ムン・ジェイン(文在寅)大統領は8日、「需給安定のために、あらゆる方法を動員して素早く対応してほしい」と指示した。
尿素水は、ディーゼル車から排出される窒素酸化物を除去するため、排気ガス低減装置に使われる物質。韓国では車両の中でもディーゼル車の比率が高く、国内車両約2600万台のうち、ディーゼル車は1000万台と推計されている。
韓国で尿素水が品薄になっているのは、輸入先の中国が尿素水原料の尿素に輸出検査を義務付けたことで輸出が事実上制限されたことによる。韓国では尿素水の原料となる産業用尿素のほとんどを中国から輸入している。今年1~9月に輸入した産業用尿素の97.6%が中国産だった。
尿素水は供給不足により価格が高騰している。10リットルが9000ウォン~1万ウォンだった尿素水の販売価格は、最近は約10倍の10万ウォン(約9550円)に高騰した。
ガソリンスタンドでも尿素水の販売が次々に中止されている。トラックの運転手は取材に対して「ガソリンスタンドでは既に尿素水を売っていない。1週間以内にトラックを止めるしかない」と話していた。
また、ソウル市内にあるガソリンスタンドでは「普段なら尿素水を注文すると1~2日で入荷する。先週からは注文してもいつ入荷するのか分からないと言われている。尿素水に対する問い合わせが殺到している」と語っていた。
供給不足を受けて、既に、買い占めや売り惜しみも起きているといい、韓国政府は取り締まりを強化している。既に、流通業者の売り惜しみが発覚され、法的処置がなされた。
一方、日本や米国では尿素水の供給不足の問題は起きていない。韓国メディアはその理由について、日本や米国は乗用車のみならず貨物車もディーゼルエンジンの比率が相対的に低いためと解説している。
尿素水の供給不足を受け、韓国の大統領府は、「タスクフォース(作業部会)」を設置。大統領府のパク・スヒョン(朴沫賢)国民疎通首席秘書官は「国内の産業界・物流業界との協力体制や、中国など尿素の生産国との外交協議といった多様なチャンネルを総合的に活用していく」と述べた。
また、革新系の執権与党「共に民主党」のソン・ヨンギル(宋永吉)代表は、問題解決のため、必要ならば中国を訪問する考えを示した。
事態の早期打開のため、産業用の尿素水を車両用に転換する案も出ているが、産業用の尿素水の在庫はそれほど多くなく、転換のためには濃度や純度を合わせる必要があり、転換できる量は限定的とみられている。また、尿素水なしでの車の運行を一時的に認める案も上がっているが、「COP26」でムン大統領が自ら環境問題への取り組みを大々的に自慢したばかりであり、規制や技術問題もあり、容易ではない。
実績を求められた「タスクフォース」はオーストラリアに軍用機を派遣し、2万リットルを輸入すると発表した。これに対しては韓国では「2万トンの間違えだと思った。2万リットルなら、タンクローリー1台分だよ」、「またも『ショー統領』(ショーが上手な大統領)のショーが始まったな」「国内ディーゼル貨物車だけでも1日も使えない量」「このショーのために使われる軍用機の燃料はいくら?」などとの批判も起きていた。
その中から、韓国の運転者の中にはインターネット・ショッピングで尿素水を日本から個人並行輸入をする動きもある。これに関しては、「『NO JAPAN』なんかせず、日本と仲良くしていたら、こんな時に助けてもらえるのに」「日本に助けてもらえるなら、個人輸入ではなく、船で大量に運んで尿素水の問題はすぐ解決できる」との意見も多かった。
今のところ、韓国で尿素供給の約束を破った中国に対しては「不買運動」は起きていない。当分の間、韓国は必死になって中国に「売ってください」「約束を守ってください」とお願いすることになりそうだ。中国に頭を下げない限り、しばらくは尿素水問題は解決されない。127年以上の前にタイムスリップしたような状況だ。
被害意識に塗れた隣人との過去を収拾し、未来志向で仲良くしようとして努力していた隣人。その隣人との約束を破り、既に存在もしない帝国に対して今さら独立運動を繰り広げ「二度と負けません」と煽っていた容易い政治家を選択した結果は、あまりにも分かりやすい。
アジアの知恵が詰まっている四字熟語として、中国には「亡羊補牢」、韓国には「亡牛補牢」がある。「牛を亡いてから牢を補う」とのことだ。祭りが盛んな日本には「後の祭り」ということわざもある。
もう「後の祭り」だと皮肉られても仕方がない。約束は「二度と破りません」を一方的に宣言しよう。
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