もともと日韓間では、人的交流の活性化などを目的に、2006年3月1日から90日以内の滞在であれば相互にビザなしでの往来を認めていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年3月にビザ免除の運用を停止し、発行済みビザについても効力を停止していた。
韓国政府は今年6月から、外国人観光客への短期ビザ(90日以内)の発給を再開。これを受け日本の韓国大使館や総領事館にはビザを申請する人の長蛇の列ができたほか、発給まで3~4週間かかる状況となった。観光業界などからはポストコロナ時代の韓国観光ブームの始まりを示すものだとして期待の声が上がる一方、ビザ免除措置の復活を望む声も出ていた。
6月29日からはコロナの影響で運休となっていた韓国のキンポ(金浦)空港と日本の羽田空港を結ぶ路線が2年4か月ぶりに再開した。この路線は、日韓両国の首都を結ぶ利便性の高い主要路線で、今後ビジネスや観光での人の動きが活発になるものと期待されているが、やはりネックとなっているのはビザの問題だ。
韓国観光公社によると、観光ビザの発給が再開された今年6月の日本からの入国者は5855人で、昨年6月の875人から7倍近く増加したが、コロナ前の2019年6月の28万2476人には遠く及ばない。
韓国のパク・チン(朴振)外相は、先月18日に林芳正外相と会談した際、両国の交流活性化のため、相互のビザ免除措置の再開を提案した。また、ソウル市観光協会は、今月10日から開くグローバル観光フェスティバル「ソウルフェスタ2022」の期間に日本人観光客の一時的なノービザ入国を許可してほしいと政府に要請していた。
韓国政府はすでに百数カ国からのビザなし入国を認めているが、日本は韓国からのビザなし入国を停止したままで、現在も解除していないことから、相互主義などを理由に認めていなかった。しかし、ソウル市は3日、8月末までの期間限定で日本などから韓国へのビザなし入国を認められると発表した。文化体育観光部(部は省に相当)や法務部、外交部など関係官庁による会議で決まったという。日本のほか、台湾とマカオからのノービザ入国を認める。
ソウル市の関係者は「ビザ発給に時間がかかり、観光客の誘致に支障があったが、ビザ免除で不便が改善される」とし、「8月の1か月間限定ではあるが、ソウルを訪れる外国人観光客がグルメ、夜景、ビューティーなど、ソウルならではの魅力を体験できるよう最善を尽くす」と話した。
前述のように、ソウル市は「ソウルフェスタ2022」の期間中だけでもノービザ入国を認めるよう政府に求めてきた経緯がある。念願がかなった形で、10日から5日間開催する同フェスタの集客にも期待がかかる。
ただ、韓国は昨年9月から電子旅行許可制度(K-ETA)を導入しており、韓国に入国するためには航空便の出発72時間前までにホームページやモバイルアプリで申請し、許可を得る必要がある。
ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は日韓交流拡大を通じた関係改善に積極的で、今回の決定はこうした姿勢が反映されたとみられる。韓国政府関係者によると、問題がなければ、9月以降、正式に日本からの渡航者のビザを免除する方針。
しかし、日本は依然、韓国からの観光客にビザ取得を求めている。この状況に実業家の堀江貴文氏は、自身のSNSに「さあ、日本だけが取り残される」との見解を示した。
以前のように、双方の国民が何の不便もなく気軽に往来できるようになるまでには時間がかかりそうだ。
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