韓国社会世論研究所が12日、次期韓国大統領にふさわしい人物を問う世論調査の結果を発表した。

それによると、ムン・ジェイン(文在寅)政権と対立し、ことし3月に検事総長を辞任し「反・文在虎」を宣言したユン・ソギョル(尹錫悦)氏が前週より1.5ポイント減の29.9%でトップ。

革新系執権与党「共に民主党」所属で、対日強硬派として知られるソウル近郊のキョンギド(京畿道)知事のイ・ジェミョン(李在明)氏が3.4ポイント減の26.9%で2位につけた。

2人の有力候補が前週よりもポイントを減らす中で、その差を縮めた人物が、元首相で革新・左派系の執権与党「共に民主党」前代表のイ・ナギョン(李洛淵)氏だ。前週より5.9ポイント増の18.1%となり、2位のイ・ジェミョン氏との差を18.1ポイントから8.8ポイントに縮めた。

イ・ナギョン氏は韓国南西部のチョルラナムド(全羅南道)ヨングァン(霊光)郡出身の68歳。名門・ソウル大学を卒業後、韓国の日刊紙「東亜日報」の記者となった。1990年代には特派員として東京に駐在経験があり、日本語も堪能で「知日派」として知られる。

キム・デジュン(金大中)元大統領に抜擢され、2000年の総選挙で当選し政界入り。韓日議員連盟の幹事長、首席副会長など、日本に関連する役職も多く歴任した。

2014年7月からはチョルラナムド(全羅南道)の知事を務め、在任中の2016年には高知県と姉妹都市協定を締結した。

知事任期中にムン大統領から指名を受け、2017年5月に首相に就任し、2020年1月まで務めた。在任中、ムン政権の要職者の中で、日本の真の姿を知る唯一の人物と評されたこともあった。

昨年8月に党代表選で当選するも、次期大統領選をにらみ、今年3月に代表職を辞任した。党規約では、大統領候補が党代表を務めることを禁じているからだ。

知日派として知られるイ・ナギョン氏だが、だからといって親日であるとは限らない。2019年8月、日本政府による対韓輸出管理強化を受け、イ・ナギョン氏は「日本政府は超えてはならない一線を越えた」と批判。「日本はわれわれとの外交的協議も、アメリカの仲裁もわざと冷遇して、韓国に対する経済攻撃を進めている」とも述べている。

最近では、東京五輪・パラリンピック組織委員会が公式ホームページに竹島(韓国名・独島)を表示したことを受け、イ氏は今年5月、五輪のボイコットを主張。

フェイスブックに「人類の融和を目指す五輪精神にも反する行為だ。日本が最後まで拒否した場合、五輪ボイコットなど全ての手段を動員して断固たる対応を取らねばならない」と投稿した。

今月5日、イ氏はオンラインで大統領選への出馬を正式表明した。「暮らしを守る国」をスローガンに掲げ、「2030年までに全ての国民が今の中間層の水準で暮らせることを段階的に目指す」などと宣言した。しかし、日韓関係への言及はなかった。

イ氏が所属する「共に民主党」は11日、予備選を行い、大統領選の党公認候補者を8人からイ氏を含む6人に絞り込んだ。9月に本選を行い、公認候補を決める。

本選で過半数の得票者がいなければ、決戦投票が行われる。他の候補が結集すれば、大逆転が起こる可能性もあり、注目される。

日本人と接する韓国人は親日になりやすい。長い間の「反日教育」の矛盾を感じ始めるからだ。コロナ禍の直前までは年間1000万人余りが日韓を行き来していた。

日本を訪れるほど、反日教育の「呪術」は解けやすくなる。日本での生活経験を持つ知日派のイ氏が文政権の首相だった時期の反日はやむを得ない要素もあっただろう。

しかし、次期大統領を目指す彼はこれ以上、反日に走ってはいけない。拡大表示しない限りは見えもしないほどの五輪公式ホームページの竹島・独島の地図を理由に東京オリンピックのボイコットを煽動する発言は、彼自身と韓国国民を貶めるだけだ。あの島は韓国が実効支配中だからだ。


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