(画像提供:wowkorea)
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英国を代表する日刊紙「タイムズ(The Times)」が7日(現地時間)、脱北者が北朝鮮に渡った事件にスポットライトを当て、脱北者が韓国社会の冷酷な現実に適応するのに困難を感じていると報道した。今後、韓国内でも脱北者への処遇や支援体制について、論議が起こるものとみられる。

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 韓国メディアのメイル新聞が8日、英紙タイムズは「脱北者の"Uターン"で明らかになった韓国生活の冷酷な現実」という記事で、今月1日に発生したキムさんの越北(韓国を脱して北に渡ること)について、「監視カメラ(CCTV)で彼を5回も逃した韓国軍の無能より驚くべきことは、キムさんの越北動機」と記事の内容を紹介した。

 昨年、キムさんの命をかけた脱北過程を比較的詳しく説明したタイムズは「キムさんが今回も同じ方法で北に渡った」とし、「14か月前に裕福で、自由で、民主的な韓国に渡ったキムさんが、世界で最も過酷な全体主義独裁国家に再び戻った」と切り出した。

 さらに同メディアは、脱北者の大半が、韓国社会への適応段階から高い失業率やアルコール中毒、うつ病などに苦しんでいると伝えた。2015年に韓国の統一部(省に相当)が公開した資料「脱北者死亡原因別現況」によると、脱北者の死亡原因のうち15%(1万3513人)が自殺だ。これは韓国人の死亡者27万5895人に比べ3倍以上高い。脱北者の所得最下位階層の割合は、全体平均の6倍に達する。

 こうした脱北者の困難な現況を支援するために、韓国政府では脱北者を支援する組織を新たに立ち上げる。

 6日、ニューシスによると、統一部では北朝鮮離脱住民が安住できるように支援するのための専門チームを立ち上げると明らかにした。安住できないでいる脱北者を探し、社会に適応できるよう関係機関との連携体制も整えるという。

 6日、統一部の当局者は「脆弱(ぜいじゃく)階層調査で出てきた困難に瀕する脱北者については常時支援が必要だ」とし、「脱北民の安全支援チーム発足のために、関係機関と協議を進めている」と述べた。

 続いて「協議が終わり次第、早ければ1~2月中に発足する」とし、「厳しい状況に直面している脱北者を対象に生計、教育、心理面などで、個人に合わせサポートできるようにする」と述べた。

 こうした脱北者の問題について、チェ・ジョンエ全南大学教授は、京郷新聞の8日付けコラムで、このように指摘している。

 昨年、脱北者の死亡者106人のうち49人の死因は未詳だった。どうして未詳なのか調べようとしたが分からなかった。「2020年北朝鮮離脱住民社会統合調査」によると、自殺衝動を感じた脱北者は全体の13%に達した。自殺率なら極めて悪名高い韓国は同じ指標で5.2%を示している。脱北者の自殺衝動の理由としては「身体的・精神的疾患」(29%)、「経済的困難」(28.5%)、「寂しさ」(16.8%)があげられた。彼らの静かな死をわれわれは、どれほど理解しようと努力しているだろうか。資料が教える彼らの不適応、挫折、憂鬱(ゆううつ)は、すでに彼らが社会から暗黙的に排除されているという事実を絶えず表しているにもかかわらずだ。
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