政権引継ぎ委員会(引継ぎ委)が最近発表した国政課題110項目の中で、「脱原発政策の廃棄、原子力発電によるビジネスエコシステム(生態系)の競争力強化」が主要課題に含まれた。引継ぎ委は、エネルギー安保や炭素中立の手段として、原発を積極的に活用する。また、原発生態系の競争力強化、米韓原発同盟の強化、輸出などを通じて、原発最強国へ跳躍するという目標を示した。
まず建設が中断された新ハヌル3・4号機〈キョンサンプット(慶尚北道)ウルチン(蔚珍)〉の工事を早い時期に再開し、全体発電量の中で原発の比重を2030年までに30%台に引き上げる計画だ。年度別の韓国電力統計を見ると、全体エネルギー源別発電量の中で、原発の割合は2020年に29.0%だ。2012年から30%前後を維持し、2018年には23.4%と底を打って持ち直した。
このため、運営許可が満了した原発は、安全性を前提に継続運転できるようにする計画だ。現在は原発の寿命が終わる2~5年前に継続運転を申請するようになっている。これを5~10年前に申請できるよう変更する。
継続運転の申請期限を早めれば、新政権の任期内に寿命を延長できる原発が、これまでの10基から最大18基まで増える予定だ。2034年と2035年に設計上の寿命が終わるハンビッ3・4号機〈(チョルラナムド(全羅南道)ヨングァン(霊光)〉の他に、6基が含まれる可能性も出ている。
原発業界のビジネス環境を強化するのも国政課題の1つだ。新ハヌル3・4号機の建設や、これまでの原発を延命するのには時間がかかる。それだけに、予備品を発注するなど、早い時期に原発業界でできるような仕事を生み出す計画だ。バリュー・チェーン(価値の連鎖)を詳細に分析し、核心機材に対する国産化、未来先端技術を確保するための研究開発、人材養成など多様な方案が提示された。
原発の輸出にも国家と民間が共同で乗り出す。2030年までに10基の輸出を目標に積極的な受注活動を行うため、政府省庁と韓国電力(韓電)、韓国水力原子力(韓水原)、金融機関、原発企業などが参加して「原発輸出戦略推進団(仮称)」を新設し、直ちに動き出す予定だ。
原発の輸出は、2009年、アラブ首長国連邦に原発4基を輸出してからまったく売れていない。現在、韓水原はチェコ・ドコバニ地域に8兆ウォン(約8200億円)規模で、1200メガワット以下級の原発1基を建設するために受注戦に乗り出した。業界や海外メディアなどによると、韓水原と韓電はポーランドと英国の原発受注にも動いている。
輸出競争力を強化するための次世代原発技術を確保するのがカギだ。2030年頃から本格的に商用化される小型モジュール原子炉(SMR)で、独自の炉型が開発できないか研究開発を集中推進する。2012年に韓国が世界ではじめて標準設計認証を獲得した「韓国型SMR」を開発して以来、現在、世界で71モデルが開発中だ。
韓国企業も小型モジュール炉(SMR)事業に積極的に参入している。GSエネルギー・斗山エナビリティ・サムスン物産の3社は先月26日、米小型原発メーカーのニュースケール・パワーと世界中にSMR発電所を建設し、運営する事業開発を共同推進する内容で、了解覚書(MOU)を締結した。ニュースケール・パワーは、世界1位のSMR企業だ。3日にSMR企業としては、はじめてニューヨーク証券取引所に上場した。
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