マキ奈尾美(アルミダディ奈尾美)さん(47)は、カタール大使夫人として、また4人の子の母として忙しい日々を送りながら作曲家、ピアニスト、画家として活躍している。外交活動や子育て、ボランティアに追われ時間が限られる中でも、インスピレーションがわくと筆を取り、鍵盤に向かう。その活動は幅広く、絵画の展示会やチャリティーコンサートを行う傍ら、英国の著名なバイオリニストと共演したCDなど4枚をリリースした。これまで28年間にわたり、毎年冬にはテナー歌手の父親、ピアニストの母親とともに日本でリサイタルも開催している。
奈尾美さんは、画家でもある父親の展示会で現カタール大使のアーメッド・セイフ・アルミダディ氏と出会い、17年前に結婚した。外交官夫人として米ニューヨークや英ロンドンに駐在し、大使夫人として3年前にソウルを訪れた。「初めて仁川空港に降り立ったとき、自然のパワーともいうべき目に見えないエネルギーを感じました」。たちまち韓国の伝統民謡や舞踊に興味を覚え、それらをアレンジし曲に取り入れていくことで自分の音楽もずいぶん変わったと話している。
これまでにヘグン(胡弓)やテグン(大型の横笛)など韓国伝統楽器の演奏者とコラボレーションコンサートも開催し、韓国人の音楽性を「アジア人特有の繊細さを備えながら、感じたままを体で表現できる特性を持ち合わせていますね」と評した。ユルラン(栗卵)と呼ばれる、クリとはちみつで作るシンプルな伝統菓子に「素朴な中にも美しさを見いだす韓国人の性質を感じた」といい、同名の曲を書いたほど、韓国での生活は自身の作品に大きな影響を与えているという。
奈尾美さんはまた、外交と芸術活動は通じるものがあると話す。「外交というとすごく大きなことを考えがちですが、人と人が限られた時間でどれだけ深く感じ合えるかを念頭に置き、常に『一期一会』の気持ちで臨んでいます。音楽や絵画を通じても多くの人と出会いますが、人は十人十色のすばらしさがあります。自分にはないものを吸収することで、それが自分の作品や人生をより豊かにしてくれるんですよ」
コンサートで上げた収益は白血病や脳腫瘍(しゅよう)患者への寄付に当てている。今後もチャリティーコンサートなどへの参加を通じ、救済の手が行き届いていない小規模施設・団体に援助を続けていきたいと話した。(記事=小松朋子)
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