元徴用工問題は日韓最大の懸案とされ、仮に現金化されれば日本政府は制裁措置を取る構えだ。日本政府はあらゆる措置を検討しているとみられ、韓国では「韓国への部品や素材の輸出規制の強化」、「日本の金融業による韓国企業への貸し出しや投資した日本資金の回収」、「韓国人へのビザ発給停止」などの可能性が指摘されている。こうした措置が講じられれば日韓関係は破綻するとさえ言われており、そのため、現金化は絶対に避けなければならないという点では日韓両政府とも一致している。
5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は日韓関係改善に意欲を見せ、この約3か月の間にも現金化が迫る中、さまざまなアクションを取ってきた。韓国政府が元徴用工問題の解決に向け先月発足させた「官民協議会」はその代表例だ。外交部のチョ・ヒョンドン第1次官が主宰し、学者や元外交官のほか、当初は原告側の代理人らもメンバーに加わっていた。チョ第1次官は初会合の終了後、「今日のような対話の場が、問題解決の重要な推進力になる」と強調した。しかし、外交部が先月、大法院に対し問題解決に向けた外交努力を説明する意見書を提出したことに原告側が猛反発。「被害者側との信頼関係を完全に失わせる行為だ」とし、協議会に今後参加しないことを明らかにした。このため、今月9日に開かれた協議会は原告側が全員不参加の中で進行した。外交部のパク・チン(朴振)長官は今後、原告側とは直接会って解決策を探る考えを示しているが、当事者側が全員不参加という不完全な形で今後進められることになる協議会の意義が問われる事態となっている。
こうした中、尹大統領は、就任100日目に合わせ17日に開かれた記者会見で元徴用工問題について言及し、「日本が憂慮している主権問題と衝突せずに原告が補償を受けられる方法を考えている。私は肯定的に見ている」と述べた。具体例は示さなかったが、政府内では基金を設立して賠償を肩代わりする方法などが検討されているものとみられている。
一方、三菱重工業の商標権や特許権の現金化を審理中の大法院は、審理受理から4か月以内であれば理由を示さずに「審理不続行」との判断で同社の再抗告を棄却できる。19日がその期限で、棄却されれば直ちに現金化が実行されるため、大法院の判断に注目が集まっていた。
しかし、外交部のチェ・ヨンサム(崔泳杉)報道官は18日の定例会見で、大法院が19日にも現金化の命令を下す可能性があるとの見通しについて「司法部の決定や判断について、その時期や内容を含め、行政部が予断することは控えたい」と言及を避けた。
結局、大法院は19日までの期限内に審理不続行の判断を示さなかった。理由を示さなくてもよい「審理不続行」を下せる期限が過ぎたため、大法院は今後、具体的な理由を示した正式決定を出すこととなる。
大法院が判断を見送ったことについて、聯合ニュースは「大法院の判断に神経をとがらせている外交部は、徴用被害者への賠償問題の解決づくりに少しは時間を稼げることになった」と伝えている。
一方、聯合は「主審の大法官(最高裁判事)が来月4日に退官するため、8月中には判断が下されるものとみられる」とも指摘した。
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