(画像提供:wowkorea)
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韓国の次期大統領に野党のユン・ソギョル(尹錫悦)氏が当選した。落選した与党のイ・ジェミョン(李在明)氏との得票差は微々たるもので、わずか0.73%ポイントの差(48.56% vs 47.83%)だった。

 5年の任期を終えたムン・ジェイン(文在寅)政権の失政は、いちいち並べるのも難しいほど歴代最悪だった。「所得主導成長」という実験的政策と最低賃金の急激な引き上げを強行し、自営業者たちに大きな苦痛を与え、新型コロナ対策を政治的広報の手段に活用したことにより、国民に疲労感を与えた。

 無謀な脱原発政策で関連産業がつぶれ、反企業・親労組路線にこだわり、企業の投資意欲を削いだ。反市場的不動産政策によって各種の副作用も量産した。

 日本と合意した外交的約束を勝手に破棄し、まるで敵国に対するように日本への敵対心をむきだしにした。同時に“中国の報道官”の役割をしながら、アメリカの政策には非協力的だった。核に固執する北朝鮮には卑屈なほど低姿勢を見せた。

 文在寅政権の5年は一言で、対内的には経済政策が順調に進まないことで国民に苦痛を与え、対外的にはアメリカと日本から不信を買ったことにより、外交安保の側面でリスクを大きくした最悪の時期だったと言える。

 ところが、このような誤った路線をそのまま継承した李在明氏が、今回大統領に当選しそうになった。70年前に中国とソ連(現ロシア)の支援を受けた北朝鮮は、韓国を侵略した。当時、多くの韓国人が惨めに死んでいき、亡国の状況にまで陥った。

 幸いにもアメリカの主導下で国連軍が参戦したことにより起死回生した韓国は、その後、日本から経済的支援を受けたおかげで今日、豊かな国家として存在するようになった。このような点を考えると、今日の韓国人の精神状態が正常なら、反米反日(親北親中)路線にこだわる政治勢力を支持してはいけない。

 しかし気の毒にも今回多くの韓国人が李在明氏を支持した。李在明氏の47.8%という得票を通じて、今日の韓国人全体の半分ほどが反米反日(親北親中)路線に「反対しない」(賛成する)という事実が表れた。

 もしこれまでの70年余り、朝鮮半島で展開された歴史的事件から韓国人がまともに教訓を得たと仮定したら、李在明氏のような反米反日(親北親中)傾向の候補者が、国民の半分に迫る数の票を獲得することはなかった。

 このような面において、今日の韓国人は過去の歴史から教訓を全く得られなかった状態だとみることができる。歴史から教訓を得られなければ、迷夢に陥るしかない。

 誰もが同じ1票の権利だけを行使する投票方法に基づき、迷夢に陥った有権者が多くなるほど資格のない人物が当選し、国家を亡国の道に導く可能性が高くなる。迷夢に陥った有権者は愚かな選択をしてしまうものだ。愚かさは「教養不足」と「真実に対する無知」から始まる場合が多い。

 「教養不足」と「真実に対する無知」がよく表れている事件は、韓国で2008年に起きた「狂牛病騒動」が代表的だ。アメリカ産牛肉を食べたら韓国人の脳に穴が開いて狂牛病にかかるという不純な扇動に乗せられた会社員や学生、主婦など韓国の老若男女がろうそくを持って国を挙げてデモを行なった事件だ。

 当時、デモによってソウルの真ん中は数か月間、無政府状態だった。アメリカ産牛肉を問題にして、このようなコメディーのような騒動を起こしたケースは、21世紀の文明国の中で韓国が唯一だ。

 「狂牛病騒動」は、今日の韓国人がどれほど「教養不足」と「真実に対する無知」が深刻なレベルにきているのか、象徴的に見せた。教養が不足し、無知なら、扇動(プロパガンダ)にぜい弱にならざるを得ない。韓国人が、反日扇動に非常にぜい弱なのもこのような「教養不足」と「真実に対する無知」との関係が深い。

 問題は、迷夢に陥った愚かな韓国人の割合がますます増加しているという点だ。理性と教養を兼ね備えた韓国人がだんだん少なくなっている。「悪貨が良貨を駆逐する」という法則が現在進行形で展開されているのが、今日の韓国の悲劇的現実だとみることができる。

 このような現実は、韓国の有力世論調査機関(韓国GALLUP)が3月4日に発表した歴代大統領の「任期最後の四半期(5年目の第4四半期)の支持率」の調査結果だけを見てもすぐに確認できる。

 発表によると、キム・ヨンサム(金泳三)元大統領6%、キム・デジュン(金大中)元大統領24%、ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領27%、イ・ミョンバク(李明博)元大統領24%、パク・クネ(朴槿恵)元大統領5%(弾劾直前)だという。

 ところが歴代大統領の中で反米反日(親北親中)が一番強かった文在寅大統領の場合、45%にもなった。同じ傾向の歴代左派大統領(金大中元大統領、盧武鉉元大統領)よりもずば抜けて高い支持率だ。それほどに今日の韓国人の反米反日(親北親中)傾向が以前に比べて強くなったという反証になる。

(つづく)

※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダー氏の寄稿文を日本語に翻訳したものです。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。

※ファンドビルダー氏:ソウル出身。高麗大学卒。韓国人が幼い頃から学び、聞き、見てきた日本関連情報の大部分が歪曲、誇張、捏造などで汚染された状態であることを残念に思い、真実を知らせる趣旨でコラムを書いている。慰安婦、徴用、外交・安保、経済など様々な分野を扱う。

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