金融実名制は、巨大な地下経済に終止符を打った一大転換点であった。通貨危機は、戦争ではなく経済でも国が滅び得ることを悟らせ、韓国の経済システムを丸ごと変えた激烈な刺激であった。そして中韓修交は、韓国経済の効率を極大化させるきっかけとなった。中韓修交は政治的には冷戦体制の崩壊、経済的には世界化の出発点となった。世界最大の人口をもった中国がグローバル経済システムに編集されたことで、全世界は低物価と高成長を享受することができた。インターネットの登場により通信革命まで成されたことで、中国の安価な労働力と広大な消費市場は全世界企業にとてつもない機会を提供した。中国に最も隣接した産業化国家である韓国への恩恵は最も大きなものであった。通貨危機を短期間に克服できた主要な要因の一つも「中国」であった。
米国も中国からの恩恵をたっぷり受けた。製造業の基盤は新興国に明け渡したが、基軸通貨であるドルを基に史上最長期間の好況を享受した。ドルを刷って金融システムを通じて供給すれば、安く中国製の製品を消費することができた。冷戦以降、米国の単一覇権を可能にした「非対称戦略」はまさにドルであった。
30余年の世界化により中国は経済大国になった。西洋では「チャイナ(秦)」と呼ぶが、正式名称は「中華人民共和国」である。アヘン戦争前までは、常に世界歴史の「真ん中」にいた国である。そして160年ぶりに習近平中国国家主席の長期政権のため、世界の覇権に挑戦している。米国も中国を挑戦者として見始めた。「チップ4」「IRA(インフレ削減法)」などは、中国に対する一種の経済的な「宣戦布告」である。
間接戦争はすでに始まっている。ロシア-ウクライナ戦争も、その背景には米中対決がある。中国はロシアの原油を購入し工業製品を供給する。米国はウクライナに武器を支援する。中国は、ドル通貨が独占する原資材市場で、人民元通貨がこじ開け入り込むことのできる隙間を作った。米国は中国と手を組んだロシアに、ヨーロッパの主導権を明け渡すことはできない。今回の戦争は、ロシアを相手に米国の軍事技術と防衛産業の競争力を実験する機会だ。ロシアと武器体系が似ている中国が「隠された仮想の相手」であり得るということだ。
ロシア-ウクライナ戦争と台湾海峡をとりまく米中冷戦は短期間に終わりそうにない。韓国が参戦した本当の戦場は「経済」だ。世界化において対決により構図の変わったパラダイムでは、安定的に原資材を確保し新たな供給網を構築しなければならない。韓国商品の主要市場も変わる可能性がある。当分の間は高金利・高費用の時代だ。韓国経済が競争力を維持するためには、内部の革新を通じた効率改善が急がれる。
「30年」は一つの世代だ。世の中を導く人たちが変わる時だ。人が変われば世の中の秩序も変わるようになっている。1980年代にピークを迎えた日本は、ある面では中国がグローバル経済に編入した30年間最も相対的打撃が大きかった国だ。中韓修交30年は新たな挑戦だ。経済が安保になる時代に適用できなければ、日本のように取り残されることになる。しかし韓国では国内の主要な関心は「経済」ではない。政治家と権力者たちは「内紛」に明け暮れているようだ。これからの30年が心配だ。
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