2021年の話題の人物(資料写真)=(聯合ニュース)
2021年の話題の人物(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国では、今年も各分野でさまざまな人物がニュースに登場した。 政界では、来年3月の大統領選への出馬を表明した候補者が注目を集めた。革新系与党「共に民主党」と保守系最大野党「国民の力」はそれぞれ李在明(イ・ジェミョン)前京畿道知事、尹錫悦(ユン・ソギョル)前検事総長を公認候補に選出し、本格的な選挙戦に突入した。 文化界では米映画「ミナリ」に出演した女優のユン・ヨジョンが韓国映画史上初めて米アカデミー賞助演女優賞を受賞し、人気音楽グループのBTS(防弾少年団)と米動画配信大手ネットフリックスのオリジナル韓国ドラマ「イカゲーム」のファン・ドンヒョク監督は「Kカルチャー」ブームをけん引した。 新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期された東京五輪では、五輪を最後に引退したバレーボール女子韓国代表の金軟景(キム・ヨンギョン)がチームを4強入りに導き、アーチェリー女子韓国代表の安山(アン・サン)は韓国選手として初めて夏季五輪3冠を達成した。 財界では前大統領の朴槿恵(パク・クネ)氏らへの贈賄罪などで服役していたサムスングループ経営トップ、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が仮釈放され、海外出張や大胆な人事を断行して経営復帰をアピールした。インターネットサービス大手・カカオの創業者で、同社の取締役会議長を務める金範洙(キム・ボムス)氏は事業と財産の拡大に成功したが、街の商圏の荒廃化などを巡って批判を受けた。◇与党大統領選候補に選ばれた「異端児」李在明氏 10月に行われた「共に民主党」の党内予備選で、李在明氏は50.3%の得票率を記録して大統領選公認候補に選出された。 貧しい家庭に生まれ、国会議員の経験もない党内でも異端の存在だったが、市民運動に携わる人権弁護士から城南市長、京畿道知事を経て与党の大統領選候補へと上り詰めた。 歯に衣着せぬ発言と明確な政策、京畿道知事時代の新型コロナ防疫対応などで示した推進力が強みとされる。 一方、公認候補選出と前後して取り沙汰された城南市の大庄洞開発事業を巡る不正疑惑のほか、20~30代の若者層や女性からの不人気、政権交代を求める世論の高まりが克服すべき課題として挙げられる。 李氏はこれを打開するため、文在寅(ムン・ジェイン)政権との政策の差別化を図ると同時に、大規模な不動産改革の推進を公約に掲げている。◇最大野党の看板候補として浮上した「刺客」尹錫悦氏 文大統領の側近で法務部長官だったチョ国(チョ・グク)氏を巡る疑惑で文政権と対立した尹錫悦氏は、3月に任期を約4カ月残して検事総長を辞任し、6月29日に大統領選出馬を表明。「公正と常識」をモットーに、国政選挙での4連敗で崖っぷちに立たされた保守陣営のリリーフ役を自任した。 自身の妻を巡る疑惑や、検事総長を務めた時期に検察が野党に対し、与党の政治家らを告発するよう働きかけた疑惑などで批判を受けたが、政権交代を望む世論を足掛かりに高い支持率を維持し、新人政治家にもかかわらず最大野党「国民の力」の大統領選候補に選ばれた。◇議員経験ない30代の最大野党代表 李俊錫氏 最大野党「国民の力」は6月の党大会で、新代表に36歳の李俊錫(イ・ジュンソク)氏を選出した。 国会議員の経験がない李氏は2011年、朴槿恵前大統領に同党の前身、ハンナラ党の非常対策委員会委員に抜てきされて政界入り。「朴槿恵キッズ」と呼ばれた。米ハーバード大卒で、低所得層の学生を対象に無料で教育サービスを提供するベンチャー企業家という経歴が注目を集めた。 政界では、4月7日の再・補欠選で浮き彫りになった20~30代の時代変革への欲求と保守再建の熱望が産んだ異変だとの分析が出ている。 大統領選に向け、選挙対策委員会で共同常任選対委員長と広報メディア本部長の1人2役を務めている。◇韓国俳優初の米アカデミー賞受賞 ユン・ヨジョン ベテラン女優のユン・ヨジョンが、4月に開催された米アカデミー賞授賞式で韓国映画102年の歴史上初めて助演女優賞を受賞した。 ユン・ヨジョンは、韓国系米国人のリー・アイザック・チョン監督の自伝的映画「ミナリ」で1980年代に米国に移住した韓国人一家を手助けするために韓国から来た祖母のスンジャを演じ、個性的な演技を披露した。 「ミナリ」が各種授賞式で受賞した112の賞のうち、ユン・ヨジョンに与えられた賞はアカデミー賞を含め42に上る。 ユン・ヨジョンは米誌タイムの「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたほか、国内では大衆文化芸術賞の金冠文化勲章を授与された。