地方選挙を前に、国営企業の民営化が選挙の争点として浮上=韓国(画像提供:wowkorea)
地方選挙を前に、国営企業の民営化が選挙の争点として浮上=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国では6月1日の地方選挙を前にして、「国営企業の民営化」問題が選挙の争点として浮上する兆しを見せている。与野党はキム・デギ(金大棋)大統領秘書室長の「仁川空港公社の株を民間にも売却」発言を巡り、連日攻防を繰り広げている状態だ。

 20日、韓国メディア「ニューシス」によると、国営企業の民営化の始まりは、17日、国会運営委員会での金大統領秘書室長の発言がもとになっているという。

 野党「共に民主党」のパク・チャンデ(朴賛大)議員が「過去に金室長は、公企業民営化に賛成していた。今もそうか」と質問したところ、金室長は「仁川空港公社の場合、韓国電力のように株も政府が持ち、経営も政府が行っている。ただ30~40%程度の株は民間に売りたい。そうすれば民間の株主が、この会社を監視することになる。民営化で会社を売るのではなく、民間が関与する部分を少し導入すること」と説明した。

 野党側は、民営化を推進したイ・ミョンバク(李明博)政権での関係者が、尹政権に大挙参加している点を強調している。国営企業の民営化に反対する有権者の心理をあおり立てるためだ。

 共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)総括選挙対策委員長は19日「電気、水道、空港、鉄道など民営化反対」というコメントをSNSに残した。同党の議員も賛同し、SNSに「電気・水道料金10倍」「盲腸手術が3000万ウォン(約300万円)」などの批判的なメッセージを出しはじめている。

 こうした野党側の主張について、与党側は「偽りの扇動」と批判している。

 国民日報によると、与党「国民の力」のクォン・ソンドン(権性東)院内代表が21日、「新政権で(電気・水道・空港など)民営化は議論さえしたことがない」とし、野党に向かって「偽りの扇動が度を越している」と指摘した。

 続いて「共に民主党はありもしない事実を想像し、その想像に向かって怒りを表している」と強調した。

 文化日報の20日付社説でも「民営化自体を無条件に悪魔化することも問題だ。公共サービスに民間の効率が優れた部分を導入したり、民間の資本を入れたりすることは、その程度と方法が問題なのであって必要なこと」と野党側の主張を否定した。

 文政権の5年間で、公共機関の負債が史上最高値の583兆ウォン(約58兆円)に増えたことを上げ、「この5年間、政権を握った共に民主党が一抹の責任を感じるなら、先頭に立って検討すべきこと」と求めた。
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