OECD加盟国における年齢別自殺率(青が韓国・オレンジがOECD平均)(画像提供:wowkorea)
OECD加盟国における年齢別自殺率(青が韓国・オレンジがOECD平均)(画像提供:wowkorea)
韓国では昨年、新型コロナウイルス感染症により死亡した学生は1人もいなかった。しかし 自ら命を断った学生は140人であった。

韓国では昨年、新型コロナにより死亡した人は917人であった。一方 自殺者は1万3799人で、新型コロナによる死者より15倍も多かった。

「韓国の自殺率は、OECD(経済協力開発機構)の加盟国の中で1位だ」というメディア報道は 日常となった。韓国は「いつから」「なぜ」自殺共和国となったのか。

韓国国会の未来研究院が今月7日に発刊した“高い自殺率、何が問題で何が問題ではないのか-国民統合の観点からみた韓国の自殺率”報告書(以下 報告書)は「社会の変動と自殺率の関係が深い」と指摘した。「自殺は 社会的災難だ」ということだ。

この報告書によると、1980年代中後半は 2010年代の自殺率の半数の水準であった。その後の いわゆる「IMF危機」が 自殺率の上昇を促進したのは事実だが、上昇の推移は すでに1990年代から始まっていた。実は 1960年から1970年代にも、今のような水準で自殺率は高かった。「権威主義の産業化」「新自由主義の世界化」の影響により、自殺率が高かったとみられる。最近の自殺率は、社会経済的地位が低い層で顕著に表れている。

韓国は 10代から80歳以上の全ての年齢層で、OECDの全年齢の平均自殺率より高い。特に 高齢者の自殺率は圧倒的な高さである。

韓国社会が、「自殺に対する関心」が足りないわけではない。多くの人々は「韓国社会の自殺率は高い」という程度のことは 皆知っている。

自殺という論議は「自殺の原因」を究明するという目的と関連がある。「予防」という 絶対的で実践的な要求と目標があるためである。しかし自殺の原因を見つけ出すというのは、容易なことではない。自殺率で、社会の変動の特徴と脈絡を読んでいく作業と、自殺の原因を見つける作業には関連があるが、同じ作業ではない。予防という観点でも この2つの作業は並行していかなければならないが、実質的に自殺予防での論議においての焦点は 原因究明にある。

しかし この “自殺の原因”について話をするとき、「社会に」「我々自らに」問うことはせず、「個人に」「自殺死別者に」対して「なぜなのか」と問う。

報告書は「自殺の原因を見つけなければならないというプレッシャーが、自殺を“私的問題”として限定させてしまう効果を生み出す」と批判している。自殺に対する韓国社会の基本視点と対応策を盛り込んだ文書とされている “自殺予防法”をみると、自殺は依然として「個人の心理的問題だ」と規定されている。したがってその対策は、ほとんどが「個人単位」で 自殺危険者(要因)を把握し、自殺の手段を得られないようにし、自殺の危険を生む情報を遮断し、自殺予防認識を広報・教育するなど、個人・心理的アプローチに限定されている。社会的な次元で 社会経済的・物質的要因を強調するよりかは、文化的・心理的要因を強調している。

報告書は 次のような結論を出した。「自殺を社会的問題ではなく、個人次元としてアプローチすれば、自殺予防の効果は発揮されない」「安全網の拡充において 不公正な労働市場の改善にいたるまで、社会経済政策が最も重要な自殺予防政策とならなければ、その限界は明白だ」「自殺を試みる人とその遺族・周りの人に対する政策的努力がなければ、効果は制限される」「法も作り 制度も作ったが、人材とシステム・財源が備わっていなければ、効果は期待通りには表れない」「地域社会次元での対策が有機的で再分化されていなければ、限界がある」

報告書は「韓国が この5つの内容を全て努力していく必要がある」と指摘している。

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