就任初め、最も熱心に働いたのは当然尹大統領である。それ以前の大統領たちも皆そうだ。大統領は誰もが初心者だ。そのため、自画自賛的な成果の羅列の冒頭発言は非難されるものではない。事前調整もA4用紙やプロンプターもない記者会見は新鮮だった。不都合な質問に対するマイウェイ式の答弁もそうだった。
朝鮮半島非核化と労働改革・プサン(釜山)国際博覧会の誘致問題に対する答弁は、明快で断固としていて信頼を与えるのに充分だった。執務室の移転においては「自身の確固とした哲学と信念で始めたことだ」という誇りと自負がにじみ出ていた。ありのままの姿をみせ「新たな文化を築く過程なので、不足であっても理解し助けてほしい」という言葉もよかった。
最も残念なことは「人事刷新」に関する内容だ。「改めて見直し、徹底して検証する」というところまではよかった。きちんと謝罪したわけではないが「誤った点を認めしっかり取り組んでいく」という意味として受け取ることができる。しかし「人事の刷新は国民と国政運営のためのもので、政治の局面転換や支持率の反騰のための目的ではない」と発言には首をかしげる。さらに「時間が必要だ」という発言にはあぜんとした。意地を通そうとするのが明らかなのがわかったからだ。
「民心」と「支持率」は同じ意味だ。大統領の業務遂行に対する評価がすなわち「支持率」だ。それを得て上げていこうとするのが政治だ。互いに離すことのできない関係だ。自分に票を入れてくれた人たちのうち、かなりの数が背を向けた。それは「変化せよ」という要求だ。一種の「命令」である。だからそれに従えばよい。あえて他の解釈は必要ない。しかも、これより急がれることはない。国政運営の動力が変わってしまうためだ。
厳格な人事聴聞会、野党の揚げ足取りのせいだけにはできない。すでに国民の目線もそのレベルである。
前政権の人だとしても政治色のない官僚なら選抜し、政敵だとしても政策の本質が同じであれば手を差し伸べるべきだ。そうすれば人事の幅も拡がり、疎通と統合のイメージまで得ることになる。人事は万事だが、晩事は亡事だ。時間をとってゆっくりとすることではない。
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