現在、TPP加盟国は日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、ベトナム、メキシコ、ペルー、チリ、ブルネイ、マレーシアの11か国である。TPPは相互間貿易の障壁を撤廃するため、2005年にニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4か国で始まった。2008年には、アメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルーの4か国が参加し、2010年以降に日本、カナダ、メキシコ、マレーシアが加わった。
TPPの加盟は原則的に「希望国の関心の表明→両者の事前協議(希望国VS各加盟国)→希望国による加盟意思の公式発表→加盟国の承認」という手続きを経る。最後の段階に該当する承認は、加盟国の満場一致の賛成で成立する。すなわち、加盟国の全てが「拒否権」を持っているということだ。
日本は、2011年11月にTPP加盟に対する関心を表明し、加盟国の承認を経て、2013年4月に正式に参加した。そして、日本とアメリカを含めた12の加盟国は、共同作業を通じてTPP協定書を2016年に完成させた。ところがアメリカは2017年、トランプ氏の当選をきっかけに脱退を宣言した。その後、11か国体制のTPPは日本主導のもと、2018年12月30日に正式に協定が発効された。現在の11か国がTPPの創設メンバーになるのだ。そのうち、日本などの8か国は批准まで完了した。
2021年2月1日には、イギリスがTPP加盟意思を公式発表した。全ての加盟国が賛成すれば、2022年末頃に加盟が可能になるとみられる。同時に、インドネシア、フィリピン、タイ、コロンビアが数年前からTPP加盟のために関心を表明し、それぞれの加盟国との事前協議を進めている。
TPPは外見上、自由貿易を追求する経済協力体だが、事実上、中国の膨張主義を封鎖する目的で日本とアメリカが主導して推進してきた対中国経済同盟体とみることができる。これに対して中国は、TPPに対抗するための方案として2011年にインドネシアが提案したRCEP(地域的な包括的経済連携)協定体制を構築することに全てを懸けてきた。RCEP加盟国は日本、中国、韓国など15か国で、そのうち、日本とオーストラリア、シンガポール、ベトナムはTPPの加盟国でもある。
2021年11月15日、RCEP加盟国の協定文署名式があった。その時、中国メディアは「AIIB(アジアインフラ投資銀行)発足以来、中国外交の最大の勝利」と表現し、RCEPの構築に大きな意味を持たせた。
ところが2021年9月16日、異例の発表があった。中国がTPPに加盟すると公式発表したのだ。中国のTPP加盟への試みは、Quad(2020年発足、対中国、日米豪印戦略対話)に続き、AUKUS(2021年発足、対中国、米英豪軍事同盟)に対する神経質的な反発といえる。中国がTPPに加盟すると発表したのが、AUKUS発足の公式発表日である9月15日の翌日、16日だったのは、アメリカの対中国封鎖政策に対する中国の反発感がどれほど大きいのか示している。
実際、中国は2017年にアメリカがTPP脱退を宣言すると大きく安堵した。アメリカのいないTPPなら、元々意図していた中国に対するけん制の役割が大きく弱化せざるを得ないからだ。安堵した中国は、むしろアメリカの抜けたTPPに積極的に加盟することでRCEPに続き、TPPでも自分たちの影響力を行使するという逆転のチャンスを狙っていたとみられる。そしてこの状態で、アメリカ主導のQuadとAUKUSが相次いで発足されると、中国はすぐに対抗するレベルでTPP加盟というカードを電撃的に公式化したのだ。
そしてそこに台湾が9月23日にTPPへの加盟意思を公式発表した。中国の発表(9月16日)から1週間後だ。台湾の場合、2015年にTPP加盟に対する関心を表明していた。ところがそれで終わらない。今度は韓国がTPPに加盟すると12月13日に発表したのだ。
(つづく)
※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダー氏の寄稿文を日本語に翻訳したものです。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。
※ファンドビルダー氏:ソウル出身。高麗大学卒。韓国人が幼い頃から学び、聞き、見てきた日本関連情報の大部分が歪曲、誇張、捏造などで汚染された状態であることを残念に思い、真実を知らせる趣旨でコラムを書いている。慰安婦、徴用、外交・安保、経済など様々な分野を扱う。
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