【イベントレポ】是枝裕和監督最新作「ベイビー・ブローカー」キャストが舞台あいさつ!ソン・ガンホ×カン・ドンウォン×イ・ジウン(IU)×イ・ジュヨンのキャスティング秘話とは?(画像提供:wowkorea)
【イベントレポ】是枝裕和監督最新作「ベイビー・ブローカー」キャストが舞台あいさつ!ソン・ガンホ×カン・ドンウォン×イ・ジウン(IU)×イ・ジュヨンのキャスティング秘話とは?(画像提供:wowkorea)
第75回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞、エキュメニカル審査員賞を受賞し、2冠の快挙を達成した是枝裕和監督最新作「ベイビー・ブローカー」。日本でもついに6月24日(金)から公開が始まったのを記念し、主演のソン・ガンホほか、カン・ドンウォン、イ・ジウン(IU)、イ・ジュヨンら主要キャストが揃って来日し、26日(日)に東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて、是枝裕和監督と共に舞台あいさつを行った。

韓国映画「ベイビー・ブローカー」のキャスト、公開日、あらすじ

登壇した5人は、まずはあいさつから。「こんにちは。ソン・ガンホです」と日本語であいさつをしたソン・ガンホは「約2年ぶりに皆さんの前で、このようにごあいさつをさせていただき、とても光栄でうれしいです。日頃から尊敬している是枝監督の新しい物語、温かい物語で、韓国に続き、皆さんにごあいさつができました。この映画は韓国と日本、日本と韓国に限った特別な話ではなく、私たちが生きている中で感じるさまざまなことを伝えている作品で、それを皆さんに届けることができて、きょうはとても意味のある一日だと思います」と笑顔で語った。

続いて、「こんにちは。お久しぶりです。カン・ドンウォンです。来ていただいて、ありがとうございます」と日本語であいさつをしたカン・ドンウォンは「本当に久しぶりに日本に来ました。久しぶりにお会いできて、大変うれしく思っています。これから映画をご覧になると思いますが、どうぞお楽しみください」と伝えた。

映画のプロモーションでの来日は初めてとなるイ・ジウンは「こんにちは。IUです」と日本語であいさつをした後、「私も日本に久しぶりに来たんですけど、空港にもたくさんの方が来て歓迎してくださり、すでにたくさんの方がこの映画をご覧になって、『良かったよ』と言葉をかけてくださったので、初日からとても気分が良かったです。前の方でファンの方が泣いていらっしゃるんですけど、私も日本に来るのが久しぶりで本当に申し訳ないし、私も皆さんに会いたいなと思っていました。この映画にたくさんの関心を持ってくださり、ありがとうございます」とファンへの感謝も。

同じく、映画のプロモーション来日は初めての女優イ・ジュヨンも「こんにちは。私はイ・ジュヨンです」と日本語であいさつをした後、「皆さんにお会いできて、本当にうれしく思います。日本の観客の皆さんとお会いできる光栄な場が与えられ、日本でのスケジュールをこなしながら、本当に光栄だと思っています。また、再びこういう機会が訪れるのかなと思うぐらいです。きのうは監督、キャストの皆さんとおいしい日本料理も味わいました。日本で本当に意味のある時間を過ごすことができています。残りのスケジュールもそのようにこなしていきたいと思います。ありがとうございます」と前日の様子も明かした。

そして、是枝監督は「まだ公開3日目なので、スタートを切ったばかりなんですけど、さかのぼると、15年以上前に釜山の映画祭で、『韓国でもし映画を撮るなら、誰で撮りたいですか?』と聞かれたとき、ソン・ガンホさんの名前を出させていただいて、そのインタビューを終えて、帰ろうとしてエレベーターを待っていたら、扉が開いて、ソン・ガンホさんがいたんですよね。その偶然は何か縁があるんだろなと思っていたんですけど、こういう形で作品に結実して、日本の公開をこのキャストで迎えられたこと、本当にうれしく思っています」と感慨深げに語った。

ここからは、フジテレビの宮司愛海アナウンサーのMCで質疑応答へ。


Q.ソン・ガンホさん、カンヌ国際映画祭での最優秀男優賞受賞、本当におめでとうございます!受賞したときの感想を聞かせていただけますか。

ソン・ガンホ:皆さんよくご存じだと思いますが、カンヌ映画祭は名前が呼ばれる前まで、全く結果が分からないんですね。なので、とても緊張した瞬間でした。その後、ステージに上がってからは、「是枝監督と素晴らしいキャストの皆さんに感謝申し上げます」とスピーチをしたことを覚えています。


Q.オファーが“ベイビー・ブローカー”役だと聞いたときはどのように思いましたか?

