韓国軍兵士に提供されている食事は昨年4月、休暇から戻り、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため復帰前の隔離期間に入ったある兵士のSNSへの投稿を機に、人々の関心を集めることとなった。
陸軍第51師団所属としたこの兵士は、フェイスブックに投稿し、隔離中に提供されたという弁当の写真を掲載。使い捨ての弁当容器に盛られたのは、ごはん、キムチに少量の漬け物と鶏肉の炒め物のみで、残り1つの枠には何も入っていなかった。投稿した兵士は「別の部隊での食事もそうなのか気になる。携帯電話も預け、テレビもなく、食事までこれでは、監房と何が違うのか」と怒りをあらわにした。
しかし、この投稿が明らかになってから、国防部や各軍が直ちに現状把握に乗り出すことはなく、国防部は当初、「全てのメニューが正常に提供されたものと判断している」と反論していた。その後、軍への批判が高まったことを受け、陸軍参謀総長が謝罪。当時の国防部長官が直接現場を訪れ、現場担当者から報告を受けた。この騒動は、隔離中に提供された軍の食事が粗末だという点に端を発し、次第に服務中の兵士が食事を十分に摂れていないのではないかという懸念が提起される事態となった。
問題を受けて国防部は、軍向けの食事について、学校給食のシステムを参考にした「将兵給食電子調達システム」を導入した。栄養士が直接、献立を立て、食材の入札や契約、精算までを行うこととした。また、栄養士の増員も図った。
昨年10月には、物議を醸した食事とは対照的なメニューの写真がSNS上に掲載された。ネット上の軍情報提供チャンネル「陸軍訓練所の代わりにお伝えします」には、現役の軍人を名乗る人物が、部隊の隊員に提供された、とある日の昼食と夕食のメニューを撮影したとする写真を掲載。プレートにはゆでた牛肉や野菜、鶏の煮込みスープ、チーズとんかつ、プルコギバーガーなど多彩なメニューが並んでいた。写真を見たネットユーザーからは「自分が軍生活をしていたころとは大きく違う」「信じられないくらい豪華だ」などといった声が上がった。
軍に提供される食事は改善されたかと思われたが、今年3月には、陸軍士官学校士官候補生を名乗る人物が、生焼けの鶏むね肉が提供されたと、前述の「陸軍訓練所の代わりにお伝えします」で訴えた。この人物は「調理兵ら何人かが新型コロナに感染したため、最近不良給食を提供されても目をつぶってきたが、これはさすがに度を超えていると思い、情報提供する」と記した。士官学校側はこの事実を認め、再発防止を誓った。
しかし翌月にもコロナの隔離対象となった兵士が将兵を名乗る人物が粗末な食事の写真を掲載。「食事を管理する監督者がいないのか?食事の面であまりにも管理が不十分」と訴えた。
一方、先月には、「陸軍訓練所の代わりにお伝えします」に「日ごとに良くなる陸軍の給食の近況」と題した投稿が掲載された。陸軍第1軍団第9師団隷下の部隊で任務に当たっているとする人物は、韓国料理のほかメキシコ料理など、提供されたとする多彩なメニューの写真を掲載。「この頃、手抜き給食の話が多いが、我々の部隊には給食管理官が新たに就任し、給食のクオリティが上がった。みんなに自慢したい」などと投稿。調理スタッフへの感謝の言葉もつづった。
今月1日には、軍事安保支援司令部に勤務しているとする兵士が「ステーキ給食の近況、リアルステーキ」と題して投稿し、プレートにステーキや牛肉入りの炒め飯、トッポッキ(餅炒め)、卵サラダが盛り付けられたプレートの写真を掲載。「給食管理官が優れた方で、このようなメニューも提供可能」などと記した。
韓国軍は今年上半期に、将兵1人当たりの1日の基本給食費を1万3000ウォン(約1320円)に引き上げることを決めた。公務員として職務に当たっている以上、過度に豪華な食事は問題だが、日夜、国防に当たる隊員たちが十分に力を発揮できるに足る食事が提供されてしかるべきだ。
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