韓国では1999年からポケットモンスターのアニメ放送が始まり、「ポケモンブーム」が起きた。サムリップ食品(現・SPCサムリップ)が「ポケモンパン」を販売したところ、飛ぶように売れた。パンにはポケモンのキャラクターシールが封入されており、当時、子どもたちは目当てのキャラクターのシールを手に入れるため、何個もパンを購入した。
ブームが下火になったのに伴い、パンの生産は2006年に終了したが、今年2月、再販売され、再び人気に火が付いた。子どもたちのみならず、かつてポケモンパンのシールを夢中で集め、現在は20、30代になった若者の心も引きつけ、販売から50日で1200万個が売れた。
一時、韓国の大手スーパーなどでは、ポケモンパンを何としても購入しようと、開店前から客が殺到する事態となった。当時の韓国経済新聞は「一部の消費者はポケモンパンをコンビニに配送する車両を追いかけ、購入している」と人気の過熱ぶりを伝えている
芸能界でも「ポケモンパン」は人気を呼び、ボーイズグループ「BTS」のRMは今年3月、SNSに自身がポケモンパンを持った写真を投稿。購入のためにコンビニを8店舗まわったと明かし「どうかもっと売ってください」と訴えた。同じくBTSのJINもSNSを通じてパンに封入のシールを撮影した写真を投稿し、「僕の初ステッカー」と喜んだ。
社会現象となるにつれ、一部の店舗では、ほかの商品と抱き合わせ販売をして利益を上げようとするなど、人気に便乗した行為も見られた。また、ネット上ではパンに同封のシールが高値で売買された。
もともとポケモンパンは、日本の第一屋製パンが製造するロングラン商品だが、韓国ではSPCサムリップが製造している。蒸しケーキや菓子パン、総菜パンなど種類は様々で、商品によってパッケージにプリントされているキャラクターも異なる。
ポケモンパンの人気にあやかり、SPCサムリップの今年第2四半期の売上高は、前年同期比14%増の8149億ウォン(約834億円)、営業利益は前年同期比61.5%増の235億ウォンを記録した。「ポケモンパン」は、同社の中核を担うベーカリー事業のブランド向上にもつながった。
ポケモンブームはパンにとどまらず、アーケードゲーム「ポケモンガオーレ」や、スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」などにも広がった。「ポケモンGO」は、今年6~7月に韓国内のゲームアプリ利用者数で連続1位を記録した。
ソウル・チャムシル(蚕室)の高層ビル、ロッテワールドタワーの広場には今月16日プレイゾーン「スマイリング・ポケモン」が期間限定でオープン。ポケモンを象徴する「ピカチュウ」をかたどった高さ15メートルの大型アートバルーンや、ポケモンキャラのオブジェ約30体が設置され、連日、多くの来場者でにぎわっている。
「スマイリング・ポケモン」は、大手コンビニのセブンイレブンが来月12日までの期間限定で行っている。同社は23日、オープン1週間で来場者が100万人を超えたと明らかにした。韓国メディアのアジア経済によると、会場内に設けられたグッズショップも盛況という。このショップでも数量限定でポケモンパンが販売されており、朝早くから、購入希望者の列ができている。
同社の関係者はアジア経済の取材に「来場者の反応は想像以上に良く、老若男女問わず本当に多くの人が写真を撮るなどして楽しい時間を過ごしている」と話した。
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