本日、韓国大統領府の秘書室補佐官が「イ・ジェミョン候補には危機に強いリーダーシップがある」と言及、実質的にムン・ジェイン(文在寅)大統領の「後継者のお墨付き」の人物でもある。
事故をめぐっては、沈没の原因に関してさまざまな疑惑が持ち上がり、色々な陰謀説が飛び交った。今回、認定された教科書の内容について朝鮮日報は、「セウォル号の故意沈没説など、事故に関する陰謀論が含まれている上、当時の政権に対する一方的な批判もある」と伝えている。
当時の政権とは保守系のパク・クネ(朴槿恵)前政権のことだ。セウォル号は2014年4月16日、韓国南西部・チンド(珍島)郡のクァンメド(観梅島)沖の海上で転覆、沈没した。船はソウル近郊のインチョン(仁川)港から南部のチェジュド(済州島)へ向かっており、修学旅行中の高校生も300人以上が乗船していた。
この事故は乗員・乗客299人が死亡、捜索作業員8人が死亡、5人が行方不明となる大惨事となった。
事故当時、原因について「船が岩礁と衝突した」という説や、「船に積まれていたものが爆発して船体が傾き、転覆した」という説、「米軍の潜水艦との衝突説」、「故意沈没の説」などが取り沙汰された。
韓国の大検察庁(最高検察庁に相当)は2014年10月、事故の最終捜査結果を発表。事故原因について、操舵手の技術が未熟だったために船が傾いた上、海運会社による船の無理な増築や過積載で、傾いた船がもとに戻る力が低下していたために発生したと結論付けた。
一方、遺族の代表らから推薦を受けた弁護士や専門家らで構成する船体調査委員会(韓国政府の予算で活動)は2018年8月、最終報告書をまとめたものの、統一見解を示さなかった。操舵ミスや機器の欠陥など「内因説」を指摘する委員と、衝突など「外力説」を指摘する委員、さらなる検証が必要とする委員で意見が分かれたためで、委員会として原因を特定することはできなかった。
また、事故原因をめぐる疑惑とは別に、監視カメラのデータの改ざん疑惑や、船のブラックボックスに当たるDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)のすり替え疑惑なども持ち上がったが、捜査を担当した特別検察官は今年8月、裏付けられる証拠や犯罪の疑いが見つからなかったと発表した。
それにも関わらず、キョンギド教育庁により認定された教科書には、事故について不適切な内容が記されているという。朝鮮日報は教科書を入手して分析した結果として、「これまで左派団体などが取り上げてきたセウォル号関連の主張やデモを一方的に書き写した部分がかなりあった」と指摘している。高校用の教科書には「国家救助システムがきちんと作動せず、罪のない国民が犠牲になった」と事故の責任を当時の政権に向けているという。
承認された教科書は、小学生用は学校現場では使用されないものの、中学、高校生用はキョンギド内の学校で来年度から使用される見通し。
セウォル号沈没事故は、韓国史に残る大事故であり、悲惨な惨事を繰り返さないために次世代へ語り継いでいくことが必要だ。しかし、事故を題材にした学校教材が、陰謀論を押し付けるものであったり、政敵である前大統領や前政権に対する否定的なイメージを助長するためのものであったりしてはならない。
2012年の大統領選挙で保守系のパク・クネ氏に負け政界引退を宣言していた革新系のムン・ジェイン氏。2014年のセウォル号が「事故」ではなく「事件」として扱われることで、パク政権は崩壊しはじめた。
「ロウソク革命」により2017年3月10日にパク前大統領の弾劾が確定すると、ムン大統領は真っ先にセウォル号の追悼施設を訪問し、芳名録に直筆を残す。
「子どもたちよ、あなたたちがロウソク広場の星明りだった。あたたたちの魂が一千万のロウソクになった。申し訳ない。ありがとう。2017年3月10日、ムン・ジェイン」
2017年5月9日、ムン・ジェイン氏は大統領に当選し、ムン政権が発足した。政敵の前政権が行った2015年12月の「慰安婦問題日韓合意」は全否定され、韓国と日本との関係はどん底に嵌る。パク政権の関係者200人あまりが裁判にかけられ、名誉に傷を負った自殺者が続出した。
日本の教科書にある「従軍慰安婦」などの表現を「慰安婦」に修正する変更に対して激しく反発している韓国。子どもたちが学ぶ教科書を政敵との政治闘争に利用しようとする韓国教科書が直らない限り、日本の教科書に対する韓国の言いがかりはその正当性が皆無となる。日本に対する韓国の「道徳的な優越感」はどこに行ってしまったのか。
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