<W解説>韓中国交正常化30周年、韓国は今後、中国とどう向き合うべきか?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓中国交正常化30周年、韓国は今後、中国とどう向き合うべきか?(画像提供:wowkorea)
韓国と中国は24日、国交正常化30周年を迎えた。かつて敵対関係にあった中韓は、朝鮮戦争後、脱冷戦の流れによる関係強化を図ってきた。しかし、中国は、米国主導の対中包囲網に取り込まれた韓国をけん制。現在の中韓間には微妙なムードが漂っている。韓国大統領室は、「これからの30年は、一層成熟し、内実ある関係へと発展していかなければならない」としている。

 韓国と中国は1992年8月24日、「外交関係樹立に関する共同声明」を発表し、国交を結んだ。声明では相互不可侵、相互内政不干渉、中国の唯一の合法政府として中華人民共和国を承認、朝鮮半島統一問題の自主的解決原則などをうたっている。それまで、社会主義の中国と反共が国是の韓国は、朝鮮戦争で実際に戦火を交えたこともあり、互いに敵対関係にあった。しかし、1970年代後半、中国では文化大革命が終わり、改革開放が行われ、韓国では社会主義諸国との関係改善を目指す北方外交が進められた。こうした流れの中で両国は次第に関係改善に舵を切ることとなった。

 国交正常化交渉を進める中で、韓国政府は中国に対し朝鮮戦争参戦に対する謝罪を要求。しかし中国側は「中国の参戦による人的、物的被害は遺憾だが、謝罪はできない」と拒否した。国交樹立後の記者会見の際、韓国側は記者団に対し「中国側が『遺憾』を表明した」とする報道資料を配布。しかし、中国外交部のスポークスマンは、「全く根拠のない話」と否定した。

 国交正常化後、両国は1998年に「21世紀に向けた協力パートナー」、2003年に「全面的協力パートナー」、2008年に「戦略的協力パートナー」と、段階的に関係の格上げを図ってきた。

 経済的なつながりは強まり、両国間の貿易額は昨年3015億ドル(約41兆3600億円)を記録。国交樹立年である1992年の64億ドルから47倍に成長した。昨年末現在、中国は韓国の最大貿易相手国だ。

 しかし、米中覇権争いの中、韓国が米国主導によるインド太平洋地域の新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)に参加することを決めたことに中国は反対を表明。また、同じく米国が主導する半導体同盟「チップ4」をめぐっても、韓国が参加を検討していることに、中国はけん制する動きを見せている。韓国にとって中国は半導体の最大の供給国であるだけに、中国の反発は無視できない。

 また、中国は、韓国に配備されている米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)についても圧力をかけている。3不(THAADの追加配備をしない、米ミサイル防衛システムに参加しない、韓米日の安保協力は軍事同盟に発展させない)に加え、1限(配備済みのTHAADの運用を制限する)まで要求している。

 中韓間に微妙なムードが広がる中、24日、国交正常化30周年を迎えた。この日はソウルと北京で記念式典が同時開催され、パク・チン(朴振)外交部長官(外相)が尹大統領のメッセージを発表。「今後30年の韓中関係の発展に向け、中国の習近平国家主席と対面して協議することを期待する」とした。

 習首席も王毅(おうき)外相を通じメッセージを発表した。メッセージで習氏は「韓中関係は長い間友好的交流を続けてきた隣国として国交正常化以来30年間、互恵的協力を通じて開放と包容を堅持しながら全方位的に関係を発展させてきた」とした上で「大変革と世紀の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が交差する重大な時期に、韓中を含む国際社会が協力することが重要だ」と強調した。

 韓国は今後、中国とどのように向き合っていけばよいのか。韓国国立外交院のキムハングォン教授は聯合ニュースの取材に、「韓国の価値、アイデンティティ、国益について、政府と国民が合意するプロセスがまず必要だ」と指摘。その次に、特定の懸案で立場が同じ国と共同戦線を張れるよう、多国間外交の能力を引き上げることが求められると強調した。

 また、韓国紙のハンギョレ新聞は「尹大統領は就任後、韓中国交正常化30周年を迎えた現在まで、確立した対中外交戦略を示していない」と指摘。その上で、「尹政権の対外政策が今後30年の韓中関係を左右する。理念と価値に基づいて世界を二分法的に見るのは、現在の韓国が取るべき外交ではない」とするアジュ(亜州)大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長の指摘を紹介した。

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