日本政府は新型コロナの水際対策で止めていた外国人観光客の入国を先月10日から再開。新型コロナで大きな打撃を受けた観光業や地域経済の回復につながることが期待された。
これを受け韓国の旅行代理店各社が日本旅行のパッケージツアーを多数企画。ハナツアーは5月30日から6月5日にかけて、日本旅行の予約者が2週前より887%も増えたという。
先月29日からは韓国のキンポ(金浦)空港と日本の羽田空港を結ぶ路線が2年4か月ぶりに再開した。同路線は日韓両国の首都を結ぶ利便性の高い主要路線で、コロナ禍前の2019年の定期便運航回数は週84便に上り、年間約205万人が利用。ハイシーズンの搭乗率は98%に達する「黄金路線」だった。ソウル・東京間の航空路線には他にインチョン(仁川)・成田路線があるが、両空港とも都心部から離れている。キンポ・羽田路線の再開で、観光客やビジネス客の利便性が高まることになり、各方面から歓迎の声が上がった。
しかし、本格的な夏休みシーズンを前に、最近、韓国では日本旅行の予約キャンセルが急増している。聯合ニュースによると、韓国の旅行大手、モドゥツアーが今月20日から来月14日まで販売しているチャーター機による北海道旅行は、予約分のうち約40%がキャンセルとなったという。
キャンセル急増の要因について聯合ニュースは「多くの旅行客の期待に反し、日本政府が新型コロナの感染拡大を懸念して団体旅行のみを認めているのに加え、ビザ(査証)取得の手続きに2~3週間かかるなど条件が厳しいためだ」と伝えている。コロナ禍以前にはビザなしで手軽に日本を訪れることができていたことを考えると、ビザの取得は大きな手間と負担となっている。また、日本入国後は事前の計画通りに行動しなければならず、自由に観光スポットを訪れたり、ショッピングをしたりすることもできない。
官公庁の和田浩一長官は20日の定例会見で、訪日外国人観光客(インバウンド)の受け入れが部分的に解禁された先月10日から同月末までの入国者数は252人だったと発表した。現在、日本では1日当たりの入国者数の上限を2万人と定めているが、それすら大きく下回る状況で、低調なインバウンドの実態が浮き彫りとなった。
日本は今年に入って急激に円安が進み、費用面では日本旅行は好条件だっただけに厳しい入国条件が悔やまれるところだ。モドゥツアーの関係者は、聯合ニュースの取材に「日本は国境を開いた国の中でも厳格な入国条件を要求しており、旅行の相談が予約へとつながりにくい状況だ」と説明。一方で「ノービザ入国と個人の自由旅行が可能になれば、日本旅行は活性化するだろう」と期待を示した。
また、最近、日韓共に新型コロナの感染者が急増していることも懸念材料だ。27日に発表された日本の全国の新規感染者数は20万9694人で、これまで最も多かった今月23日の20万人余りを上回り、過去最多となった。韓国では26日の新規感染者数が10万285人確認され、1週間前と比べ1.3倍に増加した。10万人を超えたのは約3か月ぶりのことだった。
また、聯合ニュースは改善の見通しが立たない日韓関係も民間交流に影響を及ぼしていると指摘。徴用工問題などで冷え込んだ両国の関係の改善を図る上でも、人的交流を活発化させておきたいところだが、聯合ニュースは「両国の国民性や政府の政策が国民感情に及ぼす影響などを考慮すると、国と国との対立が解消されなければ、民間交流にも限界があるとの指摘が出ている」と伝えた。
コロナ禍以前の水準にまで日韓の人の往来が活発になるには、まだかなりの時間がかかるものとみられる。
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