現代自動車は1947年にチョン・ジュヨン(鄭周永)氏が設立した現代財閥(現代グループ)に端を発し、1967年に自動車部門として現代自動車が設立された。1999年にはアジア通貨危機で経営破綻した起亜自動車を傘下に収め、現代自動車グループとなった。今や約6000の販売店とショールームを通じて世界190か国以上で販売を展開する世界的自動車メーカーとなっている。
品質の高さにも定評があり、米国の調査会社JDパワーによる2022年版自動車耐久品質調査(VDS)のブランド別ランキングでは、現代自動車グループの起亜が1位、現代自動車が3位にランクインした。耐久品質調査は、車両購入から3年が経った顧客を対象に184項目の耐久品質満足度を調査する形で行われる。内外装や走行、空調、シート、走行補助システムなどについて、100台当たりの不具合指摘件数をスコア化。スコアが低いほど品質が良いということになる。新車を対象にした初期品質調査(IQS)に比べてより客観的な品質評価が可能とされ、世界最高権威の品質調査とも言われている。
高級ブランドを含む全32ブランド139モデルの中で、現代自動車グループの起亜が145点で1位を獲得。2位に米国の自動車メーカー、ビュイック(147点)、3位に現代自動車(148点)と続いた。ちなみにトヨタは5位、トヨタの高級車ブランド、レクサスは6位だった。
現代自動車は今年5月には2001年に続き、日本市場に再進出を果たした。電気自動車(EV)「アイオニック5」と燃料電池車(FCEV)「ネッソ」を販売している。とりわけ「アイオニック5」は、韓国では昨年1年間の販売予定分を事前契約初日に成約済みとなる大旋風を巻き起こした現代自動車の人気車種だ。また、欧米でも高い評価を得ており、ドイツでは昨年、自動車専門記者らで構成する審査員が選ぶ「ドイツの今年の車」に選ばれた。また、今年4月には世界的な自動車賞である「2022ワールドカーオブザイヤー」を受賞し、「アイオニック5」が、世界的に高く評価されていることを示した。
世界市場で躍進を遂げている現代自動車グループだが、販売台数では長年5位の壁を突破できず、昨年も年間販売台数666万7000台で、やはり5位にとどまった。しかし、今年上半期は世界で329万9000台を販売し、1位のトヨタグループ(513万8000台)、2位の独フォルクスワーゲン(400万6000台)に次ぐ3位となった。
同グループの躍進について、韓国紙の毎日経済は「半導体など、一部の自動車部品の供給難が続く中、サプライチェーンを多角化し、在庫量を低い水準に維持して北米や欧米市場に打って出ためと分析される」と伝えた。また、「アイオニック5と起亜EV6などを前面に出して、電気自動車市場で善戦した点も背景に挙げられる」と解説した。
完成車メーカーは自動車用半導体不足が続いていることで生産に影響が出て、それが販売減少につながっている。現代自動車も例外ではなく、今年上半期販売台数は前年同期比5.1%減となっている。しかし韓国メディアのイーデイリーは「現代自動車グループは他社に比べ、半導体不足への対応において善戦したと評価されている」と伝えた。現代自動車グループの協力会社は垂直系列化されているため、半導体の供給も安定するという。
現代自動車は今後、グローバル市場の不確実性が高いとの判断から、EVのラインナップ強化や生産・販売の最適化を通じて販売量の引き上げに集中する方針という。
一方、再進出を果たした日本市場では苦戦を強いられている。日本自動車輸入組合(JAIA)のまとめによると、先月の輸入自動車の販売台数で現代自動車は60台にとどまった。トップはメルセデスベンツで3325台。これにBMW(2285台)、フォルクスワーゲン(2231台)、アウディ(1402台)が続いた。現代自動車が日本市場で販売している2車種のうち、販売されたのはほとんど「アイオニック5」と推定される。「輸入車の墓場」とも呼ばれる日本市場で、世界3位に上り詰めた現代自動車が今後、どのような動きを見せるのか注目される。
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