大統領室の人事をめぐっては、尹大統領の親戚が行政官として大統領室で勤務していることが物議を醸したほか、大統領室の社会首席室で勤務していた行政要員について、行政要員の父親が尹氏の長年の知人だったことなどが、野党やメディアから「私的採用」などと批判された。しかし、大統領室の高官は当時「業務能力を忠実に検証しており、適法な手続きを踏んで選抜された方々」とし、「経歴の検証と身辺調査などの過程を踏んで任命しているため、ふさわしくない人たちが採用されることはなく、『私的採用』という言葉にも同意できない」と人事の透明性を強調していた。
だが、こうした人事も影響してか、尹大統領の支持率は急落し、先月下旬には30%を下回った。世論調査会社の韓国ギャラップが先月29日に発表した調査結果では、不支持の理由として「人事」が21%と最も多かった。韓国ギャラップが今月19日に発表した世論調査の結果によると、支持率は28%で前週よりも3ポイント上がったものの依然20%台と政権序盤としては異例の低支持率となっている。この調査でも不支持の理由として最も多かったのは「人事」(26%)だった。
尹氏は17日に開いた就任100日に合わせた記者会見で、人事について「国民の目線で丁寧に確認する」と述べるにとどめた。人事刷新の考えがあるかを尋ねる記者の質問には「局面転換や支持率回復といった政治的目的としてはならない」と一蹴した。
しかし、国政運営に弾みをつけるため、大統領室の組織再編を行うこととなり、キム・テギ大統領秘書室長は21日、再編案を発表した。
政策調整のコントロールタワーの役割を担う政策企画首席秘書官のポストを新設。イ・グァンソプ韓国貿易協会副会長を起用した。イ氏は産業通商資源部(省)でエネルギー支援室長、産業政策室長、次官を歴任。退官後は韓国水力原子力社長を経て、韓国を代表する大型ディスカウントストアのイーマートなど、大企業の社外取締役を務めた。聯合ニュースは、政策企画首席秘書官にイ氏を起用したことについて「政策調整機能の強化を図る狙いとみられる」と伝えている。
また、広報首席秘書官には、与党「国民の力」のキム・ウンヘ元議員を起用。キム氏は韓国の放送局MBCテレビの記者、アンカーなどを務めた後、2020年に国会議員となった。尹氏の大統領選当選後に報道官を務めたが辞任し、6月にソウル近郊のキョンギド(京畿道)の知事選に出馬するも落選した。現職のチェ・ヨンボム広報首席秘書官は「対外協力特別補佐官」として、国政広報業務を全般的に支援する。今回、メディア出身で報道官の経験もあるキム氏を広報首席秘書官に起用したのは、国政広報力の補強を図る狙いがあるとみられる。今回の再編で大統領室は2室長・5首席秘書官体制から、2室長・6首席秘書官体制となった。
「国民の力」のヤン・クムヒ院内広報担当は今回の大統領室組織再編について「政策企画首席秘書官の新設と広報首席秘書官の新任の人選は、民生と民心により寄り添おうとする大統領の意思が反映されたもの」と論評した。また、パク・ジョンハ首席広報担当は「刷新と変化が必要だという民心の要求を受け入れて断行された大統領室の組織改編を歓迎する」とし、「今回の改編が、尹政権に対する信頼回復の契機となることを願っており、変化の始まりになることを期待する」とした。
一方、野党「共に民主党」からは早くも批判の声が上がっている。オ・ヨンファン院内報道官は「民心ではなく『尹心』」と皮肉り、「(尹氏は)国民との疎通を叫んでいるが不通人事で国民を愚弄している」と非難した。
今回の大統領室組織再編が、今後の政権運営にどのような影響をもたらすことになるのか注目される。
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