在外選挙の郵便投票制の導入を公言した韓国与党、急ぐ名分はあるか(画像提供:wowkorea)
在外選挙の郵便投票制の導入を公言した韓国与党、急ぐ名分はあるか(画像提供:wowkorea)
在外選挙の郵便投票制の導入が9月の定期国会で話題に上がった。韓国与党のユン・ホジュン(尹昊重)「共に民主党」院内代表が、最近「在外選挙の郵便投票制の導入に向けた公職選挙法改正案を9月中に処理する」と公言したためである。彼は「法案小委員会が行われなければ、行政安全委員会の全体会議においても議論する」とし、単独処理する可能性も示唆したという。野党が反対しても動じないという姿勢だ。

在外選挙の郵便投票制は、在外公館(第21代総選挙基準、全世界91か所)で投票出来る現制度を改正し、在外国民が郵便で投票権を行使出来るようにする制度である。民主党は、コロナウイルスの影響で第20代総選挙(41.4%)に比べ、大幅に低下した第21代総選挙の在外国民投票率(23.8%)が郵便投票制を導入することで再び上昇に転じると判断したと思われる。9月中の処理を公言したのは、10月10日から開始される来年の大統領選挙国外選挙人不在者申告法案を公布・施行するためというのが政界の見方である。

しかし、民主党は、今、法案処理を強行する時期か慎重を期す必要がある。野党の一部と保守陣営では、投・開票のねつ造など、昨年4月15日に行われた総選挙の不正疑惑を提起する声が依然として残っている。8月の国会行政安全委員会の全体会議では、代理投票や虚偽申告の問題、国ごとに異なる郵便制度の不安定性に伴う配達の遅延に懸念が無いか検討すべきだという意見も出た。4・15総選挙と本年4月7日に開催された再・補欠選挙において、与党に偏っていると繰り返し批判された中央選管委員会でさえも、虚偽・代理投票について論議の可能性を指摘している。

民主党の試みは、在外国民の投票が進歩陣営に有利に働いた過去と無関係ではない。2017年第19代大統領選挙において、ムン・ジェイン(文在寅)大統領の在外国民得票率は、59.1%と全体の得票率41.1%を大幅に上回った。事情はどうであれ、法改正は与野党の合意を優先しなければいけない。政界は、現在の与党によるユン・ソギョル(尹錫悦)前検察総長の告発けしかけ疑惑の主張とこれに反発した野党による政治工作の糾弾及び国家情報院長の大統領選挙介入疑惑の主張が衝突した状態である。郵便投票制の導入を強行しようとすることは、与野党が対峙する局面において、火に油を注ぐ可能性があることを民主党は理解しなければいけない。
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