2021年末に1ドル115円だったが、4月現在、1ドル130円に達した。ウォンについては、4月27日午前現在のソウル外国為替市場で前日比10ウォン急騰した1ドル1260ウォンで取引されている。1月初めに心理的最低ラインである1ドル1200ウォンを突破してから急激なウォン安(ウォンの価値の下落)が続いている。
このように円安とウォン安が続くと、今後それぞれにどのようなことが起こるだろうか?
一言で言うと、円安は日本にとって再跳躍の機会が与えられ、ウォン安は韓国にとって災いを招く。日本の再跳躍とは、1980年代の好況のような状況が再び到来することを意味し、韓国の災いとは1997年の通貨危機のような状況が再び到来することを意味する。
ドルに対して日本と韓国の貨幣が同じように価値の下落を見せているが、どうして結果は正反対に出るのだろうか?理由は簡単だ。日本と韓国が置かれた状況が、完全に違うからだ。日本と韓国の基礎体力が違うという話だ。
日本は元から基礎がしっかりした状態で、韓国は元から基礎が不十分な状態だった。日本の場合、「バブル崩壊」と「失われた10年」といった過去に多くの困難を経たが相変わらず揺るがない経済を維持するほど強い体力だと言える。一方、韓国は過去に通貨危機を幾度か経験した。アメリカと日本に助けられて、何とか今まで耐えてきたと見える。
現在日本は、30年以上も世界1位の対外純債権国だ。2020年末現在、357兆円規模の対外純債権を保有していた。ここから出る利子や配当などの収益が、貿易収支やサービス収支(観光収入など)の成績(黒字もしくは赤字)を圧倒している。
同時に日本の長所の一つである「打たれ強い」という点が挙げられる。アメリカが貿易赤字を解消するため、自国産業の輸出競争力を高める目的で日本などの主要国の通貨を切り上げるよう措置したのが「プラザ合意」(1985年)だった。これにより、当時1ドル240円だったが、3年で1ドル120円にまで暴落した(円高になった)。日本の輸出競争力が半分になったのだ。
並大抵の国家なら、すでに経済が焦土化し、再起不能の国家になっていただろう。しかし日本は、相変わらず経済強国の位置を守っている。付加価値の高い技術分野を中心に成長し続けてきたからだ。しっかりとした内需市場が存在するのも日本の長所だ。
一方、韓国は「外貨準備高不足」と「高い貿易依存度」によって不安な状態が続いている。世界金融市場が少しでも不安になると、韓国はすぐに揺れ動く。1997年、2008年、2020年の通貨危機は代表的な事例だ。始まったばかりのアメリカの金利引き上げは、当分の間続く可能性が高い。それならば、韓国の過去の事例を見ると、2025年頃に韓国は再び通貨危機を迎え、経済が破綻する可能性が非常に高い。
1997年、韓国の通貨危機は韓国企業の経営不振など複合的な要因によるものだったが、決定打は1994年から始まったアメリカの攻撃的な金利引き上げだった。アメリカが攻撃的な金利引き上げを始めた今の状況は、当時と非常に似ている。
4月現在、韓国の外貨準備高は4580億ドルで国際決済銀行の勧告値である9000億ドルの半分に過ぎない。外貨準備高が不足することでアメリカの金利引き上げにお手上げで、最近ドルが急騰してウォンの価値が下落しているのだ。
したがって韓国は対応策として金利を引き上げざるを得ない状況になった。韓国の政府関係者やマスコミは「インフレ抑制のために金利を引き上げる」と表現したが、実際は「ドル流出による通貨危機の恐れがあり、金利を引き上げるしかない」というのが正しい表現だ。もし韓国が金利を引き上げなければ、外貨(ドル)は大量流出しかねない。
ところが問題は金利を引き上げたら、韓国の時限爆弾である家計負債がバブル崩壊のようにはじける可能性が存在するという点だ。韓国はGDP対比の家計負債の比率が106%で世界最高レベルだ。金利の引き上げが続くと、貸付者の利子負担が重くなり、延滞比率が増加して最悪の場合、大規模の不良債権が発生する。
そうなると消費が委縮し、金融機関の不堅実化が続く。金融機関の不堅実化は経済全般に大きな悪影響を及ぼす。結局、韓国は今この瞬間、金利を引き上げないわけにはいかず、引き上げることもできない王手がかけられたのだ。
※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダー氏の寄稿文を日本語に翻訳したものです。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。
※ファンドビルダー氏:ソウル出身。高麗大学卒。韓国人が幼い頃から学び、聞き、見てきた日本関連情報の大部分が歪曲(わいきょく)、誇張、捏造(ねつぞう)などで汚染された状態であることを残念に思い、真実を知らせる趣旨でコラムを書いている。慰安婦、徴用、外交・安保、経済など様々な分野を扱う。
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