手。後輩選手に対するいじめ問題で12年間の活動停止処分を受けた。キム選手は大韓射撃連盟が下したこの処分により、東京五輪の出場権もはく奪されることになった。
キム選手は2014年にインチョン(仁川)アジア大会のスキート個人戦で金メダル、スキート団体戦では銀メダルを獲得した。2010年、2018年のアジア大会でもメダルを獲得している。4月に行われた東京オリンピック代表決定戦のスキート種目で優勝し、同五輪への出場権を得ていた。
同連盟は、キム選手から長年にわたって暴言などのいじめを受けてきたとする後輩選手からの被害報告を受け調査に着手。2日に開いたスポーツ公正委員会で処分を決めた。
キム選手は大韓体育会に再審を申請することができ、再審の結果次第では処分の内容が変更される可能性もあるというが、大韓射撃連盟は、東京五輪には代表決定戦の結果を基に別の選手を出場させることにしている。
韓国では現在、スポーツ選手や芸能人から過去にいじめや暴力を受けたという告発が相次いでいる。
事の発端は今年2月、東京五輪の韓国バレーボール女子代表だった双子姉妹のイ・ジェヨン選手とイ・ダヨン選手からいじめを受けたと、中学校時代のチームメートがネット上で訴えたこと。
その告発内容は、暴言や暴力のほか、ナイフで脅されたこともあったという衝撃的なものだった。その後、複数の中学校時代のチームメートからも被害の訴えが上がった。
姉妹はその後、事実を認めた上で所属チームを通じて謝罪のメッセージを公開した。しかし、韓国バレーボール協会は姉妹に対し、代表選手資格を無期限ではく奪することを決定。姉妹は東京五輪出場が不可能になった。
姉のイ・ジェヨン選手は高校時代から名アタッカーとして知られ、妹のイ・ダヨン選手は主力セッターとして活躍。昨年1月のアジア予選では、韓国代表チームの東京五輪の出場権獲得に貢献した。
また、ルックスと愛嬌の良さから、競技以外でもメディアの注目度は高く、テレビ番組にもレギュラー出演。「美人姉妹」として国民から人気が高かった。
姉妹のいじめ騒動後、他のスポーツ選手や芸能人に対しても、過去に暴力やいじめを受けたとの告発が相次いだ。
人気俳優のジス(本名キム・ジス)さんは今年3月、中学時代の同級生から「暴力や脅迫、侮辱、悪口などあらゆる校内暴力を受けた」などとオンラインコミュニティで告発され、その後、事実を認めて直筆の謝罪文を出した。
ドラマを中心に活躍していたこともあり、この騒動で、自身が主演していたドラマ「月が浮かぶ川」は撮り直された。制作会社が俳優の所属事務所を相手取り、損賠賠償を求める訴えを起こすまでに発展した。
いじめや暴力は決して許されるものではなく、被害者は例え何十年も前のことであっても、簡単に傷が癒えるものではない。
しかし、一連の騒動が「#Me Too(ミートゥー)運動」として、かなり過去の出来事を中心に、あちこちから被害の告発が相次ぐ背景は、韓国社会のひずみを反映しているとも言える。
韓国は若者の失業率が高く、大学を卒業しても就職が難しくなっている。儒教伝統による全てが序列化され、熾烈な競争社会で強いストレスも受けていて、それだけに不満やうっぷんがたまっている若者も少なくない。
苦労している自分とは対照的に、スポーツや芸能などの分野で華やかに活躍する人物がいて、それがかつて自分をいじめた加害者だったとしたら…。妬む感情が生まれ、それはやがて、かつての出来事の告発へと駆り立てる。
告発は同じような境遇の人たちの同調を買いやすい。ネット上では告発された加害者を非難する書き込みであふれ、いつの間にか、かつてのいじめの加害者がバッシングの被害者になる事態になっている。
しかし、世論に動かされる形で、協会などが重い処分を連発しているとしたら、根本的な解決にはならない。騒動が起きた社会的背景にも目を向ける必要があるのではないか。
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