韓国政府は、韓国大使館や韓国が支援した病院などで働いていたアフガン人のスタッフとその家族を「難民」ではなく「特別功労者」として韓国に移送することを表明。韓国政府は韓国への協力者に対する「道義的な責任」と「国際社会の一員としての責任」などから移送を決定したと説明している。
聯合ニュースによると、入国後、新型コロナウイルスの防疫の観点から、韓国中部のチュンチョンブクド（忠清北道）チンチョン（鎮川）にある国家公務員人材開発院で14日間の隔離生活を送る。その後、韓国社会に適応するための教育を受け、6～8週間後には政府が用意した別の施設に移るという。
ムン・ジェイン（文在寅）大統領は25日、「われわれを助けたアフガニスタン人に道義的責任を果たすのは当然すべきことであり、意味のあることだ」と強調した。
しかし、国民の間では受け入れをめぐって賛否が分かれている。外交部（日本の外務省に相当）は、受け入れるアフガン人について「特別功労者」とし、「難民」ではないとするが、大統領府の国民請願掲示板には24日、「難民を受け入れないでほしい」と求める請願が上がった。1日で2万人以上の同意があった。
韓国には大統領府のホームページで、国民からの要望を受け付ける「国民請願」という制度がある。登録された1件の請願に対し、30日以内に20万人以上の同意が得られた場合は、政府や大統領府関係者が何らかの回答をすることになっている。
韓国紙・朝鮮日報によると、ネット上では、「温かく迎えよう」との声がある一方、「イスラム教徒が大量に入ってくるのは心配」や「税金で食べさせるのか」といった反対の意見も上がっている。政界でも賛否が分かれているという。
韓国では2018年、中東のイエメンから南部のチェジュド（済州島）に500人余りの難民が来島し、波紋を呼んだ。チェジュドや首都・ソウルでは反難民のデモも起きていた。内戦から逃れたイエメン人たちは、チェジュ島が観光促進を目的に諸外国からの旅行者に30日間までのノービザ滞在を認める制度を利用し、第3国を経由して島を訪れ難民申請。
事態を重く見た韓国政府は、ノービザ入国対象国からイエメンを外したが、既に難民認定の申請を済ませたイエメン人に対しては、人道的配慮からその大半に滞在許可を出した。その後、難民認定を受け、現在まで韓国で暮らすイエメン人もいる。
一方、今回入国したアフガン人について、法務部（日本の法務省に相当）は難民認定に準ずる長期滞在資格を与えることを決めた。また同部は「出入国管理法施行令改正案」を立法予告した。成立すれば、入国したアフガン人の韓国での就業が可能となる。
韓国は1992年12月に難民条約に加入し、2013年7月にはアジア諸国では初めて難民法を施行した。しかし、難民認定率は低く、2019年は1.5%、昨年1～10月は0.8%まで下がり、1994年の統計開始以降、最低となった。
専門家たちは、今回入国したアフガン人たちは事実上の難民に該当すると捉えている。韓国紙・ハンギョレ新聞によると、同紙の取材に応じた難民人権ネットワークのイ・ヒョンソ弁護士は「今回入国する人々も、その後に入国する人々にも、優先的に永久的在留資格と強制送還禁止、韓国社会定着が保障されなければならない」と述べた。
賛否ある中で早期に受け入れを決めた韓国政府。今後、入国したアフガン人にとって、韓国が安住の地となるだろうか。
欧米から「難民認定率が低い」と非難されてきているのは韓国も日本も同じだ。人類史的には狩猟よりは採集や農耕を重んじている地域であり、自称”単一民族”としている共通点を持つ日本と韓国。その中、両国ともに所得増加により「3K仕事」（きつい・汚い・危険な仕事）や「3D仕事」（3K仕事と同じ意味で英語のDifficult、Dirty、Dangerous）の労働力を国内で確保するのは難しくなった。
このような問題を解決するため、「移民」ではなく「海外からの産業研修・技能実習」制度を採択してきた方法論までもが両国の同じところだ。
慰安婦問題や徴用工問題、歴史問題や領土問題で両国関係は史上最悪になり、毎日のようにどうのこうの言っていても、世界から見ると日韓の「人道主義」レベルには大差がない。
韓国や日本に対する「難民」対応の問題。人道主義や道徳に関する「同一問題」が2つの国に対する突然の試験に同じく”出題”されたわけだ。
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