「家族の過去」だけを問う韓国の大統領選挙戦(画像提供:wowkorea)
「家族の過去」だけを問う韓国の大統領選挙戦(画像提供:wowkorea)
来年3月9日に行われる韓国の大統領選挙が、過去最悪の泥沼選挙に突き進んでいる。最善の候補ではない、「どちらがより悪くないか」を意味する次悪の候補を探さなければならない、例のない選挙戦になっているからだ。

 こうした中で、政策が見えない選挙戦に複数の韓国メディアが批判に乗り出した。

 18日、韓国メディアのニューシスによると、韓国の大統領選挙が本人はもちろん、妻、子供、義母、兄弟、甥まで「家族リスク」が続き、選挙はますます混濁している。候補たちは非難と謝罪を繰り返し、両党は自党候補の過ちをかばう代わりに、相手候補を無差別に攻撃している。韓国の大統領選挙が、政治不信と嫌悪をこえて戯画化されており、有権者の選択を躊躇させている」と今回の大統領選挙の問題点を指摘した。

 与党「共に民主党」は虚偽の経歴や土地投機疑惑など、野党「国民の力」の尹候補夫人に関する疑惑を提起している。なかでも李候補が長男の不法賭博を認めてから、政局の焦点が尹候補夫人関連の論争から李候補の長男による不法賭博に移るのを防ぐため、与党の発言と疑惑提起の水位は一層激しくなった。特に、尹候補夫人の虚偽経歴疑惑は、チョ・グク元長官の娘にかけられた表彰状偽造に喩えられ、尹候補の公正性の価値に大きな打撃を与えている。

 野党「国民の力」は、李候補の大庄洞土地開発疑惑、弁護士費代納疑惑などを攻撃している。李候補の夫人であるキム・ヘギョン氏が盧元大統領と文大統領をひぼうしたツイッターアカウント「ヘギョン宮キム氏」であるという疑惑も再び持ち出した。李候補の長男に対しては、不法賭博はもちろん、性売買の疑惑まで持ち出し強制捜査を求めている。

 革新野党「正義党」でも、李候補の長男にかけられた不法賭博疑惑を上げ、政策が見えない選挙戦を批判した。

 16日、ヘラルド経済新聞によると、正義党選挙対策委員会のキム・チャンイン報道官は16日、国会の記者会見で今回の選挙戦を「時代精神に対するビジョンや国民に向けた政策もない。両党候補と家族の犯罪行為で埋め尽くされている」とし、強く批判した。

 キム報道官は「李候補の長男は賭博中毒者と自ら明かすほど不法賭博について、恥じるところが見えない」とし、「集中的に不法賭博をしたと自白した昨年7月、李候補は京畿道知事という責任ある公職者で与党の有力な大統領選候補だった」と指摘した。

 続いて「政治が失踪した前代未聞の大統領選挙になっている」とし、「例外のない司法的物差しで法の厳しさを証明し、両党候補についての疑惑も一つひとつ明らかにすべきだ。これが大統領選挙を終える唯一の方法だ」と明らかにした。

 18日、国民日報社説ではこうした問題の発生原因について指摘した。

 家族のリスクで荒れた選挙になってしまった根本的な原因は、極端な陣営対決構造によるものだ。韓国社会を二分する両陣営の間で、いつからか相手を倒すべき敵と考える認識が定着し、それは政治的論争に敵がい心を吹き込み、手段を選ばないネガティブ攻防を加熱させた。このような葛藤の溝を埋め、統合を叫ばなければならない政界は、むしろ便乗する行動を見せてきた。今、与野党の選挙陣営では、陣営対決をあおる刺激的なネガティブメッセージが連日生産されている。このような選挙では、韓国の未来は期待できない。両候補は、この状況を真剣に振り返り、省察の時間を持つべきだろう。
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