尿素水の品切れを表示した看板(画像提供:wowkorea)
尿素水の品切れを表示した看板(画像提供:wowkorea)
中国の輸出制限措置で韓国企業が輸入できなかった1万8700トンの尿素水を輸入することになり、尿素水不足による大混乱は避けられることになった。しかし今回の事態は典型的な人災だとの批判が起きており、政府の対応の遅れが俎上(そじょう)に乗せられた。

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特に、韓国政府の供給網管理と経済の脆弱(ぜいじゃく)性まであらわになった。問題は尿素水不足の混乱が、全世界で繰り広げられている「新資源戦争」の始まりであるという点だ。各国が目的達成のためには手段を選ばない政策に出ているため、韓国政府のエネルギー・経済・外交安保も深刻な弱点を抱えていることになる。専門家らは、原材料輸入の多角化や全面的な政策支援、長期的な需給安定化対策などの対応が急務だと指摘している。

振り返ればここ数年間、今回の尿素水騒動と同様の事態が繰り返された。2年前の2019年には、日本の強制連行被害者に対する賠償を命じた韓国最高裁の判決に対する報復として、半導体生産に必要なフッ化水素など3つの物質に対する輸出規制を強化した。政府はその後、材料・部品・装備対策とレアメタル産業発展対策を打ち出すなど、産業供給網の安全性と復元力を高めると明らかにしたが、目立った効果は見られなかった。

貿易協会によると、3大素材のうちフッ化水素の対日輸入依存度は、輸出規制前の18年の41.9%から今年9月には13.2%へと下がったが、日本が先進的な生産技術力を保有しているフルオリンポリイミドの対日輸入依存度は82.6%から93.1%へとかえって上昇した。新資源戦争で既存のグローバル供給網が崩壊すれば、このような状況は今後さらに頻発する可能性が高い。

実際、中国への過剰な依存度は、「高い請求書」になって跳ね返ってきている。自動車の軽量化に欠かせないマグネシウムインゴットは100%中国に依存するが、最近の電力難で中国政府が生産を規制し供給不足に陥っている。医療機器・半導体製造に必要な酸化タングステンは95%、電子製品の軽量化に使われるネオジム永久磁石は86%、二次電池に欠かせない材料である水酸化リチウムは84%をそれぞれ中国から輸入している。中には他の外国からの供給に頼れない品目もある。次世代半導体素材として注目されているガリウムは、全世界埋蔵量の97%を中国が占めており、供給網の多角化が不可能だ。

このように、中国がグローバル・バリュー・チェーン(GVC)の多くを占めている状況で、中国国内では、今回の韓国の尿素水騒動を供給網の再編の契機として活用すべきだという主張まで出ている。ソジョン(瑞靖)大自動車学科のパク・チョルワン教授は「中国発の原材料供給問題は、どの分野で起こっても不思議ではない状況」と語り、「政府が産業・エネルギー外交を強化し統制する案を見つけなければ、こうしたことがまた繰り返されるだろう」と懸念した。

専門家らは、繰り返される供給網の不安を安定させるためには、関係省庁間の連携のためのマニュアルを作り、中長期的な対策も行わなければならないと助言する。短期間で供給網の不安をなくす有効な解決策を見つけるのは容易ではないためだ。

関係国と友好的な関係を維持したり、価格競争力の面では多少劣っても材料として必要だとすれば、政府がこれを支援するシステムを作り、統合管理しなければならない。関税の引き下げや税制優遇など自給化の環境を整え、中国一色の産業供給網を全面的に見直し、戦略的な政策・財政支援も同時に行うべきだとも助言した。

韓国貿易協会国際貿易通商研究院のキム・ギョンフン研究委員は「原料鉱物と素材・部品、最終完成品段階に至るまで供給網各部門のリスクを体系的に点検し、これに対応するマニュアルとガイドラインを整備しなければならない」と述べ、「長期購買契約に対する支援と供給先を多角化するための国際協力を韓国政府が主導しなければならない」と強調した。

萎縮した海外資源開発の活性化も重要課題に挙げられた。キム研究委員は「長期的には政府と公企業や民間が協力し、海外資源開発を活発に行うべきだ」と述べた。

インハ大エネルギー資源工学科のカン・チョング招聘教授は「レアメタル確保を強化するには海外資源開発を行うしかない」と語り、「資源開発の特性上、政府が動かなければ確保が容易でないため、政府がタスクフォースを構成して資源確保に向けた外交を推進すべきだ」と指摘した。

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