支持率の数値は肯定的な応答率を意味する。すなわち「とても良くやっている」「良くやっている方だ」「良くない方だ」「とても良くない」「分からない」と言う五つの回答の内、「とても良くやっている」「良くやっている方だ」と回答した数値を合わせたものだ。「とても良くやっている」が27.6%、「良くやっている方だ」が17.9%と出て来ており、二つ合わせて45.5%と言う支持率の数値となった。
一週間前の7月の第1週目(5~9日)の支持率の41.1%もまた、その直前の6月の第5週目(28日~7月2日)の38.0%に比べ、3.1%上昇したのだ。事実、6月の第5週目(28日~7月2日)の支持率38.0%は、6月の第3週目(14~18日)の支持率39.6%および6月の第4週目(21~25日)の支持率39.6%と言う横ばいの数値の後に現れた初下落した数値として、その後の持続的な下落(右肩下がり)を暗示する格好であった。
防疫の失敗によるコロナ禍の第4次流行と自営業者らの絶叫、脱原発および不動産政策など、あらゆる失政に起因したレームダックの為に、支持率の本格的な下落は明らかな状況であった。
ところがそんな状況で7月の第1週目に3.1%上昇し、この第2週目にはより大きく4.4%上昇し、一瞬にして45.5%に到達する反転が展開され、正常な思考と教養を持つ韓国人を面食らわせた。
このような支持率の変化について、メディアはきちんとした分析を出せずにいる。「大統領選挙のレースの本格化による支持層の政権再創出の心理が結集した効果」(東亜日報など)と言うのが唯一の分析だ。
そうだとしたら、同じく7月19日にMBCが発表した大統領選挙候補者への支持率において、与党系の李在明候補が27.1%の支持率で、野党系の尹錫悦候補(19.7%)をリードすると出て来た一方で、やはり同じく7月19日に韓国社会世論研究所が発表した大統領選挙候補者への支持率においては、反対に野党系の尹錫悦候補が30.3%の支持率で、与党系の李在明候補(25.4%)と李洛淵候補(19.3%)をリードしたことについては説明が成り立たない。
下落傾向が明らかであった文在寅への支持率を劇的に巻き返した要因は何なのだろうか?7月の第1週目と第2週目(7月5日~16日)にどんな出来事があったのか?この期間中、注目するに値するのはまさにオリンピック開幕を控えた日本に関するニュースの激増だ。
韓国メディアは一斉にオリンピックのホームページにおける独島表記イシューを大きく取り上げ続け、競技場内への旭日旗搬入イシューもまた大きく取り扱った。
加えて韓国チーム選手村のマンションの垂れ幕を巡る韓日間の感情的な争いを大きく報道し、垂れ幕がIOCによって撤去されたニュースもまた大々的に打電した。福島産の食材を巡る韓日間対立のニュースもまた大きな比重で扱った。
加えて世界遺産として登録された日本の軍艦島などについての説明資料に「朝鮮人強制労役」がきちんと反映されていないというニュースも次々と現れた。これに駐韓日本大使館総括公使の失言のニュースがラストを飾った。
文在寅に対する理解できない支持率上昇の背景には、このような韓日間の激化する感情的な対立がこびりついている。韓日間の対立の激化が、無能で失敗した指導者の支持率を引っ張り上げる特効薬となったわけだ。
文在寅への支持率急騰と言う奇異な現象を説明するのにおいて、このような「反日による『漁夫の利』現象」は合理的であり、蓋然性が高い説明として全く見劣りしない。
過去の経験を通して見たとしても、このような奇異な現象について「反日による漁夫の利」というもの以外に、異なった説明をする方法が今の所は全くない。
他の言い方をすれば、21世紀の相当数の韓国人が依然として「反日」というものを価値判断の重要な基準として選好しているという点を、今回の文在寅への支持率を通じて確認させられたという話になる。
飛躍して言えば、「経済が崩壊して韓国が赤化の危険に陥っても構わないので、日本を懲らしめうる指導者であれば誰でもOK」と言う風な反骨的な韓国人が多く存在するということだ。
もっと簡単に言えば、「日本と友になるよりもむしろ北朝鮮の金正恩と付き合おう」と言う風な歪んだ思考回路を持つ韓国人が今日相当数いるという話だ。
1972年にキム・イルソン(金日成)は「南朝鮮は米国と日本という二つの紐により維持されている。米国と言う紐と日本と言う紐の内、どちらか一方のみ切っても、南朝鮮は崩壊する」と力説した。謂わば「冠の紐戦術」だ。
この戦術に基づいて北朝鮮は韓米日の協調体制の中で最も弱い結び付きである「韓日関係」をターゲットとして、韓国に日本に対する過去の歴史イシューなどを執拗に問題視させるように絶え間なく助長してきた。
知日を主張する韓国人を「親日派」と罵倒させ、「主敵は日本」と言うセリフが自然なものになるようにし、「土着倭寇」と言う表現を流行らせ、世論調査で日本の総理よりも北朝鮮の金正恩に好感をより抱かせるようにしてしまった。
文明国家や文明社会では全く通じなかったであろう「冠の紐戦術」は、金日成が公言してから50年経って、韓国の地でほぼ成功したのを教えてくれる兆候がこのように溢れるようになった。
21世紀に世界10位の経済を誇る韓国の相当数の国民が、こんな風にはっきりと見せる「共産化戦術(冠の紐戦術)」に為す術無く翻弄される風景は、世界的に類例がないもので珍しいコメディだ。
半世紀前の時代遅れな「共産化戦術」にも騙される水準だから、2008年の狂牛病扇動に振り回されたのも、実は偶然でなく必然だったのだろう。
今回の7月の第2週目の文在寅への支持率45.5%実現における勝利のキーパーソンである熱狂的な支持層(「とても良くやっている」の回答者)を探ってみると、職業的には「事務職」従事者の40.1%が文在寅について「とても良くやっている」と回答して、自営業(26.8%)、肉体労働従事者(22.0%)、学生(18.6%)、農林漁業従事者(18.2%)、専業主婦(17.1%)、無職(16.2%)を大幅に上回ったと出た。
年齢別でみると、熱狂的な支持層は40代の44.9%が文在寅について「とても良くやっている」と回答して、30代(33.7%)、50代(29.2%)、18~29歳(23.7%)、60代(17.5%)、70代以上(10.5%)を大きくリードした。
一言で言って、今日の韓国人の「40代事務職」従事者が「文在寅」や「文在寅式スタイル」を熱烈に支持する中核的な階層だ。これを飛躍して言えば、韓国の40代事務職従事者が金日成の「冠の紐戦術」に最も「脆弱な(容易に振り回される)」階層だという推論に帰結する。
韓国の未来を牽引すべき「40代階層」がこのように扇動(反日扇動)に脆弱な特性を見せる現実は本当に残念だ。40代階層がもう少しきちんとした知識と教養を積み、心を入れ替えて正道に立ち返り、国を正しい方向へ牽引することを望む。加えて、文在寅への支持率も本来あるべき位置へ速やかに戻ることを望む。
※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダーさんの寄稿文を日本語に翻訳したものです。韓国メディアには既に韓国語版が公開されています。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。
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