3時間近く続いたムン・ジェイン(文在寅)大統領とユン・ソギョル(尹錫悦)次期大統領の会談が終わった。長時間にわたって多くの話が交わされたという。ただ、記者会見では大統領執務室の移転問題に関する会談内容だけが、比較的詳細に公開された。両者の会談には、ユ・ヨンミン(兪英民)大統領秘書室長とチャン・ジェウォン(張済元)次期大統領秘書室長が同席した。同日の記者会見は双方の協議により、張室長が代表で行った。

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 張室長が28日、ソウル市チョンノ(鍾路)区トンイ(通義)洞にある政権引継ぎ委員会で開かれた会見で強調したのは、大統領執務室の国防省庁舎への移転に関する両者の会談内容だ。張室長によると、尹氏はこの日の夕食会で「文民政権時代から(大統領府移転で)国民と共にする時代を開くと言ってきた。しかし、現実的な困難のため移転できなかったではないか。今回は(必ず移転)したい」と協力を求めた。

 これに文氏は「執務室の移転問題を判断するのは、次期政権の役割だ。現政権は移転計画にのっとり、予算を綿密に調べて協力したい」と答えたという。張室長は文氏の発言について、「移転時期や内容を実務的に共有し、文大統領が(大統領府移転計画に)協力するということだと理解した」と自身の解釈を付け加えた。ただ、張室長は移転に必要な予備費の承認問題や、移転次期については「具体的な話に至らなかった」と答えた。

 両者は、補正予算についても議論を進めた。張室長は「文大統領と尹次期大統領が補正予算の必要性について共感した。実務的なことは、イ・チョルヒ政務首席と私が引き続き協議することにした」と述べた。人事問題については「イ・チョルヒ首席と私が協議する」と付け加えた。

 北朝鮮の安保問題について、張室長は「引継ぎの段階で、国家の安保問題に関連し一寸の漏れもないよう、互いに最善を尽くして協議していくことにした」と明らかにした。

 張室長はこの日の会談で議題に上がると考えられていたイ・ミョンバク(李明博)元大統領の赦免(恩赦)問題については、「話が出なかった」と答えた。

 この日の会談は、和気あいあいとした雰囲気の中で行われたという。張室長は会談後の感想について「両者がお互いを尊重しすぎているような感じだった。マスコミや国民が感じている葛藤は見られず、互いを尊重する中、和気あいあいとした雰囲気で会談が進んだ」と述べた。

 新旧政権が実務を引き継ぐ段階で、人事権を巡り衝突したが、この日の会談では、このような葛藤がまったく現われなかったという。

 実際に、文氏は「当選、おめでとう。儀礼的なお祝いではなく、心からお祝い申し上げる」と述べている。これに尹氏は「ご招待いただき、誠にありがとうございます。国政は蓄積の産物です。良い政策は継承し、不十分な政策は改善していきます」と答えた。

 両者の会話には、ペットとして飼っている犬の「トリ」の話も出たという。文氏は捨て犬のトリを飼っているが、尹氏が飼っている犬も、偶然にも名前がトリだ。

 両者は大統領府内のサンチュンジェ(常春斎)で、午後6時から8時48分まで夕食を共に会談した。夕食には春のナムルビビンパや韓牛カルビなどがメニューとして出され、赤ワインも添えられた。文氏は尹氏を直接出迎え歓迎し、2人は徒歩で大統領府内の庭園である緑地園を通り、夕食会場の常春斎に向かった。この中で、文氏はサンシュユ(山茱萸:春小金花)や梅の木など、花木の名前を尹氏に説明した。文氏は同日、夕食が終わってから、尹氏にネクタイをプレゼントしたという。
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