韓国の中央銀行「韓国銀行」が先月末に発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は前期比0.3%増の477兆7142億(約46兆7139億円)だった。韓国は2021年通年の経済成長率4%を目標に掲げているが、7~9月期の成長率が0.3%にとどまったことを受け、韓国メディアは達成は厳しいとの見方を伝えている。

韓国の聯合ニュースによると、韓国銀行は8月の時点で今年の成長率予測を4.0%で据え置いていた。9月に4~6月期のGDP(暫定値)を発表した際には、7~9月期と10~12月期にそれぞれ0.6%伸びれば、年間4.0%成長が可能との見解を示していた。

しかし、7~9月期の伸び率は予測の半分である0.3%にとどまり、10~12月期に回復が明確にならない限り、2021年の成長率目標達成は厳しくなっている。

ただ、新型コロナウイルスの感染拡大以降の韓国における四半期ベースの成長率は、昨年7~9月期に2.2%増と3期ぶりにプラスに転じてから、10~12月期(1.1%増)、2021年1~3月期(1.7%増)、4~6月期(0.8%増)、7~9月期(0.3%増)と5期連続で増加している。

ムン・ジェイン(文在寅)大統領は5月の就任4周年の特別演説で「11年ぶりに4%以上の成長率を達成できるよう、政府の力量を総動員し、民間の活力を高める」と意気込みを語っていた。ムン大統領の演説内容を伝える、当時のハンギョレ新聞は「ムン大統領が経済成長率の展望について自ら触れたのは、景気回復への自信と、財政投入によってより早い回復を引き出すという意志を表したものとみられる」としていた。

しかし、7月に入ってからの新型コロナの再拡大が足を引っ張ることになった。韓国では7月から感染の「第4波」が到来し、感染者が急増。先月25日には1日当たりの国内の新規感染者数が3271人と過去最高となった。

昨年とは違って「K防疫」は目立たず、感染の再拡大を受け、7~9月期は消費と投資が振るわなかった。GDPの5割を占める消費は、飲食料品などで増加した一方、飲食や宿泊、娯楽サービスなどの業種で減少し、民間消費部門は前期比0.3%減と3期ぶりにマイナスに転じた。

設備投資は輸送用機械が減少したことも影響して2.3%減、建設投資も土木工事が減り、3.0パーセントのマイナスだった。

こうした中、輸出が成長率を支えてきた。今年7~9月期の輸出は前期比1.5%増加し、前期(マイナス2.0%)のマイナスからプラスに転じた。石炭・石油製品や機械、設備を中心に増加した。

7~9月期は感染の「第4波」の影響を大きく受けたが、新型コロナワクチンの接種完了率も最近70%を超え、来月1日から感染対策と経済・社会活動の両立を図る「ウィズコロナ」へと本格的に舵を切る。

ウィズコロナへの転換は、今月1日から始まり6週間ごとに3段階に分けて実施される。1日からの第1段階ではクラブなどの遊興施設を除き、ほぼすべての施設で24時間営業を可能とする。来年1月24日からの第3段階では、施設の運営や行事の実施、私的な集まりに関する制限を全て解除する。

防疫の緩和で内需回復が実現すれば、年4.0%の成長率を達成するかもしれない。しかし、本日発表された韓国コロナ新規感染者は2667人。歴代4番目に多い記録だ。

徴兵制度、徴用に近い医療陣の動員、法律を超越する行政力の駆使で国民人権を犠牲にしてきた「K防疫」。「NO JAPAN」の中にあっても日本発祥のQRコードを個人情報の管理ツールとして一定成果を上げてきた韓国自慢の「K防疫」。今「ウィズコロナ」の時代になって、その実力の実態が見えてきているかもしれない。

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