これに関して、2019年9月始めに韓国のマスコミは「日本の輸出規制2か月で日本産フッ化水素に替わり、韓国産フッ化水素を一部のプロセスに投入した」と一斉に報じた。一部の外信は「サムスン電子が、中国産フッ化水素の純度を上げ、半導体プロセスに投入するテストを進めている」と伝えた。当時の韓国の主なマスコミ報道を見ると、以下のとおりだ。
―サムスン電子、日本産フッ化水素の一部代替…国産を投入したようだ(2019.9.3 聯合ニュース)
―サムスン電子、一部プロセスに日本製フッ化水素の代替品を投入(2019.9.3 東亜日報)
―サムスン電子、日本製フッ化水素の一部代替に成功(2019.9.3 韓国経済)
―サムスン電子、半導体の一部プロセスに日本製フッ化水素の代わりに国産品投入(2019.9.3 KBS)
―日本の輸出規制2か月で「国産」高純度フッ化水素を半導体プロセスに投入(2019.9.4 ハンギョレ新聞)
一言で言えば、韓国の半導体関連の企業が日本産フッ化水素の比重を大幅に減らし、韓国産もしくは中国産に替えたということだ。
メモリー半導体の場合、サムスン電子の最新プロセスは14nmレベルだ。これに比べてTSMCと競っているシステム半導体の場合、メモリー半導体プロセスに比べて2倍以上も精密な7nm以下のプロセス(5nm、4nm、3nm…)だ。したがって、システム半導体プロセスに投入されるすべての素材と装備、部品は世界最高のもので構成されれば収率を極大化できる。
ところが、サムスン電子はフッ化水素の使用量そのものを減らすことによって日本への依存度を低くしようと、一度使用した高純度フッ化水素を再利用する案まで検討し、実際に一部のプロセスにテストをしたりもした。テスト後、高純度フッ化水素を再利用する方法を実際のプロセスに適用したのかは伝えられていない。素材の再利用は一種の苦肉策に当たるわけだ。ところがいくら再利用技術が優れていると言っても、すでに一度使用した99.999%以上の高純度物質を再利用したら、果たして最初の純度(99.999%以上)がそのまま維持されるのかという疑念を抱かざるを得ない。
サムスン電子のシステム半導体精密プロセス(7nm以下)の収率が暴落した原因については、正確に伝えられているものがない。おそらくその原因が究明されても詳しい内容はサムスン電子の対外秘密事項に属すため、今後も外部に公表されることはないだろう。
しかしサムスン電子のシステム半導体の収率が暴落し始めた時期と、日本の高密度フッ化水素輸出審査強化に伴うサムスン電子の対応(日本産縮小、韓国産代替投入)が始まった時期が、2019年だという点において正確に一致する点をどう受け入れるべきなのだろうか?状況上、サムスン電子のシステム半導体の収率暴落という現状と、高密度フッ化水素の韓国産代替という現状の間に何も関係がないとは、少なくとも断言できないだろう。
2020年に韓国が、日本産の高純度フッ化水素、フォトレジスト、フッ化ポリイミドを輸入した金額は3億7304万ドルだった。そしてその3つの素材を利用して半導体を生産し、韓国が輸出した金額は1221億ドル(2021年)だった。330倍近く(3億7304万ドル→1221億ドル)に増えたのだ。
最高の食材を厳選し、最高の料理を作るグルメ店が、ある日突然、検証もされていない食材を混ぜて作った料理を出したら、どうなるだろうか?何かおかしな味がするだろう。常連客は1人、2人とだんだん離れていくだろう。
このような面において、サムスン電子のシステム半導体の収率暴落は、反日の雰囲気に押しつけられて検証されていない素材を使用したせいなのかもしれない。そして、こんな素材によって精密裝備(EUVなど)が汚染されたのなら、問題は簡単ではない。小をむさぼって大をうしなうことの典型だ。
多くの韓国人が反日をタダだと思い楽しむが、考えてみたら反日ほど対価が大きいものもない。サムスン電子のシステム半導体事業が収率問題でさまよい続ける間、台湾のTSMCやアメリカのインテルなどは、サムスン電子をはるかに遠く離すことになるのだ。
そうなれば、今後、半導体分野の競争で韓国は淘汰されるしかない。おそらく韓国人はその時になって初めて、反日がタダでないという事実を自覚するだろう。
※この記事は韓国の保守論客ファンドビルダー氏の寄稿文を日本語に翻訳したものです。翻訳の正確さに対する責任は当社にあります。
※ファンドビルダー氏:ソウル出身。高麗大学卒。韓国人が幼い頃から学び、聞き、見てきた日本関連情報の大部分が歪曲(わいきょく)、誇張、捏造(ねつぞう)などで汚染された状態であることを残念に思い、真実を知らせる趣旨でコラムを書いている。慰安婦、徴用、外交・安保、経済など様々な分野を扱う。
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