1894年11月、チュンチョンド(忠清道)ウグムチ(牛禁峙)で東学農民たちが見せた行動パターンは、”精神勝利”の典型だった。ウグムチに集結した1万人以上の東学農民は、重武装した朝鮮官軍および日本軍に向かって無謀な攻撃を強行した。
東学農民たちは手に竹槍と火縄銃を持って密集隊形を成し突撃した。そして機関銃(ガトリングガン)の前で散った。このような人海戦術式の突撃は40~50回も繰り返された。普通は1~2回試して効果がなければ、他の方法を模索するものだ。しかし東学農民たちは全滅に近い被害を負うまで無謀な突撃をあきらめなかった。
東学農民たちの“非現実的な確信”と、東学指揮官の“漠然とした希望”が交わって引き起こされた大惨事だった。身に着けておけば飛んでくる銃弾もよけていくというお守りに対する無限の信頼と、一度は成功するはずだという東学指揮官の漠然とした希望が、人海戦術式の突撃を“最高の作戦”だと錯覚させたのだった。精神勝利が悲劇をけん引したのも同然だ。
21世紀にもかかわらず、このような“精神勝利”は韓国の地に相変わらずはびこっている。ユン・ソクヨル(尹錫悦、次期大統領候補の支持率1位)前検察総長が大統領選出馬を発表し、NHK記者からの日韓関係に関する質問にこう答えた。
「外交は実用主義、実事求是、現実主義に基づかなければならないが、文政権が理念偏向的な“竹槍歌”を歌ってここまできた。今の日韓関係は修交以降、一番劣悪になっており、回復が不可能なほどにまで壊れてしまった。」
文政権の敗着をきちんと指摘した模範答弁だった。ところが“竹槍歌”の愛好家チョ・グク(曹国、タマネギ男)元法相が怒った。自身のフェイスブックに竹槍歌をリンクし、竹槍をぎゅっと握りしめた手が描かれた絵を掲載後、このように綴った。
「ユン・ソクヨル氏が日本政府と似たような歴史認識を持っていることに驚愕(きょうがく)した。文在寅政府のせいで日韓関係が壊れたという人がいるし、文在寅政府のおかげで日韓関係が逆転したという人がいる。ユン・ソクヨル氏は前者に属する。」
ユン・ソクヨル氏の建設的な発言(実用外交が大事)に対して、チョ・グク氏がかんしゃくを起こしたのだが、十分に理解できる。なぜなら、“反日分子”の目には反日だけが正常に見え、反日を排撃する理性的な行動に対しては受け入れられないものと見えるのが当然だからだ。
したがって、チョ・グク氏がユン・ソクヨル氏の発言に対して“驚がく”だとまで述べ、憤気トウ天(悔しく恨めしい気持ちが天をつくほどこみ上げる)なのは、チョ・グク氏がそのくらい心底“反日分子”だということを反証している。
チョ・グク氏は、文政権のおかげで日韓関係が逆転しているところだと鉄石のように信じている。ところが、日韓の間で何が逆転しているのか分からない。GDP、経常収支、ノーベル科学賞、出産率、就業率など主な指標を見ても、逆転の感じは見られない。半導体などに入っている核心的な素材や装備に対する日本依存度は、相変わらずだ。
それなら、教養水準でも日韓の間に逆転が生じているのか?残念だが、21世紀に入ってまで“竹槍歌”のようなものが広がる国ならば、その国の教養水準はこれ以上見る必要はない。日本を逆転中だというチョ・グク氏の考えは、根拠のないものであり、一種の自己催眠に過ぎない。
“竹槍歌”をあれこれ言うチョ・グク氏は、19世紀末のウグムチで機関銃に向かって突進しながら“精神勝利”を追求した東学農民の21世紀版に申し分ない。現実の感覚を失い、お守りに頼って竹槍に執着した東学農民の最後は、ウグムチの野原での虚しい死だった。
※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。
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