ソン・ガンホ:約6年前だったと思うんですけど、釜山映画祭で初めてこの話を伺ったとき、是枝監督の作品は全て拝見していてファンでしたし、尊敬する監督でしたので、是枝監督の新しい作品ということで、とてもワクワクときめきました。だから、どんな役でもやらせていただきたいと光栄に思いました。


Q.是枝監督は、ソン・ガンホさんとずっとお仕事をされたいと思われていたということですが、どのような思いで“ベイビー・ブローカー”役をオファーされたんですか?

是枝監督:映画の中でソン・ガンホさんが初登場するシーンを最初に思いついて、まずそこだけ書いたんですよ。そのときはA4で3枚ぐらいのショートストーリーでした。でももう、その6年前のプロットにはソン・ガンホさんとカン・ドンウォンさん、ペ・ドゥナさんの名前は書いていたので、本当に夢が叶って、こういう形になったという。


Q.カン・ドンウォンさんも是枝監督とお仕事をしたいと思っていらっしゃったそうですが、実際にお仕事されて印象はいかがでしたか?

カン・ドンウォン:是枝監督の作品は大好きで、いつかお会いして、一緒にお仕事ができればという思いがありました。それが実際にご一緒することになり、監督にお会いしたら、現場ではとても優しくて、皆さんもご存じのように最高の監督でいらっしゃるので、とても楽しく、いい経験になりました。


Q.何か印象と違った監督の一面はありましたか?

カン・ドンウォン:(よく考えてから)いいえ(笑)。特に印象が変わったということはありません。いつも監督は同じでした。優しくて、現場で楽しく撮影をされていました。だから、撮影が終わる頃、とても寂しかった記憶があります。


Q.カン・ドンウォンさんは是枝監督の誕生日も一緒にお祝いされていましたよね?

カン・ドンウォン:良いことなのか悪いことなのかちょっと分かりませんが(笑)、監督がおひとりで誕生日を過ごされると聞いて、ご飯に誘い、一緒に食事をしました。
是枝監督:2年連続で、ソウルでドンウォンさんと誕生日を祝うっていう。撮影は終わった後かな。


Q.2年連続でカン・ドンウォンさんとお祝いされたわけですね。良かったですね、監督。

是枝:良かったです(笑)。


Qイ・ジウンさん、日頃から歌に演技にとたくさんチャレンジされていますが、今回の役どころはとても複雑な役だったと思います。どんなチャレンジになりましたか?

イ・ジウン:出番もたくさんありましたし、これまでドラマに出演したことはありましたが、長編映画は初めてだったので、そこは挑戦といえば挑戦でした。私が演じたソヨンは、さまざまな設定があるキャラクターです。ご覧になると分かると思いますが。ソヨンを説明する修飾語がたくさんあります。一つの修飾語ではなく、さまざまな設定を立体的に表現できるようにと監督とも話し合いながら演技をしました。


Q.監督とお仕事をされてどんな印象でしたか?

イ・ジウン:監督の作品は全て好きなんですが、監督と最初にお会いして、あいさつをしたときに思ったのが、本当にご自分の映画そのものの方なんだなと思いました。撮影を終えた後も、その考えは変わりませんでした。


Q.イ・ジュヨンさんはブローカーたちを追う刑事として、ペ・ドゥナさんと共に、ブローカーたちとはまた別の目線で本作を見つめていく役どころでしたけれど、演じられていかがでしたか?

私も是枝監督の大ファンでしたし、先輩の俳優のみなさん、普段から気になっていた俳優さんとお仕事することができたので、現場で多くのことを学んで、感じるという姿勢で臨んでいました。撮影が終わり、プロモーションでも素晴らしい思い出、経験を積めたと思いますし、私にとって長く忘れられない思い出になる作品だなと思います。


Q.キャストの皆さんから、前からお仕事をしたかったという声もありましたが、監督は皆さんをオファーされた理由、また撮影の中ですごいと思ったエピソードはありますか?