◇「イカゲーム」で韓国ドラマの歴史を塗り替える ファン・ドンヒョク監督 ファン・ドンヒョク監督は、ネットフリックスのオリジナル韓国ドラマ「イカゲーム」で世界的ブームを巻き起こした。 9月に公開された「イカゲーム」は、韓国ドラマとして初めてネットフリックスの世界人気ランキング1位を獲得。47日連続で首位の座を守り、ネットフリックス史上最長記録を打ち立てた。 「イカゲーム」は、米「ピープルズ・チョイス・アワード」と「ゴッサム・インディペンデント映画賞」も受賞。ファン監督は米ブルームバーグの「今年の50人」、シンガポールの日刊紙ザ・ストレーツ・タイムズの「今年のアジア人」にも選ばれた。◇米音楽授賞式AMAでアジア勢初の最高賞受賞 BTS BTS(防弾少年団)が世界的な人気を改めて示し、最高の1年を過ごした。BTSは5月に英語曲「Butter」をリリースし、米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」で通算10週1位を記録。7月には「Permission to Dance」、英ロックバンドのコールドプレイとのコラボレーション曲「My Universe」でも「ホット100」1位を獲得した。 こうした成果を受け、11月には米3大音楽授賞式の一つ「アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)」でアジア勢として初めて最高賞に当たる「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのをはじめ、3冠に輝いた。また、米音楽界最高の栄誉とされる「グラミー賞」では2年連続で「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」にノミネートされた。 BTSは11月27、28日と12月1、2日(現地時間)に米ロサンゼルスでコンサートを開催し、約21万4000人の観客を動員。約394億ウォン(約38億円)の収益を上げた。◇現代自のエンジン欠陥を内部告発 元社員のキム・グァンホ氏 現代自動車と子会社、起亜の車両エンジンの安全性問題を内部告発した現代自動車の元社員が、高額の報奨金を受け取ることになった。 同社の部長だったキム・グァンホ氏は、会社がエンジンの欠陥を知りながら適切な措置を取っていないとして、2016年に米道路交通安全局(NHTSA)と韓国政府に告発した。 キム氏はその後、営業秘密を流出したとして解雇され、業務上背任容疑で告訴されるなど辛酸をなめた。 NHTSAは問題のエンジンを搭載した自動車160万台を不適切な時期にリコールし、NHTSAにもエンジン欠陥情報を不正確に報告したとして、現代自動車と起亜に昨年8100万ドル(約92億4000万円)の課徴金を科し、今年11月にはキム氏に2400万ドル以上の報奨金を支給することを決めた。◇10年ぶりにソウル市長を奪還 呉世勲氏 11年に学校給食無料化を巡る住民投票の不成立を受けてソウル市長を辞任した呉世勲(オ・セフン)氏が、今年4月の再・補欠選で10年ぶりに市長の座を奪還し、再起に成功した。 呉氏は就任後、再建築・再開発事業の規制緩和をはじめ、選別的福祉制度「安心所得」、オンライン教育プラットフォーム「ソウルラン」など独自の政策と事業を打ち出し、市政を加速させた。約1年2カ月の任期中に終えるのが難しい中長期政策も発表し、再選に意欲を示した。 一方、市民団体との協力事業など故朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長が力を入れていた事業の来年度予算を大幅に削減し、与党「共に民主党」が多数派を占めるソウル市議会と関連市民団体は強く反発した。◇世論操作事件で実刑確定 金慶洙・前慶尚南道知事 与党「共に民主党」の元党員らがインターネット上で行った不正な世論操作に深く関与したとして業務妨害罪などに問われた文在寅大統領の腹心、金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事(当時)が7月、大法院(最高裁)で懲役2年の判決が確定して収監された。実刑が確定し、金氏は知事職を失った。 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の最後の秘書官だった金氏は、文在寅政権の発足後に共に民主党の院内協治部代表に任命され、党と青瓦台(大統領府)との調整役を務めて存在感を高めた。18年の地方選で慶尚南道知事に当選し、将来の大統領選候補と目されたが、世論操作事件で実刑が確定し、今後の政治的キャリアは不透明になった。◇仮釈放も依然残る司法リスク サムスントップ李在鎔氏  朴槿恵前大統領らへの贈賄罪などで服役していたサムスングループ経営トップの李在鎔・サムスン電子副会長が、光復節(8月15日、日本植民地からの解放記念日)に合わせて仮釈放された。 