<W解説>韓国の自動車メーカー、起亜自動車の躍進(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国の自動車メーカー、起亜自動車の躍進(画像提供:wowkorea)
韓国の自動車メーカー、キア(起亜)自動車は今年1~7月の韓国内市場における販売台数が31万3887台となり、韓国内における完成車販売台数でトップとなった。起亜自動車は韓国の自動車メーカー最大手の現代自動車のグループ傘下に入っており、韓国紙の毎日経済は「このような傾向が続けば、乗用車と商用車を合わせた起亜自動車の国内販売台数が年間でも現代自動車を上回ることになる」と伝えている。

 起亜は韓国第2位の自動車メーカーで、前身は1944年に設立された京城精工。1962年に日本のマツダの技術供与を受けて自動車業界に参入し、起亜産業に改名。1974年にはマツダのファミリアを「ブリサ」の名称でノックダウン生産(全ての部品を外国から輸入し、組み立て完成させた製品を販売する方式)した。この「ブリサ」が起亜ブランド初の乗用車となった。1992年には部品の輸入などを行うため日本に現地法人「起亜ジャパン」を設立させた。

 しかし、1998年に経営破綻し、同年、韓国の自動車メーカー最大手、現代自動車の傘下に入った。日本の現地法人はその後も存続させてきたが、現代自動車の傘下に入って以降、部品の輸入は共同で輸入することになったため、関連した業務が事実上、なくなったことなどもあり、2013年に日本から撤退した。

 その起亜は昨年1月にコーポレート・アイデンティティ(CI)を全面刷新し、同時に社名も「起亜自動車」から「起亜」に変更。エンブレムも現代的なデザインに変えるなど改革に乗り出している。

 品質でも高い評価を受けており、起亜は今年2月に発表された米国の調査会社JDパワーによる2022年版自動車耐久品質調査(VDS)のブランド別ランキングで1位となった。起亜は昨年大衆車ブランドで1位を獲得しているが、高級車も含めた総合で1位になったのは初のことだった。

 耐久品質調査は、車両購入から3年が経った顧客を対象に184項目の耐久品質満足度を調査する形で行われる。内外装や走行、空調、シート、走行補助システムなどについて、100台当たりの不具合指摘件数をスコア化。スコアが低いほど品質が良いということになる。新車を対象にした初期品質調査(IQS)に比べてより客観的な品質評価が可能とされ、世界最高権威の品質調査とも言われている。

 高級ブランドを含む全32ブランド139モデルの中で、起亜は145点で1位を獲得。2位に米国の自動車メーカー、ビュイック(147点)、3位に現代自動車(148点)と続いた。ちなみにトヨタは5位、トヨタの高級車ブランド、レクサスは6位だった。

 前述のように、起亜の今年1~7月の韓国市場における売り上げ台数31万3887台は国内トップで、初めて現代自動車(31万3030台)を抜いた。毎日経済は「トラックやバスなど商用車部門で現代自動車が起亜よりも多く販売していることを考慮すれば、この実績は驚異的だとの評価が出ている」と伝えた。

 業界では起亜のこのような躍進の要因についてセダンからRVまで、ラインナップが多彩であることを挙げている。今年2月に「欧州カー・オブ・ザ・イヤー2022」に輝いた電気自動車(EV)「EV6」や、今年4月にタクシー向けに投入した特定目的車(PBV)のEV「ニロプラス」など、特にエコカーのラインナップを充実させている。

 スポーツ用多目的車(SUV)の売れ行きも好調で、「ソレント」と「スポーテージ」は今年1~7月の車種別販売ランキングでそれぞれ2位と5位に入っており、今回(1~7月)の起亜の韓国内における完成車販売台数トップに大きく貢献したといえる。

 また、業界関係者は、毎日経済の取材に「(中型セダン)K5以降、起亜自動車はデザイン部門で大衆性のみならず高級感まで実現することに成功したと評価されている。デザインを武器に急速に市場占有率を引き上げている」と話した。

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