世論調査会社の韓国ギャラップが7月29日に発表した調査結果によると、尹氏の支持率は28%で前週より4ポイント下落した。5月10日の大統領就任以降、支持率が30%を割るのは初めて。不支持の理由は「人事」が21%で最も多かった。検察出身者など「経験と資質の不足」「経済・国民生活を顧みない」「独断的・一方的」がいずれも8%で続いた。「調査は7月26~28日に、全国の18歳以上の1000人を対象に行われた。
就任直後の5月は52%だった支持率は、その後、下落傾向が続き、就任から3か月を前に早くも30%を割った。最近の大統領と比べても、支持率30%を初めて割る時期が特に早い。ムン・ジェイン(文在寅)大統領は就任から4年後、その前のパク・クネ(朴槿恵)大統領は2年後だった。
不支持の理由のトップに「人事」が挙がっているように、検察出身者など、自らに近い人物を政権幹部に起用し、「お友達人事」が批判を浴びた。また、自らが指名した閣僚候補に疑惑が浮上し、相次いで辞任する事態となったことも影響したとみられる。
また、行政安全部(部は省に相当)内に「警察局」を設置する方針を示すと、警察側は中立性や独立性が損なわれる恐れがあるとして猛反発。先月末には警察トップのキム・チャンリョン(金昌龍)庁長が辞意を表明する事態にまで発展した。
さらに現在、尹氏が通信アプリを通じて与党「国民の力」のクォン・ソンドン(権性東)代表代行に送ったメッセージが波紋を呼んでいる。尹氏は「わが党もよくやっていますね」「内部射撃なんかを繰り返していた党代表が後退してから変わりました」などとイ・ジュンソク(李俊錫)党代表への批判とも受け取れる文章を送信していた。李代表は企業から性的接待を受けた疑惑に絡んで党員資格停止処分を受け、現在、権氏が代表代行を務めている。メッセージ中の「内部射撃」との表現は、李氏がこれまで尹氏の側近を含む党幹部らへの批判を繰り返していたことを示すものとみられる。
メッセージは記者団の国会の取材カメラが権氏のスマートフォンの画面を捉え、やり取りが流出した。権氏は「理由を問わず、党員同志たちと国民に心配をかけて申し訳ない」と謝罪。一方、尹氏が過去に李氏への不満などを漏らしたことは「全くない」と否定した。
尹氏は最近、出勤時の「ぶら下がり取材」に応じていない。尹氏は就任以来、歴代の韓国大統領として初めて、出勤時に記者のぶら下がり取材に応じてきた。大統領室関係者はぶら下がり取材について、「新政権の脱権威と意思疎通努力の象徴」と強調するが、これまでのぶら下がり取材では、記者との質疑応答で不適切な発言をしたり、人事など敏感な事柄に関する質問に苛立ちをあらわにする場面もあった。保健福祉部(部は省に相当)長官の候補が2人連続で辞退し、人事の不備を指摘された際には「わが政権ではしっかりとした人を抜擢したと自負しており、前政権とは比較にならないと考える」「前政権で指名された長官の中で立派な人がいただろうか」と不快感を示したこともあった。
行事への参加で大統領室に出勤せず、ぶら下がり取材自体が行われない日も含め、尹氏は7月27日からぶら下がり取材に応じていない。前出のメッセージの問題で波紋を広げていることから、一部ではこの問題に関する質問を避けるためではないかとの憶測も出ている。
大統領室の関係者は7月29日、記者団の取材に対し、「一喜一憂せずに国民だけを見ながら進んでいく」と述べた。また、この関係者は「支持率の上がり下がりは複合的な理由がある」とし、「その意味について1つ1つ考えている。参謀ら全員が悩んでいる。しかし、尹大統領をはじめ、大統領室のすべての人たちが支持率を上げるために何かをするとか、支持率が落ちてこれをするとかというよりも、従来やろうとしていたことを遂行することに努めている」と説明した。
尹氏は今月1日から5日まで夏季休暇に入る。警護上の理由から、休暇先については明らかにされていない。大統領室の関係者は「5月10日の就任から多忙な日々を過ごしてきたため、良いリフレッシュになるだろう」と話すが、支持率の低下からなかなかのんびりもできそうにない。国民の暮らしの現場を見て回る予定にしているという。
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