<W解説>韓国検察、最大野党の新代表に出頭要請=1日に始まった通常国会は波乱の予感(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国検察、最大野党の新代表に出頭要請=1日に始まった通常国会は波乱の予感(画像提供:wowkorea)
韓国の検察当局は最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)代表に対し、公職選挙法違反の疑いで6日に出頭するよう要請した。李氏は今年3月の大統領選でユン・ソギョル(尹錫悦)大統領と争い、僅差で敗れた。先月28日には党代表選に勝利し、代表に就任したばかり。同党は「野党弾圧であり、政治報復だ」などと反発している。

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 李氏をめぐっては、ソウル近郊のキョンギド(京畿道)知事として昨年出席した国会審議やメディアのインタビューで、京畿道ソンナム(城南)市長時代に主導した宅地開発で、側近らが巨額の利益を得たとされる「テジャン(大庄)洞疑惑」に絡み、関係者の城南開発公社職員について「末端の職員だったので市長在任時には知らなかった」と虚偽の発言をした疑いがもたれている。また、城南市長在任中にプンダン(盆唐)区ペクヒョン(柏峴)洞の土地が自然緑地から準住居地域へ用途変更されたことをめぐり、「パク・クネ(朴槿恵)政権下の国土交通部(部は省に相当)が城南市の公務員に用途変更を行うよう圧力をかけた」と虚偽の事実を述べた疑いもある。

 李氏は今年3月の大統領選に立候補し、最後まで尹氏と激しい争いを見せたが、約24万票の僅差で敗れた。それまで国会議員の経験はなかったが、6月の補欠選で当選し、晴れて議員バッジを着けることになった。そして、7月、党代表選に立候補を表明。同党の歴代最高となる77.77%の支持を得て他の候補を圧倒し、勝利した。党代表に選出された李氏は「身を削って完全に新しい民主党をつくることに全身全霊をかける」と宣言。「きょうは2年後の総選挙、5年後の大統領選挙への勝利の進軍を始めた日と記録されるだろう」と述べた。

 李氏は党代表選出馬の際、尹政権について「無能、無責任、無気力」と痛烈に批判。最大野党の代表に選出されたことで、今後はかつて大統領選で激しく争った尹大統領との対決姿勢を強めるとみられている。

 そんな中、検察が李氏に対し出頭を要請したことに「共に民主党」は猛反発。同党のパク・ソンジュン(朴省俊)報道官は1日、「到底納得しがたい」とした上で「(李氏は)尹大統領と争った大統領選候補であり、最大野党代表に対する政治報復、野党を瓦解(がかい)させようとする政治弾圧に対して引き下がることはできない」と述べた。同党のベテラン議員の一人は韓国紙・朝鮮日報の取材に「李代表は今や『共に民主党』の代表。党代表に対して不当に、過度に傷をつける捜査に対しては、党が総力をあげて対応しなければならない」と話した。また、李氏自身も2日、記者団の取材に応じ、「叩いても駄目だから突拍子もないことで揚げ足を取っている。適切ではない」とし、自身をめぐる捜査に政治的意図があるのではと不信感を募らせた。出頭要請に応じるか否かについては明言を避けた。

 韓国では今月1日から通常国会が始まったが、開会初日に検察が李氏に出頭要請をしたことにも「共に民主党」は反発。同党のイ・サンミン議員は韓国紙・ハンギョレ新聞の取材に「与野党の協治ムードをつくろうとしているときに、冷や水を浴びせるようなことだ。野党代表の活動を制約し、打撃を与えるということだろう」と批判した。

 一方、尹大統領は検察が李氏に出頭を要請したことについて記者団から問われ、「経済と国民生活が最優先。刑事事件は私も報道を見るが、記事をじっくり読む時間もない」と具体的な言及はしなかったが、司法への介入を暗に否定した。

 与党「国民の力」は批判を強めており、パク・ジョンハ首席報道官は「李代表にまつわる疑惑は大統領選以前から提起されてきた。李代表は国民が持つ疑念を解消するためにも必ず出頭要請に応じて誠実に捜査に向き合わなければならない」と指摘した。

 通常国会が始まり、100日間の会期に入ったが、検察による李氏への出頭要請がかけられたことで、与野党の攻防は一層激しさを増すことが予想される。

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