急冷か雪解けか…参議院選挙後、日韓関係の行き先とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)
急冷か雪解けか…参議院選挙後、日韓関係の行き先とは=韓国報道(画像提供:wowkorea)
安倍晋三元首相が不審者の銃弾を受けて死亡した未曾有の事件が今後の日韓関係にも少なからぬ影響を及ぼすだろうという予想が出ている。特に今回の事件は韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政府が日韓関係を改善するために本格的に乗り出し始めた時期と巧妙にかみ合っており、さらに注目されている。

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 専門家らは安倍元首相の死去後、△日韓関係の雪解け気流の促進、△日韓関係の硬直局面の強化、△現状維持の3つのシナリオを提起している。このうちのどの方向に日韓関係が変化するかは、10日に行われる参議院選挙の結果と自民党内の力学構図の変化にかかっているというのが大方の評価だ。最長在任日数を記録した安倍元首相は右翼勢力の求心点の役割を果たしてきた。

 10日に行われた参議院選挙は、早くから自民・公明連立与党の過半数勝利が有力視されていた。日本はもともと自民党1党の独走体制だったが、安倍元首相の銃撃死亡事件で右派勢力はさらに結集することになった。その代わり、自民党内の強硬派とされる「安倍派」と穏健派とされる「岸田派」などの派閥構図の変化が日本の政治勢力図を変える重要な変曲点として浮上した。安倍元首相は2020年に健康上の理由で首相職を辞任した後も岸田文雄首相の“上皇”の役割を果たしてきた。しかし、安倍元首相の突然の死で安倍派は瓦解(がかい)の危機に直面することになった。

 安倍派の威勢が弱まった場合、岸田首相は自身の政治色を出せる立場をさらに広げることができる。韓国の東アジア研究院(EAI)のソン・ヨル院長は「安倍元首相が歴史修正主義を掲げたため、韓国、中国との摩擦が避けられなかった」とし、「安倍元首相の死後、自民党内の強硬で批判的な声も縮小される可能性がある」と予想した。続いて「岸田首相の立場からも党内最大派閥の領主がいなくなるため、日韓関係で自律的・独自的に判断できる余地が生じるということだ」と説明した。

 一方、安倍元首相の死を機に、日本の政治地形がさらに右傾化する意見もある。韓国のアサン(峨山)政策研究院のチェ・ウンミ研究委員は「自衛隊を憲法に明記する方向の『改憲』と『防衛費の強化』が安倍元首相の遺言のように考えられ、これをさらに強化すべきだという声が高まりかねない」とし、「日本国民の世論も日韓関係に強硬な側面があるため、岸田首相が推進力を持つのは容易ではないだろう」と見通した。岸田首相に日韓関係を改善する意志があっても、実際の政治的環境は異なって形成される可能性があるという説明だ。

 もし、自民党が圧勝し、これを土台に改憲発議にまで乗り出すなら、北東アジア情勢は再び揺さぶられる他ない。日本は日本による植民地時代の元徴用工への賠償問題と慰安婦問題に関して、それぞれ1965年に締結した日韓請求権協定と2015年に締結した日韓慰安婦合意で完全に解決されたという立場を繰り返してきた。

 直ちに大きな変化はないだろうという見方もある。韓国のセジョン(世宗)研究所のチン・チャンス日本研究センター長は「韓国は進歩と保守で政治地形が両極化しているため、指導者の意向が及ぼす影響は非常に大きい」とし、「しかし、日本は自民党が長期執権しており、岸田首相も安倍元首相と政治的理念が大きく変わらないため、影響はほとんどないものと見られる」と言及した。また、日本政界が内部混乱の収拾に力を入れるなら、日韓関係の改善問題は優先順位から押し出される可能性もある。

 日韓関係に及ぼす否定的な影響を最小化するために、政府が外交的解決策を考えなければならないという声も出ている。韓国・国防大学校安保大学院のパク・ヨンジュン教授は日本と仲が良くない中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が弔電を送った事実に言及して「安倍元首相の葬儀が進行されれば、韓国政府も適切な特使団を派遣しなければならない」と話した。続いて「弔問外交を日韓両国が信頼回復の契機にし、日米韓協力関係を強化していく必要がある」と付け加えた。
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