朴氏は18日、就任後初めて訪日し、林芳正外相と会談した。正式な日韓外相会談が開かれたのは約2年半ぶりのことだった。会談で林氏は「元徴用工問題をはじめとする日韓間の懸案の解決が必要だ」と韓国側に具体的な行動を要求。これに対し朴氏は「(日本企業の資産)現金化が行われる前に望ましい解決策が出るよう努力する」と応じた。また、慰安婦問題についても両国間の協議を加速させていくことを確認した。
朴氏は訪日日程最終日の20日、都内で韓国メディアの日本特派員向けに会見を行い、「4年7か月ぶりに韓日外相の正式会談が実現したこと自体、日本側の真摯(しんし)な対応の一環だと考える。これは韓日関係が変化するシグナルと見ることができる」と強調した。
この2日後の22日、日本政府は午前の閣議で、2022年版防衛白書を了承するも、韓国外交部は同日、白書の中で竹島(韓国名・独島)が「わが国固有の領土」と記述されていることに「不当な領有権の主張を繰り返した」と反発。撤回を求める報道官論評を発表した。論評は「日本政府は、不当な主張を繰り返すことが未来志向的な韓日関係構築の助けにならない点を自覚すべきだ」と指摘。竹島が「歴史的、地理的、国際法的に韓国固有の領土だ」と主張し、「独島に対するいかなる挑発にも、断固として対応していく」と強調した。
また、日本の原子力規制委員会は同日、臨時の会合を開き、福島第一原子力発電所にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水について、東京電力が政府の方針に従って策定した、海に放出する計画を認可した。
韓国側はかねてから処理水を「汚染水」と表現し、海洋放出の計画に強く反発してきた。日本政府に抗議するデモも、韓国内で度々行われている。今回の計画認可を受け、韓国政府は関係部署による緊急会議を開き、今後の対応を協議した。
イーデイリーは、朴氏の訪日からわずか2日後に、韓国側が敏感な問題について日本側が立て続けに動きを見せたことを伝えた上で、「日本は問題解決に消極的だ」と指摘。「岸田首相は尹大統領のメッセージを伝えに来た朴長官に会った後も『尹大統領の安倍元総理逝去に対する弔意のメッセージが伝えられ、私の方からそれに対して謝意をお伝えいただきたいということを申し上げた』と述べるにとどめ、日韓の懸案や日韓首脳会談への言及は一切なかった」と伝えた。
一方、訪日した朴氏は19日、日本の超党派の国会議員でつくる日韓議員連盟の会長を務める、額賀福志郎氏とも会談した。その際、朴氏は元徴用工訴訟に関して「現金化が行われる前に望ましい解決策を求めて、韓国内で努力している」と説明した上で「日本側も誠意あるリアクションをいただければありがたい」と述べた。
朴氏のこの発言に、自民党の外交部会長を務める佐藤正久氏は21日の党会合で、「韓国側が具体的な解決策を出す前に誠意ある対応を取ってほしいというのは言語道断だ」と批判。「岸田文雄首相にはぶれずに、韓国側に解決策を出させるという軸で対応していただきたい」と求めた。
佐藤氏はこれまで、韓国との関係改善に、日本政府が前のめりになることがないよう求めてきた。5月のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の就任式についても、佐藤氏は「過度な前のめりは間違ったメッセージを出し、足元を見られる。岸田首相が出るということは前例から見てもあり得ない」と忠告。徴用工訴訟や慰安婦問題など「(懸案が)まだ何も解決していない」とし、首相の出席について「今の日韓状況を考えると違う」と指摘した。最終的に就任式には日本政府として林芳正外相が出席することで落ち着いた。
佐藤氏は前出の21日の党会合で徴用工問題に関して「将来に禍根を残さないためにも、日本側が条約違反を許容するような安易な妥協は絶対にあってはいけない」と、改めて訴えた。
日韓外相会談を契機に、日韓の間で再び非難の応酬となっている。
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