大統領選挙を前に、候補が「現金ばらまき公約」...学者は経済危機警告=韓国(画像提供:wowkorea)
大統領選挙を前に、候補が「現金ばらまき公約」...学者は経済危機警告=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国では大統領選挙を前にして、与野党の候補が「現金ばらまきだ」という批判を受けているにもかかわらず、国家予算の増額による支援策を打ち出している。そうした中で、経済専門家の間から、このようなポピュリズム政策が続けば、韓国経済は日本が経験したような「失われた30年」が到来するだろうという警告が出た。

 東亜日報の12日付社説では、11日に開かれた経済学共同学術大会でソウル大学キム・インジュン名誉教授が「ポピュリズム政策が現実化すれば、経済は急速に悪化するか、長期低迷に陥る可能性がある」と指摘し、延世大学のハム・ジュンホ教授は「家計や企業の負債が、すでに限界値を超えた状態」と診断した。

 日本が1980年代後半以降、長期的な低迷期に見舞われたのは、高齢化で生産可能人口が激減した状態で、資産価格のバブルが一気にはじけたためだ。その影響で、家計や企業が負債削減に乗り出し、消費と投資が萎縮した上、輸出競争力まで墜落し低成長時代を迎えた。

 韓国もこの5年間、国内総生産(GDP)比で、国家債務比率が36%から50%へと急増している。昨年6月の家計負債比率は、主要37カ国のうち最も高かった。それにもかかわらず、政界は財源を考慮せず、現金ばらまき政策を打ち出し、負債をかえって増大させている。これは苦しい構造調整と未来に備える改革課題にそっぽを向いたまま、国を借金中毒状態に追い込むことだ。「失われた30年」はもはや他国の話ではなく、韓国社会の話だと、同紙は分析した。

 ソウル経済新聞の12日付社説でも、大統領選挙候補らが世界的な物価高騰や緊縮の流れに背を向け、引き続き「現金ばらまき」競争ばかり繰り広げれば、物価も高騰し続け大きな経済危機に見舞われかねないと指摘した。

 ホン・ナムギ(洪楠基)経済副首相兼企画財政相はこの日(11日)、拡大マクロ経済金融会議で「景気・物価・金融の不確実性が拡大する様相」と述べた。韓国の1月の消費者物価は1年前より3.6%上昇し、4か月連続して3%台の上昇率を続け、外貨保有高も3か月連続で減少した。さらに急増する財政赤字と2か月連続の貿易赤字が重なり、双子の赤字という非常ランプまで灯っている。

 それにもかかわらず、大統領選候補たちは、かえって「現金ばらまき」の人気取り競争に埋没している。李候補は同日提示した10大公約で、年間最大100万ウォン(約97000円)の国民基本所得を支給すると約束した。李候補は壮年手当や青年基本所得の導入と、児童手当の拡大なども公約している。尹候補は出産後1年間、1200万ウォン(約116万円)の特別給与と、脆弱(ぜいじゃく)階層を対象にした年400万ウォン(約39万円)の青年跳躍保障金支援を約束するなど、ポピュリズム公約を出している。

 候補たちは亡国的ポピュリズムを直ちにやめ、未来の成長動力を育てることに国力を結集しなければならないと、同紙は指摘した。
Copyrights(C)wowkorea.jp 104