官民協議会は外交部(外務省に相当)のチョ・ヒョンドン第1次官が主宰し、原告代理人や学者、元外交官らで構成。一部の原告側弁護士もメンバーに加わった。初会合は4日に開かれ、解決策を模索するため、各界各層の意見を幅広く聞いた。チョ第1次官は初会合終了後、「今日のような対話の場が、問題解決の重要な推進力になる」と強調した。
元徴用工訴訟で、韓国の大法院(最高裁)は2018年10月に新日鉄住金(現・日本製鉄)、11月に三菱重工業に対し、それぞれ原告への賠償を命じた。両社とも履行を拒んだことから、原告側は韓国内にあるこれら企業の資産の差し押さえと売却(現金化)に向けた手続きに踏み切った。大法院は早ければ今秋にも強制執行の開始に向けた最終判断を示すものとみられている。
一方、日本政府は1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場で、資産の現金化手続きは国際法違反だとして韓国政府に是正を求めている。仮に現金化がなされれば日本政府は制裁措置を辞さない構えで、日韓関係のさらなる悪化は必至だ。
14日に開かれた2回目の会合には1回目同様、原告の元徴用工の代理人や支援団体、有識者らが出席した。支援団体は「被告となった日本企業による謝罪が前提だ」と主張。謝罪の主体や方式、時期などに対して様々な意見が飛び交ったという。原告側の弁護士は「強制動員という不法行為に対し、日本政府と企業の双方の謝罪が必要だが、日本政府の強硬な態度をみると、現実的には少なくとも日本企業の謝罪が必ず必要との立場を伝えた」と説明した。
現金化を避けるため、韓国内では韓国政府が日本企業の賠償を肩代わりしたり、日韓の企業や個人による寄付で基金を作って賠償に充てたりする、いわゆる「代位弁済」案が浮上している。しかし、原告の弁護士はこの日の会合で、妥協案として代位弁済が議論される場合、少なくとも基金の助成に、被告企業の参加が欠かせないとの意思を伝えたことを明らかにした。また、日韓請求権協定により資金を受け取った韓国政府にも道義的な責任があり、日本の謝罪を前提に韓国政府が返済する案も出たという。
また、原告側は自国民の損害について、相手国の責任を追及する外交保護権を適用するよう韓国政府に求めており、外交部はこの日の会議で国がこれを行使するために必要な要件などを説明した。「外交保護権は私企業ではなく、日本政府が不法行為を行った際に要件に従って政府が発動できる権利」との外交部当局者の説明に対し、原告側は「要件に該当しないという外交部の説明はあたらず、我々は外交保護権の発動を持続的に求めていく」と述べた。
韓国政府は現金化が行われる前に協議会などを通じて関係者の意見を取りまとめ、解決策を模索する計画だ。しかし、2回目の会合には、三菱重工業を相手取った訴訟の原告2人の支援団体「日帝強制動員市民の集まり」と弁護団が不参加を表明。団体側は「当事者の立場を尊重し、加害者である三菱側の謝罪と賠償のほかに解決策はないということを改めて確認する」と強調した。聯合ニュースによると、この原告2人は元徴用工訴訟の原告のうち、現金化に向けた手続きが最も進んでいるとされ、「官民協議会が解決策を見出したとしても、両被告が出席しなければ有効性が得られない可能性がある」と伝えている。
11日の記者会見で「現金化が行われる前に望ましい解決策を見出せるよう努力する」と話した外交部のパク・チン(朴振)長官は、18日に就任後初めて訪日し、林芳正外務大臣と会談を行う予定。今回の訪問で、徴用工問題に関して日本側にどのような説明を行うのか注目される。
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