仮釈放以降も就業が制限されているが、出所当日からサムスン電子の社屋に出社し、懸案を把握するなど経営に復帰した。 グローバルネットワークの復元のため11月には米国、12月にはアラブ首長国連邦(UAE)をそれぞれ訪問し、事業パートナーに会って次世代移動通信やバイオ、半導体事業の協力基盤などを固めた。5年ぶりとなる米国出張では「市場の冷酷な現実を目の当たりにして心が重い」と述べ、サムスン電子の代表取締役3人を全員交代させるなど、大掛かりな人事を断行した。 「ニューサムスン」ビジョンを連日強調する一方で、グループ傘下のサムスン物産と第一毛織の不当合併やサムスンバイオロジクスの不正会計事件を巡る裁判が進んでおり、司法リスクは依然として残っている。◇韓国一の富豪に批判も カカオ創業者の金範洙氏  インターネットサービス大手・カカオの創業者で、同社の取締役会議長を務める金範洙氏は今年、事業と財産の大幅な拡大に成功した。 6月14日付のブルームバーグの億万長者番付で、金氏は約127億ドルと李在鎔・サムスン電子副会長(約126億ドル)を退けて韓国一の富豪に選ばれた。金氏が率いるカカオの売上高は7~9月期に初めてNAVER(ネイバー)を上回り、両社の前身から数えると18年ぶりに逆転した。 しかし、カカオは無軌道な事業拡大で街の商圏を荒廃化させたとの批判も受けた。 金氏は2月、10兆ウォンを超える財産の半分以上を社会問題解決のために寄付すると明らかにした。 これに先立ち、1月には金氏が保有するカカオの株式33万株(1月時点で1452億ウォン相当)を家族や親戚に贈与したことや、カカオの持ち株会社で同氏が持ち分を100%保有する非上場企業が妻や子どもなどを役員とする「ファミリー企業」であることなどが公になり、波紋を呼んだ。◇出前アプリで億万長者に 社会還元で寄付文化変える金逢進氏 出前アプリ最大手「配達の民族」を運営するウーワ・ブラザーズ(韓国名・優雅な兄弟たち)創業者の金逢進(キム・ボンジン)氏が財産の半分以上を社会に還元すると明らかにし、夫人とともに世界的な高額寄付者の集まり「ザ・ギビング・プレッジ」の219番目の寄付者として登録された。韓国人として初めて、アジアでは7番目の加入者となる。 IT企業勤務を経て10年にウーワ・ブラザーズを創業した金氏は、今年初めまでに100億ウォン以上を寄付した。配達の民族をドイツのデリバリーヒーロー(DH)に売却して得た株の価値などを含めると、財産は1兆ウォン以上に上るとされる。 一代で富を築き上げた代表的人物である金氏の財産の社会還元は、「富の継承」に象徴されるこれまでの財閥企業とは異なり、韓国の貧弱な寄付文化を改善する起爆剤となるか注目される。◇韓国を世界上位に押し上げたバレーボールの女帝 金軟景 韓国バレーボール女子のエース、金軟景は8月8日、東京五輪3位決定戦のセルビア戦に敗れた後、引退を宣言した。 17歳だった05年に初めて韓国代表に選ばれた金は、12年のロンドン五輪で4強、14年の仁川アジア大会で金メダル、16年のリオ五輪で8強、東京五輪で4強と、世界ランク上位の国と肩を並べる成績を残した。 東京五輪終了後、金の献身とリーダーシップが注目され、「金軟景シンドローム」が巻き起こった。◇韓国選手初の夏季五輪3冠 アーチェリー女子の安山 アーチェリー女子韓国代表の安山は、東京五輪の女子個人、混合団体、女子団体で計3個の金メダルを手にし、韓国選手として史上初の夏季五輪3冠を達成した。 安山が一躍スターダムにのし上がると、ソウル郊外・京畿道安山市の市民は安を広報大使に任命しようとSNS(交流サイト)で運動を繰り広げたが、最終的に安は出身地の光州市の広報大使になった。 安山は危機にも全く動じない「強心臓」の持ち主だ。五輪初出場から活躍し、9月に米国で開かれた世界選手権でも女子団体、混合団体で2個の金メダルを獲得した。◇韓日で活躍 元サッカー韓国代表の故柳想鉄氏 元サッカー韓国代表で日本の横浜F・マリノスなどでも活躍し、6月に膵臓(すいぞう)がんのため死去したプロサッカー・Kリーグ仁川元監督の柳想鉄(ユ・サンチョル)氏は、韓国サッカーを代表するマルチプレーヤーとして人気を集めた。 94年のプロ1年目にはDFとしてKリーグのシーズンベストイレブンに選ばれ、98年にはMF、02年にはFWでベストイレブンに選ばれるほど幅広いポジションをこなした。98年にはKリーグ得点王(15ゴール)にも輝いた。 98年のワールドカップ(W杯)フランス大会ベルギー戦での同点ゴール、02年のW杯韓日大会ポーランド戦での追加ゴールなど、韓国代表としても印象的な活躍を見せた。 09年に指導者に転身した柳氏は、19年の入院後末期の膵臓がんと診断されて闘病生活を送っていたが、ファンに約束した司令塔への復帰は叶わなかった。
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