是枝監督:ソン・ガンホさん、カン・ドンウォンさん、ペ・ドゥナさんはこの作品を一緒にやる前から映画祭でご一緒したり、来日したとき、僕が花束を渡す役をさせていただいたりという関係が元々あって。ペ・ドゥナさんは前に一度、映画を撮っていますし、その3人に関しては最初からあて書きをしました。イ・ジウンさんとイ・ジュヨンさんはコロナ禍で、僕が家で韓国ドラマにハマりまして(笑)。そこで見て、本当に『うわっ』と印象に残った2人にお声がけをしたという。もうIUさんの昔からのファンの方には申し訳ない、にわかファンなんですけども(笑)。韓国に渡って、オファーをして、夢が叶って本当にありがとうございます、って感じなんですけど。だから、一番僕が幸せだった現場ですね。理想的な思い描いた通りのキャスティングが実現してしまいました。すみませんでした、本当に。ありがとうございました。


Q.イ・ジウンさんとイ・ジュヨンさんはこの話を聞いてどうですか?

イ・ジウン:実は、監督が音楽や作品を通じて私のことを知る前に、一度、韓国で監督を見かけたことがあったんです。その時、私は監督のファンでしたが、監督は私のことを知らない状況だったので、あいさつをしたいと思いつつ、できずに通り過ぎました。それから1年以上が経って、監督の作品に参加できて、私の音楽も知っているということは、すごく不思議な気分です。
イ・ジュヨン:私は大学にいて、まだ映画のことを学んでいた頃に、監督の作品を見に行くような普通の学生でした。数年経って、監督が私の出演した作品を見て、私という女優を知っているということ自体、不思議な経験でありすごく幸せです。


Q.ソン・ガンホさん、今回日本で何か楽しみにして来られたことはありますか?

ソン・ガンホ:日本にはかなり頻繁に来ている方で、2年前にも「パラサイト 半地下の家族」でポン・ジュノ監督と一緒に来て、ごあいさつもしました。日本はとても好きですし、日本の食事も大好きなので、いつも来るときはとても楽しみにしています。それできのう、成田空港に着いたんですけど、イ・ジウンさんは韓国でスーパースターであり、日本でも有名なスターなので、多くのファンが空港に来るだろうと聞いていましたが、実際に100人を超えるファンが集まったそうです。でも、カン・ドンウォンさんを見るために集まったのは3人だったそうです。僕には5人も来てくださっていたのに(笑)。なので、きのうは1日中、気分が良かったです。
カン・ドンウォン:きのう、ソン・ガンホさんとこの話についてだいぶ長く話したんですけど、ファンの皆さん、頑張ってください(笑)。
ソン・ガンホ:ドンウォンさんはパリから来ていたんですね。韓国から来た飛行機ではなく、パリからだったから、3人しかいらっしゃらなかったんだと言い訳をしていましたが、いずれにしても僕はとても気分が良かったです。
カン・ドンウォン:最初、夕食の場で、「空港で何人待ってた?」と聞かれたので、「3人です」と答えたら、ソン・ガンホさんが「俺は5人だ!」って(笑)。
是枝監督:だいたいいつも現場はこんな感じでした。ソン・ガンホさんがドンウォンをちょっとイジって、楽しむっていう(笑)。僕も大好きなんですけど。


Q.最後にソン・ガンホさんと監督から一言ずつお願いします。

ソン・ガンホ:この映画は、日本の監督と韓国のキャストが一緒に作ったということが大事というよりは、日本人であっても、韓国人であっても、私たちが生きている社会の中の私たちの姿、私たちの隣人の姿、また人生の価値が描かれた作品となっています。国を越えて、誰にとっても共感できる温かい物語だと思います。みなさんにもその思いを受け取って、共感していただける、そんな意味ある時間として記憶されてほしいと願っています。ありがとうございました。
是枝監督:6年前に書いたプロットは実はすごくシンプルな話でしたが、映画を撮るために韓国に渡って、ベイビーボックス(赤ちゃんポスト)の周辺の人たちへの取材を重ねたのが、とても良かったなと思っています。取材をすればするほど、この物語が人間の命をどう考えるべきか? それを登場人物たちが悩む話だな、とちょっとずつ、最初に思い描いた話から変わっていきました。撮影を始めてからも変わっていくというプロセスを経て、今日、みなさんに観ていただく作品になっています。僕の映画はいつもそうかもしれませんが、明快な答えが最後に待っているというより、登場人物たちと同じように見た方たちも旅を続けながら、一人の赤ちゃんの運命を一緒に考えていただけたら嬉しいです。楽しんでください。


この日は日本のメディアはもちろん、韓国からも多くのメディアが訪れた中、舞台あいさつには約500人の観客が来場。質疑応答後には、一般の観客にも写真撮影タイムが設けられ、大盛況のうちに舞台あいさつは終了。また、映画館の前にも約200人ものファンが詰めかける大人気ぶりだった。


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