コロナの世界的大流行後、日常を回復し、新しい覇権競争の中で今後5年間、大韓民国を導くリーダーを選択しなければならない重要な岐路に立たされている。
未来のためのビジョンが重要である今、残念ながら両有力候補は告発や疑惑という過去に足を引っ張られている。大統領単任制は「勝者独占」構造のため、与野党は大統領の権力を得るための決死の対決を厭わない。民主主義を訴える場となるべき大統領選挙が、ネガティブ攻防の場に変質する構造的な原因だ。このような弊害を知りながら、候補だけでなく政党まで対立を煽っている。一方は「青(民主党)が嫌でも赤(国民の力)になるのか」という意識にとらわれており、もう一方は「反ムン・ジェイン」感情にだけ頼っている状況だ。
こんな状況が続けば誰が当選しても「中途半端な政権」に終わるしかなく、国政遂行に支障が生じるだけだ。これまでの政治勢力が地域と階層、理念と世代などすべての分野で足し算とかけ算の代わりに引き算と割り算にだけ依存してきたためだ。未完成の民主主義から進歩するどころか、残念な過去を繰り返すことになる。国家的にも国民一人ひとりにとっても不幸なことだ。
この状況にピリオドを打つには、根本的な発想の転換が必要だ。誰を選んでも、大韓民国の長年の葛藤をきれいに治癒し、すべての問題を一挙に解決することはできない。本人の当選で新しい社会が到来したり、ばら色の未来が開かれるかのように主張するなら、偽りの扇動だ。大統領のポストは国家を代表する政治のリーダーだが、聖書に出てくる「メシア」(救世主)ではないからだ。「大転換」「公正の回復」など華麗なスローガンの裏には、一種の錯視現象がある。
国内「大統領学」分野の開拓者であり専門家でもあるハム・ソンドゥク京畿(キョンギ)大学政治専門大学院教授は自身の著書で「未来の大統領が成功するためには政治的余裕と平穏さ、選択と集中、時代精神の理解などを基に、脆弱な政治力を回復しなければならない」と強調した。円滑な国政運営には立法府の協力も欠かせない。扇動と惑わしの代わりに、統合と和合、共生とガバナンスで競争をする時だ。
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