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韓国国際金融センターのファン・ユソン責任研究員とアン・ナムギ総合分析室長が18日に作成した報告書『新興国の成長動力変化と示唆点』によると、新興国が長期的な低成長局面に陥れば、世界経済も2~3%台の低い成長率が続くという見通しが示された。
中国の持続的な成長減速に続き、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原材料の価格上昇や供給網への支障の長期化などが、新興諸国の景気にさらに否定的な影響を及ぼしている。さらに、先進諸国の通貨緊縮政策まで進み、新興諸国に流れる資金もまた余裕のない状況となっている。
◇新興国と先進国のGDP格差、今年は0.6ポイント台に急落する見込み
これまで世界経済の成長の流れをリードしてきた新興国の世界経済成長への貢献度は下がってきている。中国とインドが爆発的な成長を遂げ、“ブリックス”(Brics、ブラジル・ロシア・インド・中国)が市場を牛耳っていた2000年代には新興国の世界経済成長寄与度が70%を上回ったが、新型コロナのパンデミックを経て、寄与度は60%前後に急落した。2010年代初めには寄与度が85%まで上がった時期もあったが、当時と比較すると20%以上低下したことになる。国際通貨基金(IMF)基準の新興国と先進国の経済成長率の格差も徐々に縮まっている。新興国と先進国の国内総生産(GDP)成長率格差は2010年代序盤の4%ポイント前後から新型コロナのパンデミックから2年が経った今年、0.6%ポイントへ急落するものと予想されている。
国際金融センターは、今後、新型コロナの“エンデミック(風土病化)”宣言後にも新興国経済がかつてのように高い成長を遂げにくいと見ている理由は大きく3つに分けられる。パンデミック期間中に固まった構造的な脆弱性、新興国経済をけん引してきた中国の成長鈍化、人口高齢化などによる成長動力の弱体化が根拠だ。
ファン・ユソン研究員は新興国がパンデミック期間中の莫大な財政赤字と政府負債の拡大によって危機後に副作用が続く“傷痕効果”を経験する可能性があると予想した。新興国の対GDP財政赤字は2019年の4.6%から2020年には9.3%に急増した。昨年は5%台にまで減少したが、依然として高い水準だ。政府負債も同様に、同期間に54%から63%以上へと拡大した。これは、政府の更なる景気低迷に対応する余力がその分だけ制限されるという意味だと解釈できる。政府財政の弱体化だけでなく、新興国の家計と企業の負債も急増し、民間部門の健全性にも赤信号が灯った。
◇中国経済の鈍化予想に新興国の高齢化まで…悪材料が揃う
このような中、中国の経済成長の減速もまた、世界経済に悪影響を及ぼすものと見られる。昨年、不動産グループ・恒大集団による不動産部門のジレンマの持続、電力難、高強度防疫政策などで成長傾向が鈍化した中、共産党の共同富裕政策で企業に対する規制が強化されている点も景気下方要因として指摘されている。オーストラリアのシンクタンクであるローウィー研究所は中国の経済成長率が2030年までは年間3%、2050年までは2~3%に鈍化するとの見通しを示している。
中国が世界の総輸出の14.7%、総輸入の11.5%を占める世界最大の輸出国かつ世界2位の輸入国であるだけに、基調的な経済鈍化の流れが他の新興国に及ぼす影響も大きい。インドネシアやベトナム、マレーシアなどの東南アジア諸国は全体輸出のうち中国が占める割合が15%前後と高くなっており、チリやブラジルなどの資源輸出国が中国に輸出する割合は30%を上回っている。中国経済が揺らげば新興諸国の経済全般が揺らぎかねない理由だ。
断片的な問題だけでなく、新興国の人口構造も徐々に高齢化しており、長期的な潜在成長率の下落に直面した。多くの国々が今後50年以内に雇用率が頂点に達し、特に中国の経済活動人口は20%ほど減少するものと推論されている。新興国の人口構造問題によって、2014年に4.8%を記録した経済成長率が3.1%に鈍化する可能性も出ている。
ファン研究員は「過去数十年間にグローバル投資資金が新興国に着実に流入したのは高成長に伴う収益を得るためだったが、先進国と似た成長基調で鈍化すれば、こうした流れに変化が生じる可能性もある」とし、「新興国が長期低成長に陥る場合、金利、物価以外の期待収益率も低い水準が慢性化し、世界経済全般が日本化の落とし穴に陥る危険もある」と指摘した。
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