岸田文雄首相は元徴用工と元慰安婦など日韓の対立懸案において、安倍晋三・菅義偉政権から続いている非妥協的基調を踏襲している。
自民党の単独過半数を確保した岸田首相としては「1次試験」を通過したが、来年7月の「2次試験」である参議院選挙を控え、韓国に対する強硬な態度を変えない可能性が高い。
韓国に譲歩するような姿勢をみせれば、選挙に不利に作用する可能性があるためである。
磯崎仁彦官房副長官は先月(10月)21日の記者会見で「旧朝鮮半島出身の労働者問題に関する韓国裁判所の判決と関連司法手続きは、明確な国際法違反だ」とし「今後も日本側が受け入れることのできる解決策を韓国側が早期に提示するよう強く要求する」と語っている。
このような発言は、安倍・菅政権時の官房長官の発言と全く異なるところがない。これは「元徴用工賠償問題は、1965年の日韓修交時に締結された請求権協定により完全に解決された」という主張である。
岸田首相もムン・ジェイン(文在寅)大統領との初の電話会談後、記者たちに元徴用工および慰安婦問題について「日本の一貫した立場に基づいて、韓国側に適切な対応を強く要求していく」と明らかにしている。
岸田首相は自民党内で穏健派とされているが、安倍前首相や麻生太郎自民党副総裁など強硬派の支持のおかげで自民党総裁選で勝利した。そのため強硬派の顔色をうかがうしかない立場にあるということだ。
しかもここ数年間、日韓の対立が続く中、日本内の嫌韓の流れが強くなったことで、韓国に対する融和的な態度は政治的に人気をなくすという実情である。
岸田首相としては、今回の選挙で勝利したが来年7月の参議院選挙も勝利に導いてこそ政治的立場を確固としたものにすることができることに加え、来年5月には韓国で新たな政権が発足することから「当分の間は、日韓関係の状況がより悪化しない線で管理するだろう」という見方が大方となっている。
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