海自の観艦式は自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣が艦隊を観閲するもので、隊員の士気を高めることに加え、国際親善や防衛交流の促進、国民に自衛隊に対する理解を深めてもらうことを目的に開いている。約3年おきに実施しているが、前回2019年が台風の影響で中止となったため、今回は2015年以来、7年ぶりの開催となる。今年は海自創設70年の記念の年に当たることから、今回は通常より多い外国軍の艦艇を招待する国際観艦式として開催する。
海自は今年1月、韓国を含む諸外国に観艦式の招待状を送った。しかし、当時のムン・ジェイン(文在寅)政権は参加するか否かについての結論を先送りにしてきたという。日韓関係が冷え込んでいることに加え、観艦式で旭日旗が掲揚されることへの懸念のためだ。
韓国では「旭日旗騒動」がこれまで何度となく巻き起こってきた。旭日旗に反対する一部の韓国人たちは、旭日旗が「日本の侵略を受けた韓国などに歴史の傷を想起させる明白な政治的象徴」と主張している。
昨夏に開かれた東京五輪を前にしては、2019年には韓国国会の文化体育観光委員会が、東京五輪の競技会場で旭日旗を持ち込んで応援することなどを禁じるよう、国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会に求める決議を採択した。この問題に対しIOCは同年、韓国政府から旭日旗の持ち込み禁止を求める書簡を受け取った際、「五輪で問題が生じた場合はケースバイケースで対応を検討する」と返答。韓国では事実上、旭日旗の使用が認められたものだとして反発した。大会組織委員会も「旭日旗のデザインは日本国内で広く使用されているものであり、それ自体が政治的主張や差別には当たらないことから、持ち込み禁止には該当しない」と主張した。その後、東京五輪は無観客での開催が決まり、当時この決定を報じる韓国メディアの中には、「(競技場で)旭日旗を見ることがなくなったことも幸いだ」と伝えるメディアもあった。
旭日旗騒動は近年エスカレートしており、著名人が着ている服の柄や、企業の宣伝看板のデザインなど「旭日旗に似ている」という理由で一部の韓国人が問題提起することもあった。
観艦式でも、2018年10月に韓国南部・チェジュド(済州島)で開かれた韓国海軍の国際観艦式で、韓国が日本に対し、海自の艦船に自衛艦旗である旭日旗を掲げないよう要請した。国連海洋法条約は「軍艦」に対し、所属を示す「外部標識」の掲揚を求める。海自艦にとっては自衛艦旗の旭日旗が外部標識で、自衛隊法などは航海中、自衛艦旗を艦尾に掲げることを義務付けている。当時の自衛隊制服組トップの統合幕僚長は「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降ろして行く(参加する)ことは絶対にない」と述べた。日韓双方の主張に折り合いがつかず、結局、日本側は海自艦艇の派遣を取りやめた。
11月に開かれる海自の国際観艦式に、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権は参加を前向きに検討しているというが、韓国軍の消息筋は聯合ニュースの取材に「検討はしているが、確定したわけではない」と話した。その上で、旭日旗問題に関連し、「自衛隊旗は国際的に認められている軍旗」とし「自衛隊旗を理由に日本の観艦式に参加しないというのは合理的ではない」と述べた。
しかし、依然、韓国内には旭日旗に対する拒否感があり、論争も予想される。尹政権はどのような判断を下すのか。
Copyrights(C)wowkorea.jp 3